『人文地理』の「学界展望」出ました。
人文地理学会の学会誌『人文地理』の最新号(73巻3号)が届きました。この雑誌では,毎年3号に「学界展望」なるものを掲載していて,各分野の研究者に執筆を依頼している。
2020年の研究成果について,私は「文化地理」の担当になりました。規定ページは5ページでしたが,途中まで倍のページと考えていて,締め切り間際に急いで削りました。最終的に,文献表が3ページで,本文は2ページしか書けませんでした。
https://doi.org/10.4200/jjhg.73.03_300
元々は周辺分野の文献も多く盛り込み,地理学分野の文献に関しては辛口のコメントを入れていましたが,最終的には地理学文献中心,差しさわりのない一行コメントとなってしまいました。
ということで,ボツになった原稿がもったいないので,公表します(著作権,大丈夫かな?)。
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2020年学界展望 文化地理
成瀬 厚[*]
学問分野の定義や分野間の境界は時代とともに変化するし,またそれは人によって異なる。本誌「学界展望」を人文地理学の下位分野について執筆することはそのことを強く意識させられる行為である。学界展望の分野区分「民族・文化」が「文化地理」に変更されたのは私が執筆した2000年の52巻からで,2010年の62巻から「政治・社会」が「政治」と「社会」に分割され,現在は「政治地理」と「社会地理」と名称変更されている。2020年72巻の「社会地理」は山下清海が執筆し,文化地理との重複に留意している。「民族」という表現は近年あまり用いられないが,エスニシティ研究は社会地理に含まれ,人類学的研究が文化地理に含まれる傾向にあるといえようか。2020年72巻からは個別に文献表が付けられ,今回から文献に欧文表記も加わった。文献表に一定の誌面が割かれるため,分野間での文献重複は避けるのが好ましいだろう。ますます分野間の境界について意識させられることとなった。
「文化地理」は他分野との重複が比較的多い印象がある。学会ウェブサイトで公表されている「学会展望文献リスト」の電子ファイルを用いて、重複の度合いを4ヵ年分確認した。大平晃久が執筆した2016年(2015年発表文献分)の「文化地理」では56編の文献が紹介され,他分野との重複が36編で64%を占めた。同様に,野中健一が執筆した2017年は128編中重複が41%,福田珠己が執筆した2018年は50編中46%,中村周作が執筆した2019年は62編中44%と,毎年一定数の文献が重複している。やはり半数近い重複は是正することが望ましいだろう。
本稿では2020年の研究業績を振り返りながら,文化地理とは何かを再考するきっかけを読者に提供できればと思う。何をもって文化とし,何をもって地理とし,その文化と地理の関係はどのようなものなのか,を各文献について考えたい。さらにいえば,文化地理(地誌)を描くことは比較的容易だが,それを文化地理学へと推移させるには何を考察・議論する必要があるのだろうか。
2020年に発表された文献で表題に「文化地理」を含むものは,橘 セツ「英国東部サフォーク州オーフォード・ネスにみる20世紀軍事景観の遺産化と自然化をめぐる文化地理学」(空間・社会・地理思想23)が唯一である。景観や自然をテーマとし,ガイドブックを分析するという点で文化地理学を冠しているといえる。加藤政洋『酒場の京都学』(ミネルヴァ書房)は注文・売上カードに「文化地理学」とあり,著者の想いが込められている。本書は一般書であり飲酒文化に特化した京都の歴史地誌といえよう。ドイツ・オーストリア文学を専門とする著者による,平田達治『歩く大阪・読む大阪』(鳥影社)は著者が人生の大半を過ごした大阪を,文学史・思想史を通して描いた歴史地誌である。これら2つの書籍は類似しているが、「文化地理」では人類学に加え,民俗学関連の文献を取り上げるのが通例である。
民俗学関連雑誌への地理学者の執筆としては,今里悟之「田畑一筆の通称地名の変化と継承」(日本民俗学301)と濱田琢司「創作の工芸と地域性」(arts/ 36)が挙げられる。今里論文は著者が継続して行っている地名研究である。「学界展望」には1999年の51巻まで「地誌・地名」があったが,現在は「地誌・地域研究」となっている。行政地名の研究は「政治地理」に含めることができるが,今里論文のような地名研究は「文化地理」で扱うべきだろう。ただし、地名研究は民俗学でも歴史があり、民俗学と地理学の境界についても考えさせられるテーマである。濱田論文は100年前に開始された農民美術運動を現在までたどるもので,後に取り上げるアート研究の一つの方向性だといえる。太田原潤「ヤマアテによるコヨミ認識の一様相」(非文字資料研究20)は高台に据えられた石という物質から,人間-自然関係の民俗知を読み解くもので,物質性というテーマも有する地理学的な研究だといえる。安室 知「民俗学における周圏論の成立過程」(非文字資料研究19)は柳田民俗学と言語地理学の関係を辿っている。言語地理学も文化地理の重要なものであり,この論文は地理学史研究ともいえる。
