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アイヌ民族と日本人

菊池勇夫 1994. 『アイヌ民族と日本人――東アジアのなかの蝦夷地』朝日新聞社,297p.,1400円.

アイヌ関係の研究書はかなりの数が出版されている。少しずつ読んでいくつもりではいるが,私のような片手間の興味で全てを読み切れるわけではない。本書はまた神保町で購入したもの。神保町では「古本まつり」が行われるが,私の勤める会社が神保町に移転してから初めての「古本まつり」で,せっかくなので覗いてみるかということで,15分くらいで路上に出ている書棚だけという制限のなか,選んだ一冊。あまり期待はしていなかったが,とてもいい本だった。

序章 東アジアの視野のなかで

第一章 近世蝦夷地の歴史的前提

第二章 アイヌ民族と幕藩制国家

第三章 蝦夷地の開発とアイヌ社会

第四章 東アジア物流のなかの蝦夷地

第五章 蝦夷地と華夷意識

第六章 近代化のなかの国家と民族

終章 「北門鎖鑰」史観をのりこえる

アイヌ研究をとことん追求するつもりはないのだが,ともかく目次を見て「場所請負制」にそれなりに紙幅を割いている本は読みたいと思っている。本書も第三章の1節が「場所請負制の展開」と題されていたので,購入した次第。しかし,なかなか広い視野を持ったアイヌ研究。

まず,第四章の主題でもありますが,本書における東アジアの視野というのは主に物流という観点からになっている。場所請負制とはそもそもが労働集約的漁業であるから,そこで大量に収穫され,場合によっては加工された商品のいきつく先が重要である。それは私がこれまで読んだ本でも示唆されていたが,本書はその流通をきちんと跡づけています。まあ,地理学者としては地図化されたものがないのを不満に思ってしまいますが。

また,東アジアの視野というのは先日読んだテッサ・モーリス=スズキにもありましたが,彼女の場合はロシア側が中心。本書はそれに加え,本州の東北地方についても言及しています。そして,それが民族の捉え方の本書における独特なところ。「アイヌ民族」を所与として捉えるのではなく,さまざまなアイヌ民族の特徴とされていることについても疑いの目をもって,相対的に「アイヌ」を捉えようとしている。有名なシャクシャインの蜂起についてもしっかりとした知識をつけることができたと思います。

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