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日本の地名

鏡味完二 1964. 『日本の地名――付・日本地名小辞典』角川書店,162+64p.160円.

 

本書の改訂版ともいえる鏡味完二・鏡味明克『地名の語源』については,すでにこの読書日記でも書いているが,本書は角川新書の1冊。角川新書を購入するのは初めてだが,地理学者による新書執筆というのは比較的珍しいので,貴重な一冊。しかし,「おわりに」を明克氏が執筆していて,著者は本書の完成を待たずに亡くなってしまったとのこと。

はじめに
第一章 地名学とはどんな学問か
第二章 どうして研究したらよいか
第三章 むずかしい地名の意味をどうして解くか
第四章 地名にはどんなタイプがあるか
第五章 地名はどんな形で分布するか
第六章 地名の発生年代は決められるか
第七章 地名の正しい書き方
第八章 郷土の地名の調べ方
第九章 地名研究の参考書
おわりに

〔附録〕日本地名小辞典

著者の地名研究は,日本地図スケールの分布図を作成するという方法論が特徴だが,その作業の際に資料とされるのが,国土地理院の地形図であるという前提がある。すなわち国の機関が発行する地図に掲載される地名=公的な地名ということだ。そこに記載されなくなる地名というのは,ある意味で喪失であり,記載されるものは格上げということになるのか。なので,その選択が正しいのかという議論へとつながる。そしてある意味では,科学的に地名について研究することが,より正しい地名を公的に保存し,後世に残すという使命ともなる。今となっては懐かしい科学観だともいえようか。

そういう意味でも,地名の問題は難しい。駅名などは地図に載るものではあるが,私的企業の決定によって決まるものであると同時に,公的地名から消滅したものが駅名として残されるということもある。地形図に掲載される地名は行政地名だけではなく,集落名は重要な存在である。しかし,集落名のようなものは私の地名への関心においてはほとんど対象外である。集落名はその土地に関わりがある人にとってのみ意味を成すものだが,私の場合には基本的に不特定多数の人にとって意味を成す地名に関心があり,それは公的地名に限定されない。そういう意味でも,本書は地理学における地名研究の一時代を築いた研究者の成果としては学ぶことが多いが,著者が示した方法に従った研究を私自身がするわけではない。

 

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