宗教地理学は文化地理の範疇に含めるべきだと思うが,論じるテーマによっては他の分野に含まれうる。ここで紹介するのは典型的な宗教地理学とはいえないが,川合泰代『聖地への信仰』(古今書院)は著者独自の聖地研究をまとめたものである。著者は聖地への信仰を人間の根源的な感性と捉え,それが社会のなかで形を成すものを信仰文化と呼ぶ。聖地や信仰が人々の感情のよりどころとしてプラスの効果をもたらすとしたら,不安などのマイナスの感情を処理するために生み出された妖怪や怪異は類似した集合表象だといえよう。佐々木高弘『妖怪巡礼』(古今書院)は2014年に出版された「妖怪文化の民俗地理」シリーズの4冊目である。装丁は一般書的だが,文化地理学の一つの重要な方向性を成している。本書は文化地理が人文地理学の一部に区分された下位分野であるだけでなく、人文地理学の本質に関わるものであることを教えてくれる。佐々木とはアプローチがかなり異なるが,同様のテーマを扱う鈴木晃志郎・于 燕楠「怪異の類型と分布の時代変化に関する定量的分析の試み」(E-Journal GEO15-1)の試みも非常に興味深い。民俗学の成果だけでなく、人類学や外国の研究なども参照し、大正時代と現代の怪異現象を地図化している。
外国の事例に特化した人類学関連の成果として,佐藤廉也「森の知識は生涯を通じていかに獲得されるのか」(地理学評論93-5)がある。知識は文化の一部であり,人間-自然関係というテーマを有するが,本論文は積極的に文化地理を論じているものとはいえない。相馬拓也「遊牧民と動物,地図生成への導きのコスモロジー」(ユリイカ52-7)は批評誌『ユリイカ』の地図特集に寄稿されたものであり,世界各地の遊牧民が持つ世界観や空間感覚を概観している。相馬拓也「西部モンゴル遊牧社会における家畜放牧と牧草地利用のヒューマン・エコロジー」(E-Journal GEO15-2)は日帰り放牧を対象にした民族誌調査を定量的に示した試みである。沼崎一郎「ロバート・レッドフィールドにおける「文化」と「文明」」(東北大学文学研究科研究年報 69)のような文化概念を再考する作業は地理学でも継続して行うべきであろう。文化と自然という大きなテーマについては,デスコラ, P. (小林 徹訳)『自然と文化を越えて』(水声社)でさらに考えたい。
外国をフィールドにしている場合でも,『地理空間』13巻3号の特集「地域活性化におけるエスニック資源の活用」のようなものは社会地理寄りだといえる。また,ツーリズム的要素を含む研究も含まれる。文化地理に含め得るものとしては,石井久生「文化の祝祭にみるエスニック資源と地域活性化」(地理空間13-3)であろう。スペインのバスク地方で開催されているブックフェアを取り上げ,バスク語作品のみを扱ったローカル色の強いこのイベントが「開かれたバスク」を世界に発信するものだと論じる。木戸 泉「クロアチア紛争後のコメモレーションによるナショナル・アイデンティティの強化と継承」(E-Journal GEO15-1)のように,モニュメントの表象を考察に含むものは文化地理として扱いたい。テーマはナショナル・アイデンティティを扱った政治地理的なものだが,セルビア国境に近いクロアチアの都市ヴコヴァルに点在するさまざまな記念碑が住民の感情を醸成するという議論は文化地理的である。
博物館・水族館などの施設・展示に関するものとして,熊谷貴史「立体マンダラ小考」(佛教大学宗教文化ミュージアム研究紀要16)はチベット密教で制作される立体マンダラの空間表現を考察したものであり,地理学者の研究プロジェクトに参画した成果である。水谷裕佳「地理的境界と展示活動」(境界研究10)はハワイのワイキキ水族館が,地理的なものを含むさまざまな境界として機能していると論じる。
2020年は東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が予定されていたこともあり,スポーツ関連の文献も得られた。スポーツを対象とした地理学研究はテーマによって,経済,政治,都市,ツーリズムなどさまざまな分野に含めることができる。とはいえ,スポーツそのものは他の文化的事象との共通性は大きく、他分野に関わるテーマを有しないスポーツの地理学的研究は文化地理として扱ってよいだろう。和田 崇「地域活性化手段としてのスポーツ」(地理科学75-1)はこれまでの日本におけるスポーツ関連の研究動向を整理した。今後、スポーツ地理学研究を進展させるための基礎的作業だといえる。著者自身の事例研究として,和田 崇「1994年広島アジア競技大会の無形遺産」(E-Journal GEO15-2)はスポーツ・イベントにおける地域社会の役割を論じた。