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アイヌ民族の軌跡

浪川健治 2004. 『アイヌ民族の軌跡』山川出版社,96p.,800円.

初めて購入した山川出版社の「日本史リブレット」シリーズ。前回の読書日記にも書きましたが,最近北海道の歴史について勉強しています。私がこれまであまり触れてこなかった日本史ですが,身近な地理学でも多くの蓄積があり,なかなか刺激的な読書体験をしています。

特に注目しているのが「場所請負制」という江戸時代の制度。私の場所論は卒論を発表した1993年の『人文地理』論文がはじまりですが,なんとその同じ号,私の論文の前に掲載されているのが,片上広子さんの「近世における石狩地域の動態——松浦武四郎日誌を中心に」という論文でした。タイトルだけでは分かりませんが,キーワードには「場所」が選ばれ,まさに「場所」という言葉が歴史上用いられていた事例を用い,ある人々(アイヌ民族)が和人(本土から来た日本人)に虐げられていたことを批判的に考察しています。松浦武四郎とはまさに,中南米のラス・カサスのように,その事態を告発するために現地へ調査しにいった人物とのこと。

まあ,ともかくそういう個々の研究論文をよりよく理解するためにも,本書のような短くて分かりやすく通史が学べる本は助かります。まずは目次。

アイヌ民族の今——民族と先住性

1 アイヌ文化

2 東北アジアのなかのアイヌ民族

3 アイヌ民族と近世日本

4 シャクシャインの蜂起

5 クナシリ・メナシの蜂起

6 民族文化の否定から「臣民」化へ

アイヌ民族の軌跡

蝦夷について,アイヌについて知らないことばかりの連続でした。さまざまな図版や地図も掲載され,理解を助けます。特に本書では,目次の後半にも現れていますが,抑圧されたアイヌ民族たちの抵抗運動に多くページが割かれています。

先の日記で紹介した台湾映画『セデック・バレ』は時代的には下りますが,同じように日本という国が私利私欲による領土拡張でどのようなことをしてきたのか,よく知っておくべき史実です。

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