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地名の論理

山口恵一郎 1984. 『地名の論理』そしえて,236p.1800円.

山口恵一郎の地名本2冊目。正直言って,ここまで何冊か読んできた地名の本だが,目次構成がどれも似たりしていて,どの本に何が書いてあったかが混同しつつある。本書も冒頭に「地名とは何か」とあり,「またか」という感じだったが,とりあえず読み進む。

Ⅰ 地名とは何か
 1 地名と現代生活
 2 地名をどう理解するか
Ⅱ 地図と自然地名
 1 自然地域の名称
 2 火山の図式
 3 日本列島――その陸と海
Ⅲ 地名の類型と地名相
 1 古代産業と地名
 2 発生からみた地名の四つの類型
 3 地名集団の生態学
 4 国郡の変転と地方・県名譚
Ⅳ 現代地名論
 1 “ウェット”か“ドライ”か――地名統一論
 2 水部地名余論
 3 地名の特異な文字の物語
 4 地名のかな書きと漢字書き
 5 文化のレベルダウン論――外国地名の書き方の問題
 6 日本式かヘボン式か――地名のローマ字表記論
 7 Tokyo-wanかTokyo
Wanか――ローマ字注記則の問題
主要自然地域名称図

そういうこともあり,目次をきちんと読めば分かるのだが,本書のⅡが「自然地名」を扱っているように,巻末の「主要自然地名称図」を掲載するのが本書にとってけっこう重要なようだ。前の読書日記にも書いたように,著者は生粋の地理学者というよりも,国土地理院や地図センターで務めた地図業界でのお偉い方です。そういう意味では,彼がいう地理学が自然地理学なのか,人文地理学なのかは判然としないが,やはりどちらも扱う地図を中心としているために,そちらも分け隔てなく関心や知識があるのかもしれません。現代においてアカデミックなレベルで自然と人文を双方扱うというのは地理学史研究でない限り非常に難しいが,著者についてはアカデミックというより一般向けと考えた方がよさそうです。しかし,それだからこそ,この手の本には貴重な主張や知識,考え方が残されているかもしれません。

実際,そういう意味では第Ⅰ部はよく聞いた話だし,第Ⅱ部は私の関心外,第Ⅳ部は地名保存という観点における現代の問題の列挙,という感じであり,残った第Ⅲ章に私にとっての得るところがあった。第Ⅲ部は地名研究の中心である歴史考証ということになるが,「4 国郡の変転と地方・県名譚」は下記のような展開で,地方自治の歴史が概観される。
畿とその設定
道の成立(「みち」ではなく東海道などの道)
国の変遷(こちらももちろん武蔵野国などの旧国)
郡の興亡
府県の誕生
府県の確定
などと続く。ただ,残念なのは各項目が図版も入れて2ページずつ程しかなく,浅く広くという感じ。そして,参考文献もほとんど示されていない。

ただ,同じ地名でも小地名だけでなく,国名や府県名といった広域地名に目配りしてあり,しかもその歴史的経緯について記述してあるというのは非常に貴重である。この成果を文献で補いつつ,現代の地名の階層関係という私の主たる関心に引き寄せていくという方向性が見えてきました。

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