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2015年4月

恵比寿ガーデンシネマに行ってきました。

2015412日(日)

ここのところ,新作映画にぱっとしたものがない。観たい映画の上映期間が集中して観逃してしまうことがある一方で,観る時間があるのに観たい作品がないなんてこともありますね。

ということで,妻は観たけど私は観なかった作品が都合の良い時間で再映していたので,観に行くことにした。

下高井戸シネマ 『バンクーバーの朝日

石井裕也監督作品はこれまでけっこう観てきたけど,なんとなくこちらは気が進まなかった。でも,観てよかったと思える作品。もちろん,最近はCGも使っているとは思うけど,セットは歴史的雰囲気をよく出していたし,妻夫木君の演技も良かった。やはり映画界で愛される俳優ですね。

史実に基づくとはいえ,急に頭脳野球で頭角を現すという展開はかなり無理があるものの,一つだけ他の野球映画とは一線を画す,素晴らしい点があった。それは,チームの躍進に対する温度差の表現だ。大抵の野球映画(あるいはスポーツ映画)はやはり競技者の感情の高まりが重要で「俺たちすごい!」という感じなのだが,この作品では本人たちが一番テンションが低い,というかその実感のなさをうまく表現していると思う。「ああ,俺たち初めて点取っちゃったよ」みたいな困惑の表情を捉えている。

さすがです。石井監督。

2015年4月19日(日)

この日は映画二本立て。まずは,朝から息子を連れて近くのシネコンへ。

府中TOHOシネマズ 『きかんしゃトーマス 勇者とソドー島の怪物

連れて行ったのはトーマス映画。トーマスといえばかつてはコマ撮りでその素朴さが魅力でした。もちろん,最近ではCGアニメ化しているわけですが,今回はなんとなく抵抗なく観に行くことができました。

実際に最新のCGはよくできています。物語もよくできていて,十分に楽しめました。しかし,客席はあまり埋まってなかったなあ。

一度息子を連れて帰宅し,自宅で食事をしてから再び出かけます。今度は恵比寿まで。先日お知らせしたように,恵比寿ガーデンシネマが再オープンしました。調べたら,観たいなと思う作品がやっていたので,観に行くことに。

恵比寿ガーデンシネマ 『カフェ・ド・フロール

選んだのはヴァネッサ・パラディが出演している作品。フランス語映画ですが,舞台は現代のカナダと1960年代後半のパリ。いやいや,これがなんだかすごい作品でした。まずは,ヴァネッサが出演していたパリの物語から。こちらはヴァネッサ演じる女性が出産するところから始まります。生まれたのはダウン症の男の子。父親はそんな子どもから逃れてしまい,シングルマザーとして当時ダウン症の子どもの寿命は25歳程度といわれていたため,どれだけ長生きさせられるかに命を賭ける。その子どもを演じる子役は少なくとも3人いたと思うが,まさに親子にしか見えない演技。乳児の子は実際に乳をふくませるシーンがあり,ヴァネッサはかつての輝かしいロリータ・アイドルではなく,まさに疲れた母親に見える。かつてはチャームポイントだった前歯の隙っ歯も貧しさの象徴に思えるくらい。最近はダウン症の俳優もいるが,素か演技か分からないほどの親子関係をスクリーンでみせてくれる。

さて,一方でカナダの物語。こちらは一見幸せに見える40代のDJ男性。しかし,一緒に住む2人の娘は前妻の子どもであることが分かってくる。前妻は離婚のショックで精神を病み,自分と戦う日々。それこそ映画でも語られているが,結婚するカップルの大きな割合が離婚を経験する現代。ここで描かれるような離婚はいたって普通のものであるが,かといってそれは何でもないことではなく,それによって苦しんでいる人がそれだけ増えているということでもある。そんな,当たり前のことをあたりまえではないように考えさせる映画。

パリとカナダのシーンはゆるやかにつながってはいますが,そこはうまく説明ができません。

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美術の物語

ゴンブリッチ, E. H.著,天野 衛ほか訳 2011. 『美術の物語 ポケット版』ファイドン,1046p.,2100円.

まさにタイトル通り,美術史家ゴンブリッチが一般向けに古代から現代までを図版に基づきながら解説した大著。書店で日本語版を見た時に身震いする思いでしたが,ようやく読むことができました。

