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都市革命

アンリ・ルフェーヴル著,今井成美訳 1974. 『都市革命』晶文社,275p..Lefebvre, H. 1970. La Revolution Urbaine. Paris: Gallimard.

 

ルフェーヴルのことを知ったのはいつだったか。本書は大学院時代に読んだ。正確に何年かは思い出せないが,中島弘二氏が私の在籍していた東京都立大学に集中講義でやって来た時に,何となく事業に持参したのを覚えている。しかし,ルフェーヴルの『空間の生産』が英訳されたのが確か1991年で,当時助手として在籍していた島津俊之氏に英訳本を見せてもらったような気もするし,そこそこ話題になっていたような記憶もある。ただ,やたらと『空間の生産』ばかりがもてはやされるのが気に入らず,1970年代に翻訳された他の本を読んでは引用していた。『都市革命』については,1996年の『地理』に掲載した甲斐バンド論文で「都市的なるもの」概念の説明で言及している。2001年に『地理学評論』に掲載した田沼武能論文では,『マルクス主義』と『言語と社会』に言及した。同じ2001年に『理論地理学ノート』に掲載した室内写真論文では『日常生活批判序説』を取り上げている。とはいえ,「ルフェーブル」と誤記して引用しているのが恥ずかしい。こう書いてみると,どうやらルフェーヴルを読んだのは本書がはじめらしい。かなり刺激的な読書であったが,今読み返すとどうであろうか。

第一章 都市から都市社会へ
第二章 盲域
第三章 都市現象
第四章 レベルと次元
第五章 都市的なるものの神話とイデオロギー
第六章 都市形式
第七章 都市戦略にむけて
第八章 都市計画の幻想
第九章 都市社会
第十章 結論

前半を読んでみると,やはり難解な書である。大学院時代より知識は増えたはずだが,その知識の蓄積により読解がより容易になるような印象はない。逆に,当時は雲をつかむような現代思想書をよく読んでいたので,その難解さが快感だったりしたが,最近読んでいるものが明白な論旨がある,あるいは結論に導かれるようなものが多いために,こうした文章はストレスになったりする一方で,なんだか懐かしい気分にもなる。巻末には,「〈国=語〉批判の会」による「『都市革命』のためのいくつかのテーゼ」という解説的文章が寄せられているが,そこに本書における著者の方法についても書かれているが,「方法論としての体系化をめざさない」(p272)とあり,納得してしまう。なお,本書ではその方法を「転法トランスダクション」と名付けている。通常近代科学的な方法といえば帰納法と演繹法だが,そのどちらでもない第三の方法ということになる。そういうと,パースのアブダクションが思い浮かぶが,その対比も面白そうだ。
ちなみに,『都市への権利』に引き続き主たるテーマである「都市的なるもの」は,実は「都市生活」の略語であることを知る。日本語では「都市生活」の方がコンパクトではあるが。そして,本書後半に進むと,徐々に論旨が絞られてくるようにも思う。やはり私の印象に間違いはなく,『都市への権利』よりも徹底的に都市計画批判が繰り広げられるのだ。『都市への権利』の紹介では,ルフェーヴルの都市論が政治経済よりも文化象徴を強調しているが,本書ではしっかりと政治経済が論じられている。そして,私は私なりのルフェーヴル読書から1974年の『空間の生産』の異質性を感じていたのだが(その分厚さといい,整然とした理路といい),本書にはしっかりとこの本を予告させる空間生産論が簡潔にだが展開されていた。そして,この後のハーヴェイの詳細な研究へとつながる不動産に関する話なども盛り込まれている。結局,本書を読んでも「都市革命」なるものが一義的に理解できるわけではない。この革命は産業革命のように,社会の変化として理解すべきものであると同時に,フランス革命のように都市への権利を求める主体による社会の転覆をも意味するようだ。ともかく,何度でも読み直せる(できればフランス語で読めるようになった方がいいのだろう)刺激的な書だ。

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