« ギュスターヴ・クールベ | トップページ | オリンピック・スタディーズ »

民族と帝国

アンソニー・バグデン著,猪原えり子訳 2006. 『民族と帝国』ランダムハウス講談社,253p.1,900円.

 

吉祥寺の古書店「百年」で購入した一冊。大きなテーマだがコンパクトな一冊。監訳をした立石博高という人物が巻末に解説を書いているが,そのなかに,本書の原著者が著名であるにもかかわらず日本ではあまり紹介されていないとあったため,購入してみることにした。原著はランダムハウスから出版されたわけではないが,かなり一般読者を対象としたもののようで,参考文献は一切示されていない。日本語版出版に際し,「日本語版読者のためのブックガイド」が掲載されている。著者のバグデンの専門はスペイン帝国によるラテンアメリカ植民地支配とのこと。

序章 二つの旅
第一章 世界を最初に征服した者
第二章 ローマ人の帝国
第三章 世界帝国を求めて
第四章 大洋の征服
第五章 キリスト教と帝国の拡大
第六章 イベリア半島世界の衰退
第七章 自由の帝国,交易の帝国
第八章 奴隷制
第九章 最後のフロンティア
第十章 帝国,人種,国民
第十一章 おわりに

ちなみに,原著タイトルは「Peoples and Empires」となっており,エスニックという意味での民族をテーマにしているわけではない。一応,本書はヨーロッパを中心とした帝国を扱うが,時代的には古代からなので,帝国によって支配される人々のことを固定した呼称で呼ぶことができない。むしろ,時代によって,個別の帝国によってその支配下にあった人々の様子(最終的には国民)がどうであったかを論じることも本書の大きなテーマである。
ということで,私は古代の帝国のあり方についてほとんど知識がなく,高校の世界史の教科書レベルを字面で追うくらいのことしかやってこなかったので,本書から学ぶことは多かった。ただ,ここで具体的に何を学んだと書き残すことは,壮大なる時間の流れをコンパクトな一冊にまとめられているために難しい。訳本につけられたブックガイドに従って少しずつ読み重ねることで理解を深めていこう。そして,ネグリ・ハートの『帝国』にたどり着きたい。日本であまり紹介されない研究者の著作は,やはり残念な読後感となってしまうこともあるが,本書に関してはむしろお得感があった。古書店で偶然見つける本書のような本との出会いが小さな幸せである。

|

« ギュスターヴ・クールベ | トップページ | オリンピック・スタディーズ »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/218863/67427151

この記事へのトラックバック一覧です: 民族と帝国:

« ギュスターヴ・クールベ | トップページ | オリンピック・スタディーズ »