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Landing: Eight collaborative projects between artists + geographers

Driver, F., Nash, C., Prendergast, K. and Swenson, I. eds.

2002. Landing: Eight collaborative projects between artists

+ geographers. London: Arts and Humanities Research

Board, 64p.

本書は,私が2013年に『地理学評論』に発表した風景芸術に関する論文を執筆中にみつけたもの。いくつかの芸術関係の地理学論文に引用されていたが,きちんとした著書というよりは,美術展のカタログ的なもので,いわゆる著者とか編者というものが明記されておらず,Amazonで探す際も少し苦労した。ともかく,大学図書館で所蔵している大学はない様子。

小冊子だが,デザインも凝っていて表紙,裏表紙にもびっしりと文字が印刷されていたりします。論文執筆当時はペラペラめくるだけだったが,今回一通り読んでみた。一応,以下に目次を示しますが,分かりにくいです。本書はロンドン大学ホロウェイ校の地理学者を中心に企画された,地理学者と芸術家の8つのコラボレーションの記録。参加している人のなかで,キャサリン・ナッシュという地理学者は,キャシィ・プレンダガストという芸術家の作品を分析する研究論文を発表していて,そんなつながりから広がっていったのではないかと想像される。

本書の巻末に文章を寄せたキュレーターのイングリッド・スウェンソンがまとめやくで,『視覚的方法論』という著書もある地理学者のジリアン・ローズが寄稿していて,8つの展示について一通りの解説をしているご意見番といったところか。目次で「+」で結んだ8つの章がコラボレーションの内容で,芸術家と地理学者の組み合わせになっている。それぞれタイトルがなく,名前だけが列記されているので分かりにくい。

序章:フェリックス・ドライヴァー,キャサリン・ナッシュ,キャシィ・プレンダガスト

ケース・スタディ(着陸,進展しながら制作する展示):ジリアン・ローズ

ユアン・クルス+ルシアナ・マーティンス

マシュー・ダルツェル,ルイーズ・スカリオン+ジャン−リュック・シュウェニンガ

ジェレミ・デラー+アドリアン・パルマー,デイヴィド・ギルバート

ジャクリーヌ・ジェフリーズ+ロブ・ケンプ

ジャニス・カーベル+フェリシティ・カラード

ニルス・ノーマン+ヴァンダナ・デザイ

キャシィ・プレンダガスト+キャサリン・ナッシュ

リチャード・ウェントワース+フィル・クラング

コラボレーションに関する思考:イングリッド・スウェンソン

作者紹介

芸術展示といっても,芸術家の活動に地理学者が口を出してギャラリーで展示されるというものではなく,大学の研究室を展示の場所としていて,主にその鑑賞者は地理学者が想定されているようだ。地理学といっても自然地理学者も含んでいて,芸術作品の素材としての岩石や鉱物,植生などが用いられる。地理学者の手法としてのフィールドワークが取り入れられ,自然観察や街でのフィールドトリップと景観観察,そんなものも含まれる。

既に地理学者との関係も深いキャシィ・プレンダガストによるこのときの制作作品は,想像上の地図。一見,普通の地図に見えるのだが,地図に書込まれる「地名」に着目し,どこにどんな言葉を書込むのか,というところに芸術性と思想を忍び込ませるというもので,とても刺激的だ。ともかく,英国ではこういう試みがけっこうすすんでいるようで面白い。日本でも,まだまだ芸術への関心は低いが,おそらく若い世代にはこういうことをできる素養があると思うので,こういうことができる可能性はあると思う。

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