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文学の思い上がり

ロジェ・カイヨワ著,桑原武夫・塚崎幹夫訳 1959. 『文学の思い上がり その社会的責任』中央公論社,297p.1350円.

カイヨワを読むのは初めて。そして,本書はカイヨワの著書として初めて翻訳されたものとのこと。2012年に『コミュニケーション科学』に掲載したオースター『ガラスの街』論で,『創世記』のバベルの塔にこだわっていたが,その後古書店で発見した『BABEL』という名の本書。邦題に「バベル」は採用されませんでしたが,表紙と背表紙にはしっかりアルファベットで書かれていたので,手にしたものです。

最近,新しい書籍のために書棚を開けようと,いくつかの本を処分しました。よくAmazonのマーケットプレイスで購入するネット書店に引き取ってもらったのだが,二束三文だった。今回は思い切ってアラン・ロブ=グロエの小説をいくつか処分したのに,購入するときはかなり値がしたものが全く評価されなかったのは残念。あの書店には二度と売らない。本書はそんななか,書棚から発掘されたもの。もう,私の書棚には未読の日本語の本はほとんどない。

プロローグ
Ⅰ 文学死にひんす 文学ついに死す
Ⅱ 文学の諸問題
第一部 公的な領域,権力争い
第二部 内的な領域,人間の描写
第三部 言語の領域,言葉の使用
第四部 文学の領域,書くという職業
Ⅲ 人間のために

さて,本書の目次はかなり詳細に章構成が分かれているために(全部で42章),ここではおおまかにしか転記しなかった。「文学の思い上がり」というタイトルにあるようなことが,原題の「バベル」にもつながるわけだが,本文で論じられる文学者(文学研究者のことではなく,作家のこと)の意味合いは少し違う。決して文学作家が自分のなしている事業を偉大なものとみなしていると著者が論じているわけではなく,むしろ文学者は自らの行為を恥じ,自信を持っていないという論調で冒頭はつづられている。

なかなか漠然とした内容で,地名研究やグローバル・シティなどについて勉強中の今の私にはかなり読みづらかった。でも,久しぶりにこうした文章もある意味刺激的で読みごたえがあった。特に2の第一部でのテーマ,文学における「公的な領域」については,国家の役割などが論じられて面白かった。やはり文学研究は奥が深いですね。まだまだ読むべき本は多く残されています。

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