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意味の限界

ストローソン, P. F.著,熊谷直男・鈴木恒夫・横田栄一訳 1987. 『意味の限界――『純粋理性批判』論考』勁草書房,367p.,4000円.

著者ストローソンは本書の訳者解説によれば「戦後英国哲学界を代表する一人」とされる。私が彼の名前を知ったのは,古書店でたまたま見つけて購入して読んだ『個体と主語』(みすず書房,1978)が思いもがけず面白くて,博士論文のなかの場所論で大いに活用させてもらった。

『個体と主語』の原著は1959年で,本書の原著は1966年,翻訳も1987年には出ていますが,『個体と主語』の読後すぐに見つけたわけではなく,その後発見して購入。しかし,本書はカントの『純粋理性批判』に関する論考ということで,『純粋理性批判』を読んでからにしようと置いておいた。結局『純粋理性批判』は未だ読んでいないが,最近未読の蔵書もなくなってきたこともあり,とりあえず読むことにした。

序文

Ⅰ 概説

Ⅱ 経験の形而上学

第一章 空間と時間

第二章 客観性と統一

第三章 持続性と因果性

Ⅲ 超越的形而上学

第一章 仮象の論理学

第二章 霊魂

第三章 宇宙

第四章 神

Ⅳ 超越論的観念論の形而上学

Ⅴ カントの幾何学論

こうして改めて目次を振り返ってみても,魅力的な内容が本書には含まれているのだが,読後にきちんと頭に残っているものはない。久し振りに活字の字面をただ追うような読書になってしまった。

カントが『純粋理性批判』のなかで空間論を展開していることは有名で,地理学者のなかでも翻訳されたメイ『カントと地理学』がそれを丁寧に解説している。なお,カントの講義録で『自然地理学』があるのも,地理学者がカントを研究する一因。『カントと地理学』は実際にカントの著作を読んでいなくてもそれなりに理解できる内容だったが,本書は読んでいないとほとんど歯が立たない代物。本書の表題「意味の限界The bounds of sense」の意味もほとんど読み取れなかった。

まあ,それでも本気で『純粋理性批判』に取り組もうと思わせる読書でした。

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