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揺れる大欧州

アンソニー・ギデンズ著,脇坂紀行訳 2015. 『揺れる大欧州――未来への変革の時』岩波書店,241p.,2500円.

ギデンズといえば,最近1984年の著作『社会の構成』が翻訳された。この本は彼の代表的な理論,構造化理論の主著として知られているが,その理論的源泉の一つとしてスウェーデンの地理学者ヘーゲルストラントの時間地理学が用いられたというので,地理学者にはなじみ深い社会学者である。

私も一時期読もうと思っていたことがあるが,結局『社会学の新しい方法規準』と『近代とはいかなる時代か?』の2冊しか手元にない。そんなうちに,ギデンズはすっかり偉くなってしまったようで,英国ブレア政権の政策ブレーンを経て,現在は自身が上院議員も務めているとのこと。そういう彼も今年で78歳か。

本書を手にとったのは,明治学院大学の講義で最後にヨーロッパの話をしようと決めていた。1冊の参考図書は,梶田孝道の『新しい民族問題』だったが,新しいといいつつ出版が1993年でサブタイトルにECとある。ということで,新しいところでもっとざっくりとした話をしたいなと思って見つけたのが本書。あの理論社会学者のギデンズが今何を書いているのかという興味もあった。

序章

第一章 運命共同体としてのEU

第二章 緊縮政策とその影響

第三章 社会モデルはもうなくなったのか

第四章 世界市民に必要なこと

第五章 気候変動とエネルギー

第六章 EUの安全保障政策の行方

結論

前半は経済政策に費やされ,非常に読みにくい。かつては難解な哲学書を次々と検討するような書き方だったが,言及する文献には「Available online」というのが目立つ。形而上学の世界から形而下学の世界へと降りてきたようだ。

そうはいいつつ,第三章辺りになると社会学的な記述が増え,筆も進んでくるようで,読みやすくなる。やはり社会学者ですね。そしてどうやら最近力を入れているのが環境問題とエネルギー問題のようで,2011年には『the politics of climate change』なる本も書いているようです。個人的にはこれが読みたいかな。

まあ,とにかくしっかりと頭に残ることは多くありませんが,多数出ているギデンズの翻訳書くらいはしっかり読んでおきたいと思わせる読書でした。

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