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2015年2月

公開間もなく観た作品

2015211日(水,祝)

有楽町ヒューマントラストシネマ 『ジミー,野を駆ける伝説

ケン・ローチ監督作品ということで,迷わず前売り券を購入したものの,なかなか観る機会がなく,ようやく祝日に足を運んだ。すると,水曜日はヒューマントラストシネマのサービスデー。またチケット代を損してしまった。

『麦の穂を揺らす風』に続くアイルランドもの。今回は片田舎で市民のために行われたちょっとした社会変革が,田舎ならではの弾圧を受けるという内容。邦題はちょっと大げさで,原題は「Jimmy's Hall」といって,ジミーという青年が地元に皆の協力のもと,建てたちょっとしたホールのこと。そこでは,皆が集いダンスパーティが行われ,ちょっとした文化教室が開かれる。当時のアイルランドの農村では,社会を牛耳るのはカトリック教会ということで,地元の神父がその行為を「共産主義者」とみなし警察などを巻き込んで弾圧していく。

こういう地味なテーマを素晴らしい脚本と映像で仕上げるケン・ローチの手腕に脱帽。

2015年2月14日(土)

この日はTOHOシネマズデーということもあり,妻と息子がムーミン映画を観る予定で,ウェブ予約。終わったら交代して私が別の作品を観る予定だった。しかし,妻と息子が最寄り駅に行くと,なんと京王線が止まっていました。結局足止めされてしまい,最寄り駅前のパン屋で家族で昼食を取り,私だけがウェブ予約していた映画を観ることにした。

府中TOHOシネマズ 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ

この手の映画は独身時代は好んで観ていましたが,結婚してからはさっぱり。キャリー・マリガンが出演していた『シェイム』も性依存症がテーマだったため観なかったけど,かなり後悔している作品。ということで,本作も予告編は観ていましたが,SMらしきシーンがあり,観ずにすますつもりでした。しかし,どうやら本作は台湾で先に公開され,話題になっていたようで,そしてTOHOシネマズでもやっていたということで,勧めてくれたのは妻。時間的に『味園ユニバース』も勧めてくれましたが,なんとなく山下敦弘監督作品を観る気にもなれず,こちらを選択。

うーん,なんとなく消化不良の作品。確かにきれいにはできあがっていますが,結局人物の心理描写も中途半端だし,性描写も新鮮味があるわけでもないし。例えば,男が氷を加えて女性の体を這わせるシーン,これって『ナイン・ハーフ』を思い出します。まあ,懐かしさを持って観るかんじでしょうか。

2015年2月17日(火)

新宿シネマカリテ 『ラブストーリーズ コナーの涙

公開前に,日本に遊びに来た妻の台湾の友人と一緒に立ち寄った際,前売り券を購入。その友人は台湾の映画館で働いているということで,かなりの映画通。しかも,米国の作品は日本よりも早く公開されることが多く,本作もお勧めされた。

本作は1つの物語を当事者である男性の視点と,女性の視点とで2つの作品として描くもの。かつて日本でも『冷静と情熱の間』という,男女2人の作家による原作がありましたが,映画では1つになっていた(読んでも観てもいません)。主演はジェームズ・マカヴォイ。女優さんの方は見たことがありません。顔もあまり好みではありませんが,1つのストーリーを2つの映画として作ったことの意義を確かめることにしました。

まず観たのは,男性の視点。こちらは分かりやすいですね。まさに物語展開も男性的に作られていて,全体像がよく見渡せます。女性は若干不可解な存在として描かれていて,その謎がもう1本の映画で解明されるということなのでしょうか。あるいはやはり女性の視点は女性的な物語で不可解なまま残されるのでしょうか。もう1本が楽しみです。映画としてもそこそこ楽しめます。

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舞台挨拶2つ

118日(日)

下高井戸シネマ 『リスボンに誘われて

久し振りに下高井戸に行って,再上映の作品を観ることにした。恥ずかしながら,ロードショウ時にはチェックしていなかった作品。どちらかというと気高い中年男を演じることが多かったように思うジェレミー・アイアンズが主役。本作ではスイスに住む冴えない単身の高校教師を演じる。とある雨の日,川への飛び込み自殺を助けた女性のコートに入っていた小説に惹かれ,その小説の舞台であり,また小説とともに挟まっていた特急乗車券でポルトガルにいくことになる。そのままリスボンで,その小説を書いた人物について調べるという顛末が描かれる作品。

その小説家の恋人として再現映像で登場するのがメラニー・ロラン。主人公が通うことになる眼鏡屋の眼科医を演じる女性はどこかで観たことのある女優さんです。なんと『マーサの幸せレシピ』で主演したドイツ女優,マルティナ・ゲデック。中年から初老へとかかろうとするジェレミー・アイアンズに相応しい役どころ。シリアスのなかにコメディ的要素も少しだけ入っていて,そのバランスが素晴らしい。最上映で観ることができてとても良かったです。スイスとポルトガルの対照的なヨーロッパ的風景の描写も素敵です。ただ,メラニー・ロラン演じる女性の数十年後の姿を演じた女性があまりにも違っていてちょっと幻滅。演じる女優はレナ・オリンという,ラッセ・ハルストレム監督の妻で,彼の作品にもよく出演しているとのこと。

1月25日(日)

立川シネマシティ 『MARCHING明日へ

この日は台湾映画『KANO』の公開2日目で妻が観に行く予定でしたが,上映劇場バルト9のウェブサイトでは前日にその回の混雑状況が「△」になっていたため,予定変更。急遽私が映画を観ることにしましたが,先日IKEAで購入した商品を返品する用事もあったので,立川で観られる映画ということでこちらを選択。

