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概説イスラーム史

板垣雄三・佐藤次高編 1986. 『概説イスラーム史』有斐閣,316p.,1900円.

ますますイスラームのことを学ぶ必要性を感じる。大学の教科書で、アブー=ルゴド『ヨーロッパ覇権以前』を使うことで、一読するだけでなく、学生に説明するためにレジュメを作ったり、私的にはかなり理解が深まってる。と言っても、もともと世界史の知識のない私なので、山川出版社の高校の世界史の教科書の助けを借りているのだが、どちらも佐藤次高氏が関わっていることを知って、イスラームへのとっかかりを得た気がした。

また、この教科書を使った授業は東京経済大学で行なっているが、この大学といえば板垣雄三氏のいた大学でもあるということで、本書を読んでみようということになった。目次は以下の通りだが、目次自体に面白みを感じないのはいかにも1980年代の教科書だが、逆にいうと、著者に丸投げするのではなく、しっかりと編集方針が定まっているともいえる。また、同じタイトルの章を違う著者に書かせるというところも面白い。しかし、読んでみると板垣氏自身が書いた文章がないことに気づき、ちょっと残念。

序章 世界史のなかのイスラーム(佐藤次高)

1章 イスラームの政治的展開(後藤 晃)

2章 イスラームの社会的展開(佐藤次高)

3章 イスラームの危機(山内昌之)

4章 現代のイスラーム世界(山内昌之)

5章 支配とエリート〔Ⅰ〕(湯川 武)

6章 支配とエリート〔Ⅱ〕(永田雄三)

7章 都市と農村〔Ⅰ〕(坂本 勉)

8章 都市と農村〔Ⅱ〕(加藤 博)

9章 民族と宗教・宗派〔Ⅰ〕(清水宏祐)

10章 民族と宗教・宗派〔Ⅱ〕(山内昌之)

 

やはり思った通りイスラームは一筋縄では理解できない。なにせ一つ一つの概念が現地の言葉で登場し、当然それがカナ表記で頻出するのだからなかなかついていけません。しかも、フォントが小さくかなりの文字数の本書ですら「概説」でしかないのだから。

しかし、イスラームについて知るのは日本というのは恵まれた環境であるとも思う。サイードの本など読むと、欧米におけるイスラーム報道は、メディア権力による圧倒的な力である種の言説が流布されているのに対し、日本はそこまでではない気がするし、非常に優れたイスラーム研究者が多く、またかれらによる研究所も多く出版され、また外国の優れた研究書の翻訳も進んでいるのだと思う。そうしたものを一つ一つゆっくりと読んでいくことにしたい。

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