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現代スポーツ評論30

『現代スポーツ評論』第30号、2014520日発行

特集:東京オリンピックがやってくる

 

友添秀則:東京オリンピックにどう向き合うか(8-17
『現代スポーツ評論』19号の記事で,1964年東京大会時の石原慎太郎の言葉を紹介する文章について書いた。この論文でもそのことに触れていて,まさに2016年,2020年と東京がオリンピック夏季大会に立候補するのに尽力した石原氏のナショナリスティックな主張を1964年当時と比較している。著者は2020年東京大会に否定的ではないが,1964年の延長線上で2020年を考えてしまうことに危機感を抱いている。なお,この号の本誌の編集長は友添氏になっている。

山本 浩(NHK→法政大学教授)・勝田 隆(日本スポーツ振興センター)・友添秀則・清水 諭:座談会:東京オリンピック2020とスポーツ界の変容(18-37
オリンピックの開催都市となるには,各国のオリンピック委員会(日本の場合JOC:日本オリンピック委員会)のみならず,さまざまな団体が関わっている。山本氏は日本陸上期競技連盟などスポーツ関係の団体理事を歴任していたりして,この座談会からはそういうさまざまな団体の関わりを知ることができる。そういう様々な人の利害関係で成り立っているために,面倒なんだな。

宮本勝浩(関西大学教授):東京オリンピックと経済効果――東京五輪は景気好転をもたらすか(38-51
2012
年ロンドン大会,2008年北京大会の経済波及効果の公表値をまず評価し,2020東京大会について公表されている数値を一つ一つ確認している。まず,東京との試算だが,単なる総額だけでなく,想定されている機関やその中身,項目など詳細な検討である。同様に,みずほ総研,森記念財団,大和総研など。後半では経済波及効果とは何かについて分かりやすく説明している。著者の立場は2020東京大会の経済波及効果について否定的ではないが,重要な基礎的研究。

來田享子(中京大学教授):東京オリンピックが世界に発信できること――内向きと外向きのスローガンを重ね合わせるために(52-68
この論文は以前読んだことがあったが,今回再読した。ここまでいろんなオリンピック研究を読んでから再読すると目新しいことは書いていないが,2020年東京大会の「震災復興のための」という内向きのスローガンといまなぜ東京でという問いを真面目に考えようとする文章。

佐伯年詩雄(日本ウェルネス大学):現代オリンピック考――モンスターイベントに群がるビジネスと政治(69-79
この論文も再読。はじめに何も知らずに読んだ時は,歯に衣着せぬ語り方に感銘を受けたが,再読で印象が変わった。同じような主張は多く,そのなかでもきちんと根拠を示しながら論じているものも少なくないが,この著者は大学教員でありながら,この文章では全く何も参照されていない。書かれていることは「そうなんだろうな」と思うけど,説得力はない。

小川 宏(福島大学教授):「復興五輪」はスローガンなのか――東日本大震災と福島原発(80-87)
阿部首相によるIOC総会でのプレゼンテーション,「アンダーコントロール」発言はよく知られ,否定的に言及することは多いが,東京大会における福島原発と震災復興のみに焦点を合わせた論文。朝日新聞やのアンケート結果なども示しながらの正当な議論。

佐野慎輔(産経新聞社取締役):オリンピックは日本に何をもたらしたか(88-97)
タイトルが過去形なので,1964年の話。現在,ヤクルト球団の取締役や日本オリンピックアカデミー理事なども歴任している人物なので,日本のスポーツ界全般に残すレガシーなるものを期待しているようだ。「2020年大会は今後のスポーツの在り方とともに,社会装置としてのオリンピックの存在を示す格好の機会となるはずだ。」(97)と締めくくっている。

南後由和(社会学者):東京オリンピック2020に向けたスケッチ――都市とスポーツ(98-109)
こちらも再読。やはり若林幹夫の文章を読んでしまうと,表面的な印象が否めない。ただ,面白いのは1964年の国立競技場と代々木競技場の機能的・象徴的役割についての議論。

松瀬 学:ブエノスアイレス顛末記――ワタシが触れた国際政治とオリンピック招致(110-119)
この雑誌の10号にも執筆しているスポーツ・ジャーナリスト。ブエノスアイレスというのは、2013年のIOC総会の開催都市で、そこで2020年の夏季大会が東京に決まった。著者はその取材をしたということで、その現場の報告。

稲垣康介(朝日新聞社):IOCという組織(120-130)
IOCという組織についての説明。会長の変遷と組織の変化。

中森康弘(日本オリンピック委員会)(聞き手:清水 諭):インタビュー:東京オリンピック招致から見える日本スポーツの課題(131-143)
IOCのメンバーと家族ぐるみの付き合いをするという話。一応、日本のスポーツ界の将来についても考えている人ではあるが、オリンピックというイベントの開催都市決定過程がいかに民主的でないことかがよく分かる。まあ、非営利団体による開催だから民主的である必要はないのだが、世界に与える影響の巨大なイベントである以上、ある一定の国際的な公正性は必要ではないかと思ってしまう。

滝口隆司(毎日新聞社):ソチ五輪・パラリンピックをどう報じたか(144-149)
前半はメディアが注目する競技の話。後半はパラリンピックまで政治利用されたという嘆き?

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