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オリンピックと東京改造

川辺謙一 2018. 『オリンピックと東京改造――交通インフラから読み解く』光文社,244p.800円.

東京オリンピックに伴う交通インフラの整備に関する知識をつけようと読んだ,光文社新書の一冊。著者は私と同い年の交通ライターとのこと。オリンピックにはそもそも関心はないが,東京の交通が1964年大会と大きく関連すると語られることが多いのに違和感を抱き,調べ始めたとのこと。まあ,交通に関する具体的な事実を学問的に突き詰めるとなると,それがいつ誰がどのような経緯で決定したのかということのチマチマした話になってしまうが,あまり丁寧に根拠を示さず,すっきりとまとめられています。

序章 プレイバック1964
1章 巨大都市を生んだ都市改造史
2章 五輪とレガシー
3章 1940年大会・幻の五輪
4章 1964年大会・初の五輪
5章 2020年大会・再起の五輪
6章 これからの東京と交通

本書には,ある都市計画家の議論を借りて,東京という都市を人体にたとえ骨格や循環期間が未発達なまま肥大化したと語られている。1か所では,名古屋や大阪と比べ,とまで書かれている。しかも,その根拠は計画されている道路の完成率のようなものだ。では,その何十年前に計画された道路が整備されていれば,東京に交通問題はないのだろうか。まず,著者の都市の捉え方に疑問を抱く。
結論としては,1964年大会はたまたま戦後の大規模なインフラ整備計画と時期が重なり,大会開催に向けてお金が出たり,若干の計画変更があったり,工事を急いだりしたことがあったが,オリンピックのために交通が整備されたわけではない。また,そういう事情や,時代背景の違いなどからも,2020年大会に1964年大会と同様の期待をするのは間違っているということになります。まあ,基本的な事実や,コラムで示された過去のオリンピックの負の遺産,つまり今は放置され朽ち果てていく競技会場の写真が掲載されているのはありがたかった(ネットで調べればすぐに出てくるらしいが)。

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