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理論地理学

ウィリアム・バンジ著,西村嘉助訳 1970. 『理論地理学』大明堂245p.,1300円.

翻訳は私の産まれた年の出版でしたね。原著は1962年。当時は米国を中心に計量地理学というのが流行っていて,日本でも本書を含め,主要な本が翻訳され,いくつもの教科書が出版されたようです。今では計量地理学なんて過去の過去といった感じもありますが,日本の人文地理学が一丸となって成果を出していたという点では,華やかし頃の時代なのかもしれません。

といっても,本書はいわゆる計量地理学の本ではなく,今でいう数理地理学ということになるが,ある意味新鮮で,ある意味懐かしい読書だった。本書を今更読もうと思ったのは,先日読んだロシアの地図学者アスラニカシュヴィリ『メタ地図学』の書名が,本書からきているということを知ったため。以下に目次を示しましたが,確かに第2章のタイトルですね。

第1章 地理学の方法論

第2章 メタ地図学

第3章 形の測定

第4章 記述的数学

第5章 運動の一般的理論へ

第6章 実験的および理論的中心地

第7章 距離・近さ・幾何学

本書の内容を簡単に説明すると,空間というものをさまざまな数学を用いて表現する方法を探究するもの。空間といっても,抽象度の高い概念としてではなく,地理学者はよく地理空間という言葉を使うが,地表面上に繰り広げられる人文現象の説明をも含んでいる。

私が在籍していた東京都立大学の地理学教室は,当時「計量地理学の最後の砦」なんていわれることもあったが,正確には数理地理学を専門とする研究者が何人か在籍していた。そのせいもあって,大学院の教科書に当時,そういう人たちが翻訳していたグールド『現代地理学のフロンティア』などを使っていたので,本書の議論のその後の展開などはある程度知っていた。

まあ,ともかくこの種の試みはある意味で,地理学本質論というか,余計なものを切り落として地理学が扱う空間について純粋に考えると到達するテーマのように思う。しかし,著者のバンジ(その後,竹内啓一氏がブンゲと呼んだりする)は社会派に転じ,タクシードライバーをしながら,ラディカルな地理学者になるって展開も面白い。

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