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哲学における最近の黙示録的語調について

ジャック・デリダ著,白井健三郎訳 1984. 『哲学における最近の黙示録的語調について』朝日出版社,157p.,1800円.

久し振りにデリダの意味不明な講演録を読みました。前にも書いたような気もしますが,私はインタビュー集とか講演録を本で読むのが苦手です。しかし,デリダについては対談集である『ポジシオン』をはじめ,そういう苦手意識を払拭してくれます(まあ,全般的には苦手なのですが,デリダについては平気ってこと)。

本書も,フィリップ・ラクー=ラバルトとジャン=リュック・ナンシー主催による合宿討論の基調講演とのこと。デリダの講演録がなぜ読み物としての読みにくさがないのかというと,その難解さは聴衆に対して分かりやすくしようという配慮がほとんどないということ,そしてそのことは翻って,綿密に準備された原稿に基づいていること,ということだと思う。いくらデリダでも,アドリブであんな話はできないと思う。

さて,本書には目次がありません。本書はカント論のようです。そのタイトルは1796年にカントが書いた「哲学における最近の尊大な語調について」から借りているようです。その表題を「様式において変容し,ついでパロディ化し,方向をそらし,変形しようともまたのぞんだのです」(p.22)とあります。

一方で,冒頭にはベンヤミンの「翻訳者の使命」についての議論があり,「黙示録的な」という語についての執拗な議論が繰り広げられます。次々と論点が移り,よく分からないうちに読み終えてしまい,最後には何も記憶に残らない。そんな読書体験。デリダのこういう小冊子は,一方ではさらっと読め,場合によっては立ち止まっていろいろと考える。自由な読み方ができますね。そして,哲学書でありながら詩であるような読むことの心地よさを感じもします。

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