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【読書日記】マルクス『資本論1』新日本出版社

カール・マルクス著,社会科学研究所監修,資本論翻訳委員会訳(1982):『資本論1』新日本出版社,248p.1,165円.

 

日本共産党に入党して,マルクス『資本論』は読んでおこうと思った。新日本出版社は日本共産党の出版社だが,2019年から12冊の新版を出したので少しずつ買っていこうかなと,私の支部の市議会議員さんにお話をしたら,旧版で良かったら自宅にあるから差し上げますよ,と第1巻と第6巻とをとりあえずいただいた。こちらは1982年に出た13冊本。新書サイズで手軽なのが良い。とりあえず,第1巻を読んでみた。とはいえ,途中で別の急ぎの本を読み始めて中断しているので,きちんと頭に入った読書とはいえない。とりあえず,どんなことが書かれているのかを把握したという程度。

序言〔初版への〕
あと書き〔第二版への〕
〔フランス語版への序言とあと書き〕
第三版へ
編集者の序言〔英語版への〕
第四版へ
第一部 資本の生産過程
 第一章 商品
 第二章 交換過程
 第三章 貨幣または商品流通

目次に書いたように,世界史にも残る作品であるため,こうした翻訳も書誌学的な価値を重視する。ということで,序文がこまごまといくつもあって,私のような事情の分からない読者には文脈がよく理解できないが,一方では,本作品の本質について書かれている文章だともいえる。
それはともかく,私は修士課程に入った頃に,ピーター・バーガーという社会学者の翻訳本にはまっていた時期があり(当時かなり必読書的だった,バーガー&ルックマン『日常生活の構成』を読んだのがきっかけ),確か,地理学者ジェイムス・ダンカンの論文で引用されていたバーガー&プルバーグ「物象化と意識の社会学的批判」という論文に日本語訳がある(雑誌『現象学研究』に訳出)ことを見つけて読んだ。物象化というマルクス主義用語に興味を持ち,ルカーチ『歴史と階級意識』も読んだ時に,こうした議論がマルクス『資本論』の商品論に基づくことを知り,大学図書館で『資本論』の該当箇所を拾い読みした記憶はある。しかし,それ以来,マルクスの別の作品はいくつか読んだが,『資本論』からは遠ざかっていた。
さて,本論に入りたいが,本書をペラペラめくってどのように自分の言葉で本書の議論を説明すべきか考えると悩みこんでしまう。商品は使用価値と(交換)価値とを含むものである,ということは説明できるが,(交換)価値とは何かということ,また商品生産における労働と自然の関係,そこから導かれる第二の自然(この概念自体が『資本論』にあるのか,エンゲルス『自然の弁証法』のものか?),商品の交換価値によって社会における人間同士の関係が物と物との関係に置き換わることによって物象化が生じる,のような,これまで学んできたマルクス主義的な知識に安易に置き換えてしまって,マルクス自身がこの書で語っていることを純粋に理解することがむずかしい。一方で,商品のフェティシズムという議論はマルクス自身のものではなく,マルクス以降のマルクス主義者によるものだと勝手に思っていたが,本書に既に第1章第4節に「商品の物心的性格とその秘密」というものがある。こうして読んでいると,本当に本書が150年以上前に書かれたものとは思えない新鮮味を感じる。
その一方で,貨幣に関しては,この時代特有の議論が非常に新鮮に感じる。とはいえ,現代の資本主義経済において貨幣がどのような存在なのか,経済学的に正確な説明を私ができるわけではないし,本書におけるマルクスの議論もきちんと理解できているわけではないのだが。本書前半では,交換価値の説明として複数の商品の等価値について論じられているが,第3章で貨幣の議論に移行する。ヨーロッパでは長らく,貴金属である金貨や銀貨がその希少な金属的価値と等しく用いられてきたようだが,短期的な物価の変動に左右されないが故に,各商品の取引を行う媒体としての共通的価値を有する貨幣としての役割を果たしていたと思う。江戸時代の日本でも小判や銅や鉄,真鍮などの硬貨も同じように金属そのものの価値と同等だったのだろうか。いずれにせよ,電子決算がなされる現代とは明らかに違っており,貨幣そのものの物質的価値を中心に議論ができるのが興味深い。
ともかく,商品の価値を需要と供給の関係からではなく,労働力などの生産手段や生産過程から考えるというのがマルクス経済学の醍醐味なので,もう少し読み進めないとなんともいえないな。手元にある『資本論6』も興味深い目次なので,読んでみることにするか。

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