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地名の歴史学

服部英雄 2000. 『地名の歴史学』角川書店,244p.2600円.

ここまで何冊か地名研究本を読んできたが,とりあえず本書で最後にしたい。地理学は鏡味完二と山口恵一郎のものを,千葉徳爾は地理学者だが,柳田国男の地名研究を受けた民俗学的な地目研究と位置付けたい。また,鏡味明克は鏡味完二の息子だが,本職は言語学で,単著はまさに言語学的な地名研究である。論集『日本地名学を学ぶ人のために』(2004)は最新の地名研究書であり,さまざまな研究者が寄稿しているが,本書は歴史学の立場から書かれたものである。千田 稔『地名の巨人 吉田東伍』と同じ角川叢書の1冊である。

序 章 地名の解釈法
第一章 地名の史料学
第二章 地名を歩く
第三章 歴史地図の読解
第四章 地名による歴史叙述
終 章 地名の調査と保存

帯に「歩き,み,ふれる歴史学」とあるように,本書の著者は歴史学者でも郷土史研究者に近いのだろうか,フィールドをとても重視している。本書に関しても以下のようにある。「本書では地名を二つの視点から考えたい。第一には歴史学的アプローチ。…もう一つは地誌的なアプローチである。」(p.3)そして,「地名の多様性・歴史性・地域性を語ってみたい」(p.32)という。

第二章のタイトルにあるように,気になる地名のある土地に出向き,老人に話を聞く。そう,著者は単にその地域にのみ残る史料を探し出すということだけではなく,今もその土地に住む老人から記憶を引き出すという仕事をしているのだ。ある意味では民俗学の仕事に近い。そして,一方では「景観復元」のような言葉もよく使い,歴史地理学に近いところもある。

本書の難点としては文献が巻末などに文献表としてまとめられておらず,本文中で言及されていること。さらに,その言及に関しても著者名と書名のみの提示となっている(雑誌論文の場合はもう少し詳しい)。さすがに,これまで読んだ地名研究本とは異なった視点だったが,私の関心に対して得るところはあまり多くなかった。

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