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エスニシティの社会学

マルコ・マルティニエッロ著,宮島 喬訳 2002. 『エスニシティの社会学』白水社,169p.1027円.

今年度は明治学院大学で社会学の講義を担当している。私が担当する「社会学6」はテーマが「エスニシティ,地域,境界」というもの。とりあえず,境界については翻訳に参加したフリントの『現代地政学』で境界に関する章を担当したし,最近勉強している廃藩置県に伴う都道府県の確定の話題も使えるので引き受けた。

私の講義では1セメスターに2回のレポートを課し、そのうちの1つは小レポートとしてちょっとした本を読んでもらっている。そんな課題図書の候補として読んでみたのが本書。まずは目次から。

第一章 概念の生成

第二章 エスニシティの三つのレヴェル

第三章 エスニシティへの主要な理論的アプローチ

第四章 エスニシティと社会階級

第五章 エスニシティと性

第六章 エスニシティ,政治,紛争

結論

やはり宮島さんが訳しているだけあって、入門書的に書かれてはいるけど、ちょっと日本の学部学生には難しい気がする。私自身が素直に勉強になったので、課題図書にしたところで、読書感想文しか書かせられない。

イタリア系のベルギー人でフランス語で執筆する著者によれば、フランス社会学におけるエスニシティ研究は最近まで盛んではなかったらしい。そもそも英語のエスニシティの語も新しい造語であり、特に米国の文脈で研究が盛んになったという。

本書の構成は非常に入門書的で、目次は明確である。第二章の三つのレベルとは、微視(ミクロ)-中間(メソ)-マクロ(巨視)であり、それが必ずしも空間スケールを意味しないのは社会学だ。

第三章ではいくつかの二項対立でさまざまな理論を整理している。最初に登場するのは自然主義ということで、これも最近読み直したハラウェイの『猿と女とサイボーグ』で登場する社会生物学の議論も出てくる。セックスとジェンダーの関係に似た関係が人種と民族にはある。

第四章以降は他の社会的属性との関係、あるいは社会学におけるさまざまなテーマ間との関係が論じられる。本書はあくまでも入門書ということですが,クセジュ文庫の一冊ですから各章があっさりと終わって次に行ってしまうのは難点。ただ,まさに入門者の私にとっては適切な読書でした。

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