恋人たち
2015年12月5日(土)
新宿テアトル 『恋人たち』
前の週に映画館まで行ったら,観ようと思っていた回にイベントが予定されていて,すでに指定席は完売していて諦めた。今週こそはと新宿に出かける。幸い,前の週は前売り券もチケット屋で完売していたのだが,「近日入荷予定」という言葉に期待を込めていったら購入できた。公開されてから前売り券を増刷するってあまりないのではないだろうか。
で,劇場に到着すると,なんとこの日もイベントあり。しかも,橋口監督とリリー・フランキーが登壇するという。当然,指定席は完売。これ以上先延ばしにできないので,本当に何十年かぶりの立ち見となりました。まあ,結果的にはトークショーも面白かったので,よしとしますが,個人的にはイベントをやれば人が集まるのは当然なので,平日にやって欲しいと思う。イベントに参加したい人はなんとしてでも行くだろうし,私みたいな純粋な映画ファンは普通に座って作品を観たいだけなのだ。立ち見と行っても通路に座ったりして観られるとタカをくくっていたら,本当に座席の後ろだけしか許されなかった。40歳台には辛いです。
ただ,本作に関しては立ち見でも十分におつりのくる内容でした。橋口監督作品を私が初めて観たのは『ぐるりのこと。』だったが,その後再映で『ハッシュ!』を観た。正直『ぐるりのこと。』は心底気に入った映画にはならなかったが,『ハッシュ!』は素晴らしく,今後この監督の作品を見逃してはならないと決めたのだ。もちろん,本作の前の短編『ゼンタイ』も観ました。今回,この『ゼンタイ』とほぼ同じキャストで,ワークショップ形式で数年間の活動の集大成として『恋人たち』があるということらしい。
『恋人たち』については特段私がなにか書く必要は感じない。とにかく観るべき作品。本当にこの作品が生まれた時代を同時に生きたことに感謝したいと思える作品。しかし,同時にこの作品が描くこの時代はとてつもなく歪んだ世界であり,本作はそれでも生き続ける人間と,その人間にもわずかに残っている良心とを信じたいという気持ちがにじみ出ている。
トークショーでは,あのリリーさんがもちろんくだらない話で笑わせるものの,終止橋口監督を褒め讃える。監督の話で印象的だったのは,橋口組の大道具・小道具さんの話で,登場人物が暮らしている部屋のセットがまさに人が暮らしている雰囲気(リリーさんは「他人の家の臭いがする」と表現していました)がリアルで,しかも画面には映るはずもない押入にもきちんと生活の用具が入っているということだそうです。出演俳優も,裏方さんも橋口監督の理想を一緒に追い求めているのでしょう。映画自体のメッセージだけでなく,映画の形式というか画面一つ一つにすした製作者側の意識が写し込まれた作品だといえるでしょう。
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