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廃藩置県(中公新書1986)

松尾正人 1986. 『廃藩置県――近代統一国家への苦悶』中央公論社,247p.,600円.

廃藩置県のことを勉強し始めたことについては前の読書日記で書きましたが,まさにそのままのタイトルの中公新書。30年前のものですが,意外にもAmazonの中古で1,500円の値がついていました。こちらの著者松尾正人も明治研究者としてはよく聞く名前なので,とりあえず購入,読むことにしました。

第一章 新政権の成立

第二章 版籍奉還の実施

第三章 集権化への歩み

第四章 藩体制の動揺

第五章 権力の結集

第六章 波瀾の政局

第七章 廃藩置県の断行

第八章 廃藩置県の反響

第九章 府県制の成立

まあ,目次はいたって常識的なストーリーです。思ったよりは廃藩置県そのものよりも,それに至る政治的過程にページが割かれています。そして,本格的な歴史書というよりは一般的な読者を想定した新書ということで,書き方も歴史小説風です。もちろん,この頃は歴史的人物が活躍する時代ではありますが,大久保利通や木戸孝允,西郷隆盛などが登場し,誰がどうしたという話が続く。個人的にはこういうの苦手なんですよね。

それでも,やはり学ぶことは多かった。特に版籍奉還の理念や,藩毎に温度や事情が違えども,形式的には上から押し付けられたものではなく,藩の側から版籍を申し出たことなど。

廃藩置県に始まる地方自治の変遷については,地理学者であれば行政境界の変遷を個別に辿るわけだが,著者にはそういう関心はあまりなく,そういうことに関する事情は本文には書かれていない。しかし,巻頭には日本地図もついているし,巻末には藩から現在の都道府県に至る系譜が細かく記された図が示されていてとても有用である。

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