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ルネサンスの自然観

ディーバス, A. G.著,伊東俊太郎・村上陽一郎・橋本眞理子訳 1986. 『ルネサンスの自然観――理性主義と神秘主義の相克』サイエンス社,268p.,2300円.

ルネサンスから近代期の科学史には元々関心がある。特に「自然観」となると思わず手にとってしまうのだが,本書を古書店で見つけて購入したのは,目次に「化学」とあったこと。物理学はニュートンがいるし,天文学はガリレオ,生物学はリンネからダーウィンといったビッグネームがあるが,化学は私が知っているようなビッグネームがなく,その歴史はあまり知らなかった。また,訳者に伊東俊太郎の名が入っているのも安心できます。

ちなみに,本書は「ライブラリ 科学史」というシリーズものの7巻で,伊東さんの他に,ダーウィンの訳者でもある八杉龍一さんも編集に加わっている。まずは目次から。

1章 伝統と改革

2章 化学という謎

3章 変化する世界における自然の研究

4章 人間の研究

5章 新しい世界体系

6章 新たな方法と新科学

7章 新哲学――化学論争

8章 結語と留保

文献改題

本書の原著は1978年で,1986年に翻訳されている割には,フランシス・イエイツの文献も引用されていて,出版当時から従来の正当な科学史よりも,魔術などの要素なども取り込んだ,一早い科学史(あるいは思想史)だったようである。

しかし,本書を21世紀に読んでしまうと,あまり新しさは感じない。

ちなみに,「化学」とあるが私の知っているところではパラケルススが登場する。化学というより医学だが,新しいパラケルスス派と古いガレノス派として描かれている。本書は化学(あるいは医学)だけでなく,天文学,物理学,生物学にも及んでいるので,そんなに分量のない本としては範囲が広すぎて,あまり細かいところまでは知ることができない。また,参考文献の類は本文ではほとんどなく,巻末の文献改題としてまとめられているので,本書は教科書的な読みやすさを重視している本ともいえる。

ただし,コペルニクスの辺りは知らない事実も多く,面白かった。また,著者はロバート・フラッドの研究もしているようで,その辺も詳しい。ともかく,これまで学んでいたことの復習になる本だった。

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