« テキヤ稼業のフォークロア | トップページ | 自然の死 »

今年に入って観た映画

2017年2月1日(水)

新宿シネマート 『太陽の下で

映画サービスデイに何を観るかと悩み、時間的にもちょうどよかった北朝鮮のドキュメンタリーを選択。ロシアの映画監督が北朝鮮の日常を描くために企画するが、その台本は北朝鮮政府当局が書き、北朝鮮によって演出がなされるといった内容。ドキュメンタリー映画でありながら、北朝鮮の演出家が度々登場し、「ああじゃない、こうじゃない」と指示を出し、やり直しをさせる。

よくメディアなどでも登場する北朝鮮のマスゲームなどに代表されるように、北朝鮮という国は国民全体に対する厳しい統制がなされているという印象を私たちは持っている。この映画はその印象を確実なものにするが、一方では私たちの生活そのものを問い直すことにもなる。

社会学で「役割論」とか「演劇論(ドラマトゥルギー)」という議論があるが、私たちは社会の一員として何かしらの役割を演じることで成員として認められるという。北朝鮮の状態は特異なものだと私たちは思いがちだが、果たしてそうであろうか、また北朝鮮の国民は不幸で、私たちは自由を謳歌していると思いがちだが、果たしてそうであろうか、そういうことを考えさせる映画だと思う。

2017年2月9日(木)

立川シネマシティ 『未来を花束にして

キャリー・マリガン主演ということで、早速前売り券を購入。観終わって、やはり彼女は今私が一番好きな女優だと確信。ヘレナ・ボナム=カーターも主要な人物として出演しているが、最近ティム・バートン監督作品ばかり出ているが、昔はこうした英国の歴史作品に出ていたなあと思い出す。歳は取りましたが、いい味を出しています。メリル・ストリープの出演を知った時は「うーん」と思いましたが、ちょい役だったのでよかった。主人公の夫役にベン・ウィショーが配役されていることも贅沢。

本作は、英国で女性の参政権が獲得されるまでの女性運動を描いています。しかも、当初そうした運動は平和的に行われていましたが、なかなか耳を貸さない男性たちに対して徐々に暴力に訴えていくその段階を中心に描いているところが今日的な映画に仕上がっています。女性たちは街中でテロ行為を繰り返します。といっても、一般市民を犠牲にしないという細心の注意を払って、やることといったら郵便ポストの爆破などと小規模なものですが、最後に描かれるのはちょっとした自爆テロ。こちらも自分は亡くなったがそのほかの犠牲は競走馬ちょジョッキーの負傷といった規模のもの。

しかし、それらを観るにつれ、現代のテロを思い起こさずにはいられません。当時の女性たちは言葉で説明しても聞いてもらえない、ということから世間の注目を浴びるためにテロ行為を行うわけです。しかも、人命に関わるような大きな行為はそれこそ最終手段。そもそも社会の半分を占める成員の声をなぜ聞こうとしないのか、と今日から考えると不思議なことですが、これを英国社会から、全世界に思考を拡張してみましょう。世界の半分がイスラーム教徒とはいいませんが、キリスト教徒の割合と比較しても少ないなんてことはない。しかし、世界はキリスト教を基礎とする欧米によって支配されている。男女の対立をキリスト教 対 イスラーム教に当てはめるのは強引ですが、ともかく「対テロ戦争」とか「テロの封じ込め」というのはまさにこの映画で警察による女性運動の取り締まりと同じように思えます。

|

« テキヤ稼業のフォークロア | トップページ | 自然の死 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

「太陽の下で」は、こちらのミニシアターでは来月公開。
たぶんスルーすると思います。
 **********
「未来を花束にして」はあまり注目していなかったのですが、予告編に惹き込まれたので、どうするか迷っています。

投稿: 岡山のTOM | 2017年2月24日 (金) 16時38分

TOMさん

『太陽の下で』は確かに、エンタテイメントを求める作品ではありませんね。

『未来を花束にして』は是非観てください。

投稿: ナルセ | 2017年2月26日 (日) 06時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/218863/64932368

この記事へのトラックバック一覧です: 今年に入って観た映画:

« テキヤ稼業のフォークロア | トップページ | 自然の死 »