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日本近代国家の形成

原口 清 1968. 『日本近代国家の形成』岩波書店,339p.,500円.

最近は廃藩置県の勉強をしています。地名が持つ政治性というのは,私の研究史上古いテーマですが,地名というのは,日本でいえば,国−地方−都道府県−市郡−町村−丁目−番地といった内包的な階層体系に名付けられたものだという前提が私にはありました。しかし,歴史上けっしてそうではなかったのではないかということに最近気づき,身近なところでは日本は明治維新後の近代化によって地方行政のありかたが変わったわけで,日本史に疎い私でも知っていることとして「廃藩置県」というのが思いついたわけです。

しかも,そこで最終的に確定した都道府県名はすでに100年ほど経過し,定着した地名となっています。さらには,日本においては国内について都道府県単位で考えるという基礎があり,県民性などは大衆文化や日常的会話の話題としてポピュラーです。その辺のことを再考するためにも,その歴史を知っておかなければという次第。

まずはネットで入手できる学術論文を読むことから始めますが,読んでいるうちに頻繁に引用される研究者や,書籍などが出てくるので,今度はそちらを当たります。3冊ほど購入し,そのなかでもより守備範囲が広いものを選択。以下のような内容です。

序説 日本近代国家の形成をめぐる問題点

第一章 中央集権国家の成立

第二章 国家の自立と近代化

第三章 明治国家権力の原型――「大久保政権」

第四章 ブルジョア革命への日本の道――その挫折

終章 日本近代国家の成立

目次からしても,現代の私のような読者が読むと,ああそうかと素直に納得してしまう内容ですが,1968年に発表されたものとしては一定のこだわりがあったようですね。それは明治期に成立した日本の近代国家がどのような性質のものであったか,ということです。すなわち近代的な国家として,それまで幕府という封建的な政治体制から一変はしたものの,相変わらず絶対王政的なものであるのか,あるいは民衆とまではいかないまでも一定の市民革命(ブルジョア革命)として民主的なものを手にしたのか,ということです。

本書では第四章のタイトルにもあるように,ブルジョア革命は挫折しており,結局成立した国家は絶対主義的なものだったと主張します。この点において現在の歴史学の定説がどうなっているのかはわかりませんが,私的にはかなり納得した。幕末から明治期のことを勉強する以前の私は単純に明治期に成立した近代国家としての日本は,君主制から民主制へと移行したと思っていましたが,大正デモクラシーはその名の通り大正だし,その後日本は軍国主義国家と突き進むしという時代の流れが理解できていなかったのです。

著者は成立した近代日本が絶対主義だと主張しながらも,その中央集権国家が成立する過程でのさまざまな抵抗について目配りをしている点が勉強になります。特に自由民権運動についてはそれこそ字面しか知らず,それがどういう背景で登場したのかということについては随分勉強になりました。

ともかく,まだまだ読まなければならない本が多いです。地理学とは違って研究者層と研究蓄積の厚さを実感するこの頃。

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