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【読書日記】歌川 学『スマート省エネ』

歌川 学(2015)『スマート省エネ――低炭素エネルギー社会への転換』東洋書店,179p.,2,200円.

 

フリーの編集者をしている日野市内の日本共産党員からいただいたもの。本書を含む「科学と人間シリーズ」を手掛けているとのこと。著者は以前、日野市のデータセンター建設問題に関する学習会で講演もしていただいた方で、独立行政法人産業技術総合研究所主任研究員。私は今、『最新図説 脱炭素の論点2025-2026』(旬報社、2025年)という500ページ超の本をとある勉強会で読み始めたが、その本の共同執筆者の一人でもある。月刊誌『地平』がデータセンター問題を特集した時にも執筆していた。

はじめに――低炭素社会への転換、技術的に大きな可能性
第Ⅰ部 エネルギーの環境負荷と化石燃料・原子力依存のリスク
 第1章 各種エネルギーの特徴とエネルギー効率・CO2排出の実態
第Ⅱ部 温暖化対策へ二つの手法と削減見通し――削減対策技術とその適用
 第2章 根本的な省エネ対策技術
 第3章 低炭素エネルギーへの転換――自然エネルギーと燃料転換
 第4章 持続可能な低炭素社会への余裕をもった道筋――無理なくCO2を削減する
第Ⅲ部 地域・産業・家庭での省エネ・温暖化対策
 第5章 省エネ・温暖化対策計画をどう実効的に立て実行するか
 第6章 省エネ・自然エネルギー普及による経済・雇用・地域社会づくり――対策がきりひらく豊かな将来
おわりに

あとがき

もう10年前の本ではあるが、10年くらいでは日本のエネルギー政策は大きく進展していないことが分かる。薄い本で日本のエネルギー事情が大まかにわかる本だ。タイトルに「省エネ」とあり、副題には「脱炭素」ではなく、「低炭素」とあるように、エネルギーに関して理念的に「かくあるべき」を示すよりは、現実的に「なにができるのか」をさまざまな選択肢とともに情報提供している本。省エネといっても、一般家庭での努力というのは日本社会が消費しているエネルギー量からすればわずかなもので、とはいえ塵も積もればで無駄ではないのだが、生活を圧迫するような形で無理してやってもしょうがない。やはり産業部門での省エネが効果的で「スマート」だという主張。第4章のタイトルにあるように「無理なくCO2を削減する」ということだ。
再生可能エネルギーへのシフトについても同様で、この種の本が掲げがちな「脱炭素」ではなく、「低炭素」を掲げている。また、脱原発を強く謳っているわけでもなく、しかし、原子力の危険性についてはさらっと記載している。また、最後に再生可能エネルギーへの転換という政策・対策の効果についても、ドイツを引き合いに出して、ここはそれなりに強調している。しかし、全般的に文章が「スマート」に書かれていて、納得はできるものの、深く印象付けられたり、切迫感をもって省エネ、低炭素への転換を進まなければならないという意識にはなりにくい本でもある。

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