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中世音楽の精神史

金澤正剛 1998. 『中世音楽の精神史――グレゴリオ聖歌からルネサンス音楽へ』講談社,270p.,1700円.

本書は近所の公立図書館でリサイクル本として出されていたもの。一応,少しは音楽研究なるものをかじっている身として,西洋音楽の歴史も知っておきたいと思っている。本書は講談社メチエの1冊であり,この位軽い本だったらもらってもいいかなと思った次第。通勤電車の一往復半で読むことができた。

プロローグ――グレゴリオ聖歌と中世の教会音楽

第一章 中世の音楽教育

第二章 ポエティウスの音楽論と中世知識人たち

第三章 オルガヌムの歴史

第四章 ノートルダム楽派のポリフォニー

第五章 アルス・アンティカの歴史的位置

第六章 アルス・ノヴァとトレチェント

エピローグ――ルネサンス音楽への道

クラシック音楽とは,その名称が古さを強調しているものの,成立は近代期である。本書の著者の専門がルネサンス音楽で,本書はそれをよりよく理解するために,その前史を辿るものだという。しかも,表題にあるように,音楽史そのものではなく,精神史がテーマ。ということで,クラシック音楽ですらほとんど知らない私にとってはある意味未知の領域。

第一章は音楽教育について論じられ,当時の教会の社会的役割と当時の知識階級における音楽の位置,ヨーロッパで誕生してくる大学の話など,視野は広い。第四章,第五章でもその展開の中心となったパリについても若干都市の構造についても言及している。

やはり中世という時代は音楽にあっても,歴史的記録の問題がある。つまり,音楽作品を記録に残すということが徐々に成立していくという時代であり,その手段である「楽譜」というものが試行錯誤で出来上がっていくという過程を説明することに本書は多くを費やしている。そして,その結果として音楽の形態も変化していく。また,それを担う人物たちの関係,最後の方にはフランスとイタリアの関係などについても言及されている。

まあ,理解できないところは少なくありませんが,こういう読書を重ねて少しずつ理解が深まっていければと思います。

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