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オスマン帝国

鈴木 董 1992. 『オスマン帝国――イスラム世界の「柔らかい専制」』講談社,254p.,800円.

また持参した本が読み終わってしまい,急遽外出先の書店で新刊で購入。今,アブー=ルゴド『ヨーロッパ覇権以前』を読んでいるが,これを講義用にまとめるには,私の世界史の知識が足りないので,一般書で補足しなくてはと思っている。幸いというか,最近の流行というか,世界史をヨーロッパ以外の地域に焦点を当てる歴史研究が多く出ているので本の選択には困らないだろうと思ったが,あまり大きな書店ではなかったので,かなり悩んだ挙げ句,かなり前に出版されたものになった。

序 「トルコの脅威」の虚像

1 戦士集団から国家へ

2 コンスタンティノープルの攻防

3 イスラム=共存の知恵

4 イスラム的世界帝国への道

5 「壮麗者」スレイマンの光輝

6 「組織の帝国」の伝説

7 人材吸収・養成のシステム

8 超大国の曲がり角

まあ,結果的には私の知識のなさが勝っていたので,本書からも学ぶことは多かった。そもそも,別の講義でサイードのパレスチナ論の話をしているが,パレスチナについて調べている過程で,オスマン帝国が20世紀まで存続していたことを知り,驚いたくらいの私ですから。

本書の記述はちょっと私には苦手なタイプ。まさに歴史小説っぽい。歴史小説ってのは,史実に基づきながらも,近代小説のように,主人公のことを俯瞰しながら観察するような視点で描かれる。しかし,歴史的資料ってのは,いくら有名人でも,個人の一挙手一投足が分かるような形で残されているわけではない。そういう意味でも,歴史小説はフィクションなのだ。

まあ,本書は講談社現代新書の1冊だから,これでいいんだと思う。研究者が読むには,文献も示されていないことなど,不満が多いが,一般向けとしても,今後の読書案内として日本語で読める平易な本を紹介してくれたらよかったと思う。

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