以前からチラシをもらっていた作品でしたが,そのチラシに大きく顔写真が載っていた竹富聖花という女優さんの顔が私好みというだけの理由。ただ,ちょっと調べてみると中田新一監督は『ウィニング・パス』の監督だった。これは北九州市を舞台にした,車椅子バスケを題材とした福祉映画っぽかったけど,なんと松山ケンイチ初主演映画。私はしっかり観ています。ということで,あまり期待はせずに。

映画館で受付をすると,「本日は上映後に監督の舞台挨拶があります」とのこと。

先に舞台挨拶の内容を含めて書くと,この映画は横浜を舞台としたマーチングバンドの映画ですが,音楽映画を撮り始めた折に東日本大震災が発生し,企画は頓挫,その後震災と絡めて作り直すことになったという。

横浜中華街に桜田 通演じる主人公の家があるが,福島から非難してきた親戚もいる。その親戚の福島在住娘夫婦を演じるのは石田法嗣と小林涼子。石田君は懐かしいが『カナリア』で谷村美月ちゃんと共演していた。小林涼子ちゃんは今井雅子脚本の『子ぎつねヘレン』に出演していて,けっこう期待していたがなかなかバーンとは出てきませんね。この作品で思いましたが,彼女の声は菅野美穂とそっくり。

さて,映画ですが,やはり監督自身がまじめなんでしょうね。実に正攻法の映画でした。でも,『ウィニング・パス』で感じたような鼻につく感じはなく,涙するところもあったし,素直に観ることができました。

それにしても主演の桜田 通君と竹富聖花ちゃんの2人は最近ドラマや映画などに引っ張りだこになってきているようですが,映画『君に届け』で共演していた三浦春馬と桐谷美玲の2人と雰囲気が似ていると思ってしまった。

2月1日(日)

ここのところ,毎週映画を観させてもらっています。この日は午前中に献血をして,午後は映画。献血ルームでは思わずコミックの『君に届け』を読んでしまう。

渋谷アップリンク 『三里塚に生きる

ロードショウ上映の時に観たかったが観のがしてしまった作品。三里塚というのは成田空港が立地している地名。たまたま,大学のレポート課題で「場所をめぐる紛争」を新聞記事から調べるというのを出していて,やはり成田空港をとりあげた学生もいたので,それなりには把握していた。しかも,一応空港に関する仕事をしていますので,この辺りは押さえておきたいところ。

本作は1968年に小川紳介監督の『三里塚の夏』を撮影した大津幸四郎が,その時の登場人物たちを再び訪ね歩くという形で始まった。代島治彦という人が共同監督となっていますが,彼は大津幸四郎さんのドキュメンタリー映画を撮っていたんですね。大津さんは昨年11月に亡くなってしまったとのことですが,この日は代島さんが舞台挨拶に立ちました。

さて,映画ですが,やはり観て良かった。凄まじい歴史の記録です。成田闘争とも呼ばれる,国と新東京国際空港公団(現成田国際空港株式会社)の建設側と,空港に反対する住民運動(1960年代後半という時代的な事情から,住民だけでなく左翼運動家が多く参加した)との間の抗争は,だんだんその暴力度がエスカレートし,機動隊が3人死亡し,住民運動側の若手リーダー的な男性が一人自殺をした。そうした過去について振り返る映像も本作には含まれているが,何よりも本作の意義は,現在でも活動している三人の男性を描いていること。

その一人は『三里塚の夏』でも登場した地元住民の柳川秀夫氏。成田空港は1978年に開港するが,それで終わりではない。この時は1本の滑走路での暫定的開港であり,その後第二滑走路の建設に向けて拡張が続けられる。2本目の滑走路延長線上には今でも住民たちが用地買収に応じない土地があり,2本目の滑走路も大幅にその長さを縮めての共用が2002年に開始される。そうした拡張計画に反対しながら,柳川氏は空港近隣で農業生活を続けている。本作で衝撃的だった映像は,国や空港会社は今でも柳川氏の挙動を監視しているのだ。しかも,監視カメラなどではなく,役人などが頻繁に観察に来るのだという。

二人目は,その二本目の滑走路の延長線に位置する民有地に一人で暮らす山崎 宏という人物。彼は地元住民ではなく,成田闘争の当時に左翼運動家であった人物。その運動の一つとして成田にやって来て,未だに一人で住み続けているという。

三人目は,やはり運動家の一人で,空港近隣で農業生活をしている小泉英政という人物。彼の成田移住のきっかけとなったのは,地元住民の大木よねという女性。夫を亡くし,その土地で電気もない質素な生活を送っていたところに用地買収の話がきて,反対する。最終的には自宅は強制撤去されてしまうのだが,小泉氏はよねさんの養子となり,この土地に移り住み。彼女の畑を裁判によって取り戻し,空港用地内の畑で農業を営み続けることによって,その後亡くなってしまったよねさんの遺志を継いで空港への反対運動を続けている。

どの運動家も個人のわずかな抵抗が,国家権力という大きなものにはかなわないことを知りながらも人生をかけて抵抗を続けており,その生き様に圧倒される。私はもちろんこうした国家権力の乱用は許せないが,一方ではそうした固有の土地にこだわる人たちの気持ちもよく分かっていなかった。しかし,本作のなかでかつて婦人運動家であった地元住民の一人が「昔はこの辺では,土地を買ったり売ったりするものではなかった」という言葉にははっとさせられた。もちろん,日本の田舎がすべてそうした前近代的な考えを持っていたわけではない。実際,本作においても他の部落は戦後の引揚者などが移住してきて開墾された地域もある。

ともかく,考えさせられることの多い作品。

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