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昨年末観た映画

今年もボチボチな感じでやっていきますが,よろしくお願いします。

1214日(日)

新宿武蔵野館 『6才のボクが,大人になるまで

かなり前のことで,日付はいい加減ではありますが,どうしても観たいということで,お願いして観に行ったもの。米国のゴールデングローブ賞で主要部門を獲得したので,かなり有名にはなっていると思います。

リチャード・リンクレイター監督作品。彼の作品は『恋人までのディスタンス』は観ていたが,その後アニメーション作品『ウェイキング・ライフ』やほぼモーテルの一室で展開する『テープ』といった試験的な作品や,『スクール・オブ・ロック』のような一般受けする作品まで幅広く撮れる監督として注目している。

本作は原題を『Boyhood』というようだが,邦題はその試験的な試みが分かりやすくてよくできている。6才の子役を主演に起用し,彼が18歳になるまでの12年間,両親や姉などの配役を同じ訳者でとり続けた作品。

私は写真の研究を少ししているが,過去に書いたある論文で,自宅のさまざまな部屋で定点観測のように,毎年撮りつづけるような家族写真を提案したことがある。また,ポール・オースターの脚本映画『スモーク』では,ハーヴェイ・カイテル演じる男性が自分の店の前の街角を毎日ある決まった時間に撮り続けるという趣味を描いているが,同じような発想で制作された映画。映画館でパンフレットを立ち読みしたが,解説の一つを是枝監督が書いていた。詳しくは読んでいないが,彼も同じような発想をしていて,この映画を観て悔しがったのだろう。

ともかく,さまざまな試験的な映画を撮っているリンクレイターだが,本作には誰もが脱帽するだろう。まさに理想的なファミリー映画だ。映画のなかで12年間の経過を描くというのはよくあるが,その多くがダブルキャストや同一俳優の加齢メイク,あるいは逆に若返りコスプレなどによる違和感が必然的に伴う。この映画には当たり前のことだが,それが全くない。子役はそのまま年を取るのだし。両親役はパトリシア・アークエットとイーサン・ホークだが,やはり違和感がないような最善の努力を払っていて,さすがの仕事。まあ,そこまではある程度期待できることだが,やはり何よりも賞賛に値するのは監督の手腕である。

まず企画段階。この種の映画はまず企画の段階で実現させるのが難しい。撮影が長期にわたるということは珍しくはないと思うが,6才の子と12年間の契約を交わし,スポンサーたちを納得させる。もちろん,それは副次的なこと。やはり映画作品としては脚本の継続性だ。果たしてこの脚本は12年前に全て用意されていたのか,それとも毎年の撮影時にキャストとともに作り上げていったのか。ともかく,そういうところに興味のつきない作品。

12月22日(月)

新宿武蔵野館 『ストックホルムでワルツを

飛び石連休のようになったこの平日を休みにして映画を観に行った。予告編でとても魅力的だったスウェーデン映画を選んだ。時代は忘れてしまったが,ジャズ全盛期のスウェーデン。アメリカのジャズをスウェーデンで生演奏で届ける人たちがいて,そのヴォーカルが主人公。女手一つで女の子を育て,電話の交換手をしながら週末は夜行バスで都会まで出かけ,歌を歌う。ある日,ニューヨークから来た音楽プロデューサーの目に留まり,ニューヨークでの舞台を踏むが散々な経験をする。

その時にとあるバーで憧れの黒人歌手と出会うが,米国の黒人音楽家たちは自らの経験を音楽に託していることを知り,その後スウェーデン語で歌うことを決意。

いろいろあったが,徐々に彼女のオリジナルソングはスウェーデンで受け入れられていく,というある種のシンデレラストーリーだが,実在する人物に関する映画でした。成功して賛否両論あり,歌いたい歌と歌わされている歌,人気と孤独,酒に溺れといった,この種の物語にある展開で,思ったよりも楽しませんでした。

しかし,ラストは主人公がビル・エヴァンスにデモテープを送って,最終的にはニューヨークで共演を果たすという展開は涙が出ましたね。

12月27日(土)

有楽町角川シネマ 『おやすみなさいを言いたくて

2014年最後の映画はジュリエット・ビノシュ主演作でした。この日は多くの会社が仕事納めでしたが,私の通う会社は計画休暇とかで,保育園の最終日でもあったので,息子を預け,私は映画へ。この映画,予告編で存在は知っていたのですが,上映期間をきちんと確認していなかった。前週,『ストックホルムでワルツを』を観た時に,前売り券が売っていて,観終わった後にやっぱりあっちにしておけば良かったと思った次第。

幸い,年内にもう一本観ることができたので,迷わず選択。本作でジュリエットは戦場カメラマンを演じる。彼女には年下の夫と2人の娘がおり,アイルランドの田舎で暮らしている。ある日,アフガニスタンで自爆テロに巻き込まれ一命を取り留めるが,夫の我慢も限界に達し,一度は引退を決意する。そこから,家族を取り戻そうとする物語。戦争ものもまた難しいジャンル。本作では,そこを真面目に描いているので,脚本や映像にさほど目新しいものはなかった。しかし,ジュリエットの演技はさすが。長女を演じていた子役のそんざいもなかなか光っていました。

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コメント

「6才の~」は、東京等での公開時に岡山で上映されるかどうか決まっていなかったため、神戸での用事の日程を本作の公開に合わせて出かけて行き、西宮のTOHOシネマズで観ました(ポイントでの無料鑑賞)。
なかなかの作品だとは思いますが、期待が大きすぎたのか、日記に書きたくなるほどは惹き込まれませんでした。
何でもアメリカの業界では12年にも渡る契約はないみたいで(最長は確か7年間)、キャスト・スタッフとも信頼関係に基づいてこの映画を完成させたようです。
アカデミー賞でも作品賞等の本命でしょうね。
あ、岡山でもご近所シネコンで今年になってから公開されています。
  **********
「ストックホルム~」と「おやすみなさい~」は、こちらのミニシアターで3月以降に公開される予定。
予告編等で、行くかどうか判断したいと思います。

投稿: 岡山のTOM | 2015年1月19日 (月) 15時06分

TOMさん

今年もよろしくお願いします。
『6才の〜』は確かに,映画としては難しいですね。
TOMさん好みでないのはよく分かります。
でも,私はかなり好きなんですよね。ああいう,ストーリーがあるようでないのが。まさに人生ってそんなもんだなって思うんです。

投稿: ナルセ | 2015年1月22日 (木) 06時29分

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