とりあえず,その長大な物語の構成を目次に語ってもらいましょう。

序章 美術とその作り手たち

1 不思議な始まり 先史,未開の人びと,そしてアメリカ大陸の旧文明

2 永遠を求めて エジプト,メソポタミア,クレタ

3 大いなる目覚め ギリシャ 前7世紀−前5世紀

4 美の王国 ギリシャとその広がり 前4世紀−後1世紀

5 世界の征服者たち ローマ人,仏教徒,ユダヤ教徒,キリスト教徒 1世紀−4世紀

6 歴史の分かれ道 ローマとビサンティン 5世紀−13世紀

7 東方を見てみると イスラム,中国 2世紀−13世紀

8 るつぼの中の西欧美術 ヨーロッパ 6世紀−11世紀

9 戦う教会 12世紀

10 栄光の教会 13世紀

11 宮廷と都市 14世紀

12 現実をとらえた美術 15世紀後半

13 伝統と変革Ⅰ イタリア 15世紀後半

14 伝統と変革Ⅱ アルプス以北 15世紀

15 勝ちとられた調和 トスカーナとローマ 16世紀初頭

16 光と色彩 ヴェネチアと北イタリア 16世紀初頭

17 新しい知の波及 ドイツとネーデルランド 16世紀初頭

18 美術の危機 ヨーロッパ 16世紀後半

19 さまざまなビジョン ヨーロッパのカトリック世界 17世紀前半

20 自然の鏡 オランダ 17世紀

21 権力と栄光Ⅰ イタリア 17世紀後半−18世紀

22 権力と栄光Ⅱ フランス,ドイツ,オーストリア 17世紀後半−18世紀初頭

23 理性の時代 イギリスとフランス 18世紀  

24 伝統の解体 イギリス,アメリカ,フランス 19世紀

25 永久革命 イギリスとフランス 19世紀

26 新しい基準を求めて 19世紀末

27 実験的な美術 20世紀前半

28 終わりのない物語

 モダニズムの勝利

 モダニズムの退潮

 変わりつづける過去

本書の初版は1950年。それから最終的に1995年の16版を重ねる。ある意味でゴンブリッチのライフワークにもなった作品のようです。そして,この出版社。普通は原著の出版社に翻訳権を支払って,翻訳側の国の出版社が出版しますが,このファイドンという会社は芸術関係の多国籍企業。以前にもランドアート関係の翻訳を見たことがありますが,どうやらそういうことらしいです。なので,翻訳者の情報も巻末にちょこっと載っているだけです。

さて,もちろん多くの読者にとって本書の醍醐味は本編にありますが,私にとっての最大の魅力は「序章」にありました。私たちがどのように芸術作品に立ち向かうのか,研究者として,批評家として,そして一般の芸術愛好家として。もちろん,ゴンブリッチは研究者ですが,研究者としての立場を十二分に意識しながら,同時にその研究内容をどのように一般の芸術愛好家まで伝えるのか,そんな事柄について思索した内容が記されていて,またその実践が本編ということです。

単純に時代順に並んでいるように見えますが,古代の世界中に残された素朴なアート作品は後のヨーロッパにおける芸術の維新に関わってくるという展開で伏線になっています。そして,各章の冒頭では建築作品についても触れられているのも特徴。また,本書の原則が図版に示した作品に関してしか解説をしないというもの,また図版に示す作品の選別に関しても,著者が実物を確認したことがあるという事実を優先したということ。この辺りからも著者の美術に対する真摯な態度を学ぶことができます。

ともかく,純粋に知的および感性的刺激を得られる読書体験です。

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恵比寿ガーデンシネマ復活

まだ行けていませんが,328日に恵比寿ガーデンシネマがユナイテッド・シネマにより甦ります。この映画館のシートはお気に入りなので(シートは入れ替わっているかもしれませんが),再び座れることを楽しみにしましょう。

2015315日(水)

以前から書いてはいますが,私の勤めている会社は年度末が繁忙期ですが,ふと私だけ暇になることがあります。今年もそんな感じで,水曜日にふとお休みをいただき,映画を観ることにしました。

そんな時,妻が教えてくれた情報。私が前作を観ていた『リトル・フォレスト』の後編がもう上映終了間際だということ。ということで,久し振りに大森に向かうことにした。

キネカ大森 『リトル・フォレスト 冬・春

上で前作と書いたのは,『夏・秋』編。まあ,改めて書く必要もありませんが,橋本 愛ちゃん主演映画。コミックが原作のようですが,eatrip監修の料理がメインンの映画。一応東北地方が舞台になっていて,雪深い山間の村で季節ごとの野菜を育て,調理し,時には保存食としての加工を行い,自然とともに若い女性が生きる物語。いわゆる物語的展開がなくても楽しめる作品ですが,やはり今回は完結編ということで,最後に展開らしい展開があります。しかも,ある意味面白いハッピーエンドです。

恐らく原作とは物語の意味ではかなり違うんだろうけど(食べ物ものの漫画から実写化という意味では『孤独のグルメ』と似ているのかも),コミック原作も読みたくなりました。どこかの献血ルームにないかな。やはり,橋本 愛ちゃん,いい女優さんですね。これからもあまり出過ぎず,いいペースで成長していってもらいたいものです。

2015年3月28日(土)

この日は日本地理学会春期学術大会。私も14時からの口頭発表を控えていますが,今年も会場が下高井戸の日本大学分理学部と近場なので,午前中に新宿で映画を観ることにした。

新宿武蔵野館 『ブルックリンの恋人たち

以前から前売り券を購入していた,アン・ハサウェイ主演作。本作ではプロデューサ業も兼ねているそうです。『はじまりのうた』っていうキーラ・ナイトレイ主演作も音楽映画でしたが,本作も音楽映画。

アラブ地域で人類学調査をしていたアン演じる女性が,弟が事故に遭ったという知らせを受けてニューヨークへ。昏睡状態の弟を目覚めさせる方策として,弟が書き留めたノートなどを頼りに,ある意味ニューヨークの都市人類学的調査を始める。弟はニューヨークの路上で歌をうたうシンガーであり,彼が日常的に訪れる場所の音を集め,病室で聞かせる。こういう展開,地理学者としてとても興味深いです。

そして何より,ミュージシャンとの出会い,そしてライブハウス通い。私が音楽ライブに夜な夜な通っていた頃の楽しい思い出が甦ります。もちろん,本作に登場するミュージシャンの素晴らしいこと。一応,相手役のシンガーソングライターは人気歌手ということになっていますが,立っているステージの大きさや,バックバンドなしに一人弾き語りをするところなど,日本でいえばおおはた雄一とか,Saigenjiあたりかなと想像したり。ストーリーとしてはあまりにも映画的ではありますが,こういう夢を見ることができるのも映画なので,いいでしょう。

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