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帝国主義

レーニン著,宇高基輔訳 1956. 『帝国主義』岩波書店,231p..778円.

以前からレーニンの帝国主義論は知っておきたいなと思い買っておいたが,ちょうど講義の補足資料として読むのにいい機会だった。本書は第一次世界大戦,ロシア革命ののただなかに出版されたようで,原題は『資本主義の最高の段階としての帝国主義』という。序言にも書かれているが,ツァーリズムという当時のロシア君主体制における検閲を想定し,社会主義を目指すような思想書としてではなく,資本主義の現状を分析する経済書としての形式を保っている。ということで,以下のような目次である。

第一章 生産の蓄積と独占

第二章 銀行とその新しい役割

第三章 金融資本と金融寡頭制

第四章 資本の輸出

第五章 資本家団体のあいだでの世界の分割

第六章 列強のあいだでの世界の分割

第七章 資本主義の特殊の段階としての帝国主義

第八章 寄生性と資本主義の腐朽化

第九章 帝国主義の批判

第十章 帝国主義の歴史的地位

本書は基本的に既存の経済研究を基に,データの提示と多くの引用がなされている。資本主義の大国として,イギリス,フランス,アメリカ合衆国,ドイツに関するさまざまなデータが提示されながら,議論が展開する。大企業への労働者,資本の集中,大銀行への資本の集中の状況が確認され,特に銀行に着目し,その資本を流動化させ,時間を利用し,金利から利潤を生むという資本主義における重要性が指摘される。それは商品の輸出から資本の輸出へと移行し,外国への投資は資本主義を帝国主義へと移行していく。自由競争の資本主義から過渡的な独占の資本主義へ,資本家たちの独占団体(カルテル,シンジケート,トラスト),資本主義諸国の植民政策と金融資本との密接な結びつきと展開し,19世紀末には地球上の未占有地の占取が終了する。

本書で帝国主義は資本主義の独占段階と定義され,1 高度の発展段階に達した生産と資本の集積,2 金融資本を土台とする金融寡頭制の成立,3 商品輸出と区別される資本輸出,4 国際的な資本家の独占団体が世界を分割,5 資本主義的諸列強による地球の領土分割が完了といった特徴が示される。

さすがに歴史的古典だけあって,とてもよく書かれています。勉強になります。

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