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地図の歴史――日本編

織田武雄 1974. 『地図の歴史――日本編』講談社,188p.,740円.

私が非常勤で受け持っている地理学の講義ではよく地図の歴史の話をする。元ネタは久武・長谷川『地図の文化』だが,以前住んでいた近所の古書店で入手した『ブラウンとホーヘンベルフのヨーロッパ都市地図』を持っていたので,都市図の話も盛り込んでいた。その際に参考にしていたのが矢守一彦『都市図の歴史――世界編』だった。それは講談社のハードカバーだったが,織田武雄『地図の歴史』の存在は知っていた。こうして改めて注文して入手すると,日本編と世界編とが分冊されて講談社現代新書になっていたのは知らなかった。

第一章 古代および中世の地図

第二章 近世初頭の世界図の発達

第三章 鎖国下の江戸時代の地図

第四章 蘭学と世界図

第五章 伊能忠敬の実測日本図の完成

第六章 北辺地方の探検と地図の発達

第七章 ヨーロッパの地図にあらわれた日本図の変遷

第八章 明治以降における近代地図の発達

目次から分かるように,先日読んだ『地図から読む江戸時代』とは違い,対象範囲は広い。むしろ,日本で作成された世界地図,ないしはヨーロッパで作成された世界地図における日本の描写,というところが中心ともいえる。ただ,もちろん日本図の基本的な史実についても記載されている。地図史の研究は最近盛んのようだが,本書は長らくその基本文献であったのだろう。ある対象の歴史書の王道たる書き方である。

本書で勉強になったのは第六章。ヨーロッパの地図の発達にとって探検が大きな役割を果たしているのは常識だが,日本地図においても同様であったこと。そして,北海道を含む地域については,日本だけの問題ではなく,特にロシアと関わる国際問題であったこと,その過程でカラフトの全容が日本人の手によって明らかにされたことなど,知らないことが多かった。

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コメント

けっこう参考になりますよね。私も授業の前に読みました。

投稿: あおき | 2015年10月28日 (水) 20時42分

あおきさん

久し振りコメントありがとうございます。
上杉さんの『地図から読む江戸時代』も面白いので,読んでみてください。

投稿: ナルセ | 2015年10月31日 (土) 17時39分

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