« ニッポン 旅の絵本 | トップページ | 新・地名の研究 »

地名の研究

柳田国男 1968. 『地名の研究』角川書店,316p.240円.

ついに読みました。柳田国男の『地名研究』。ちなみに,本書はもともと古今書院から昭和111936)年に出版されています(私の母親の生まれた年か)。しかも,断片的に本書に収められたのは日本地理学会の学会誌『地理学評論』に掲載されていたものもあるということは知っていた。古今書院は今でもある出版社だが,地理学が中心でたまに人類学の本も出したりするが,柳田国男の本を出しているというのが多少不思議だった。その謎も読んだら解けました。初版あとがきを書いている山口貞夫は地理学者だが,彼が柳田国男の地名に関する文章を集めて編集し,出版したということらしい。『地理学評論』に掲載された文章も,日本地理学会が招待した講演での内容を収録したものだという。

柳田国男は郷土研究会なるものを主宰していて新渡戸稲造なども参加していた。確か,ここには幾人かの地理学者も参加していたと思う。そんなことから,柳田は民俗学の立場からも地名に関心を持っていたし,地理学者とのかかわりも生まれたのだと思う。

自序
地名の話
地名と地理
地名と歴史
地名考説
大唐田または唐千田という地名
アテヌキという地名
和州地名談
水海道古称
初版あとがき(山口貞夫)
解説(大藤時彦)

本書は「地名考説」が中心で,ここに55の文章が含まれている。それこそ郷土研究会が出していた雑誌『郷土研究』に掲載された文章をはじめ,『民族』や『土俗と伝統』,『考古学雑誌』,そして『歴史地理』などに掲載された文章から成っている。個々の文章は個々の地名に関する各論であり,「地名の話」から「地名と歴史」までが総論と位置付けることもできるが,じゃあ,そこで少し抽象的な議論がなされているかというとそうではなく,やはり民俗学ってのはそういうものなのかなと思わざるを得ない,雑駁な文章である。まあ,元が講演なのだから当たり前か。

そして,いまでも民俗学的な地名研究がそうであるように,小地名が彼の関心の中心である。とはいえ,それが故に広域地名に関しても一定の考えを持っていて,地名の本質は小地名で,非常にローカルな状況からその名前が付けられるが,その後必要になる広域地名は小地名から採用されていくというものである。

この角川文庫版は,古今書院版の出版以降に発表された地名に関する文章も収録されており,それが「大唐田または唐千田という地名」以降の4つの文章である。特に個人的には「和州地名談」には柳田の地名観が色濃く反映しているようにも思う。一読できちんと理解できたわけではないので,再読したいと思う。

|

« ニッポン 旅の絵本 | トップページ | 新・地名の研究 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/218863/65626584

この記事へのトラックバック一覧です: 地名の研究:

« ニッポン 旅の絵本 | トップページ | 新・地名の研究 »