【読書日記】『エトセトラ』vol.3特集「私の 私による 私のための身体」
『エトセトラ』2020年vol.3特集「私の 私による 私のための身体」エトセトラブックス,125p.,1,300円.
前に紹介した『エトセトラ』vol.6は思わず熱が入ってかなり詳細まで記述したが,今回は特集に限定して大まかに紹介したい。目次も種別ごとではなく,特集以外は主に紹介したいものだけにする。とはいえ,全部紹介したいくらい,すべて読んでいます。
1334人が答えた エトセトラ・リポート2020
生理!生理!生理!:松田青子
近づくほどに遠ざかる(写真作品・インタビュー):コムラマイ
私の私による私のためのプレジャー:北原みのり
髪は生やして,手足は脱毛?――けむくじゃらの人類学:磯野真穂
ジェンダー化されにくい私の身体:綾屋紗月
規範を超えて躍動する女子プロレスラーの身体
引き裂かれた身体を表象する:鈴木みのり
癒えない乳房:アンティル
インタビュー・子どもたちが自分の頭で考える・対話するための性教育:アクロストン
インタビュー・婦人会が語るマイボディ・マイチョイス:早乙女智子
避妊の権利,なんでないの:福田和子
性暴力被害者のリアルと,法の中のファンタジー:牧野雅子
妊娠するからだとガラパゴス中絶:塚原久美
堕児罪と母体保護法:齋藤有紀子
前に紹介した「スポーツとジェンダー」特集も当然身体に関わるものだった。地理学でも身体に関する研究は進んでいて,ジェンダーやフェミニズムとの関連も深い。しかし,やはり地理学はある一定のスケールの大きさを前提とするところがあり,本特集からは非常に日常的で身近な,そして非常にミクロな身体について,新たに知る・考えさせられることが多かった。
そして,松田青子という作家の存在をここでも強く印象付けられた。まだ作品自体を読んでいないが,少しずつ読んでいきたい。個人の執筆者の話になってしまったので,続いては北原みのりさんのことを書きたい。昨年の衆議院選挙に関する共産党界隈の動画で彼女は頻繁に登場した。私と同年代で,肩書は作家なのだが,多様な活動をしているということはそこで知った。しかし,本書に寄せているのは,彼女が女性向けの「セックストイショップ」を長らく営業しているということだ。女性は自らが自らの手で身体的快楽を得る権利があるという。言われれば当たり前なのだが,それをさまざまな形で抑制してしまう人を解放させるという,私には思いもしない理念を持ち,実現させようとする北原さん。一気に尊敬する存在になった。他にも新聞『赤旗 日曜版』にも彼女の記事があって,最近は出版社も始めたという。なんてバイタリティなのだ。
この特集で扱うテーマは目次にある通りで,性暴力,避妊,妊娠,中絶,生理,脱毛と非常に身近なものだが,基本的には私が男である以上加害者という形でしか当事者にはなりえない。そういう意味では,知るべき事項を知らずに過ごしてきてしまっているという状況を強く反省させられる読書だった。さらにいうと,7歳の娘を持つ父親としては,これからは(もちろん今でも)積極的に当事者となっていかなければならない(そして,女子だけの問題ではない)とも強く感じ,これまで知らずに過ごしていたことを積極的に知るように努めなくていけないとの決意を持った。
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