ここで取り上げられた公民館単位で参加国の選手をもてなすという一館一国運動は、1988年長野冬季オリンピック大会の一校一国運動へとつながり、さらに2005年愛知万博の一市町村一国フレンドシップ事業へと引き継がれているものである。オリンピックについては『経済地理学年報』で特集「都市・社会とオリンピック」が組まれた。とはいえ,スポーツそのものを論じるものは,山口 晋「速度・知覚・スペクタクルからみる冬季五輪のボブスレー競技とその空間」(経済地理学年報66-1)のみだといえる。特殊な地形・気候のもとで特殊な施設を建設して行われるボブスレーは,時代とともに施設,競技,観戦に関する技術が進展し,著者はその意味の変容を辿っている。
『地理』は「ランニングを愉しむ」という特集を組み,自らランナーだという寄稿者がさまざまな事例を報告している。福田珠己「「走る」ことの地理学研究」(地理65-8)は英語圏の研究動向を簡潔に紹介している。一時期英語圏で盛り上がりをみせたウォーキング研究とともに、モビリティと身体のテーマを有する研究の進展を期待したい。辻横真琴「地理的側面から見る市民マラソン大会」(お茶の水地理59)は日本国内のマラソン大会について概観できる基礎研究である。スポーツの地域への影響については,合宿について調査した吉沢 直ほか「鹿行南部におけるスポーツ合宿の特性と地域間連携の可能性」(地域研究年報42),およびサーフィンの国際大会の事例を論じた平野貴也「観戦型スポーツイベントにおける観戦者の満足度と行動意図に関する研究」(名桜大学環太平洋地域文化研究1)が得られた。スポーツ合宿やスポーツ大会がアウトバウンド集客を主目的とする場合は,ツーリズム研究にも位置付けられよう。地理との関連は薄いが、中尾拓哉編『スポーツ/アート』(森話社)でスポーツとアートとの関係、および文化としての共通性を意識しつつ,アート関連文献に話を移したい。
『空間・社会・地理思想』にはアート関連の論考が複数掲載された。ノヴァック, D. (松井恵麻訳)「ジェントリフィケーションにおけるアート活動」(空間・社会・地理思想23)は米国の研究者が釜ヶ崎での調査を英文で発表した論文の翻訳だが,上田假奈代「現場のわりきれなさと,(あまり)現場にいない言葉たくみな人」(空間・社会・地理思想23)はその被調査者の立場から論じており,現地調査および学術論文を通じたコミュニケーションの難しさを読者に問いかける。中川 真「大きな力と対峙するアーツマネジメント」(空間・社会・地理思想23)はその調停的役割ともいえるが,知らず知らずのうちに調査・研究者がとってしまう特権的態度を内省させられる。こうした対話の場を提供するこの雑誌の存在意義は大きい。
芸術作品はますます都市における展示施設から飛び出し,街や地域、地方をその制作・鑑賞の場とするようになっている。大山エリンコイサム『ストリートの美術』(講談社)が論じるのはいわゆるグラフィティ(本書ではエアロゾル・ライティングと表記される)だけでなく,アートの空間的・都市的・地理的要素の多様な形である。地方のアート・イベントについても多くの論考が発表された。兼松芽永「アートプロジェクトの図地転換」(国立民族学博物館研究報告45-2)は著者が地方の芸術祭にさまざまな立場で継続的に関わった経験から,田んぼに焦点を合わせて議論している。アート・イベントに大学の教員が学生とともに積極的に関わる事例も報告されている。水谷由美子ほか「服飾デザインと地域資源のレジリエンス」(山口県立大学学術情報13)は山口で開催された国際的なイベントである。このイベントを通して、後継者不足で衰退しつつある手仕事や農業などを世界に発信し再生させようという試みである。村山にな「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス」(芸術研究11)の報告からは,アート・イベント自体が単なる集客的・経営的・芸術的成功だけでなく,批評的意義を含む地域における役割を模索していることが分かる。ドゥルーズとイリガライ,そしてダーウィンを通じて芸術の根源について哲学的に考察した,グロス, E. (檜垣立哉監訳)『カオス・領土・芸術』(法政大学出版局)にも芸術と地理の関係について考えるヒントがある。
アート関連については,漆 麟「「藝術空間」としての日中戦争期における中ソ文化協会」(人文学報115)のような歴史的研究もある。この論文はこれまで社会主義イデオロギーの観点から論じられてきた中ソ文化協会を「文化的空間」という語を用いて,戦時下の重慶という都市における文化施設の配置の問題を、その展示された作品の表現とともに議論している。人類学におけるアート研究も盛んである。山越英嗣「アートによる「生活空間の脱植民地化」をめざして」(国立民族学博物館研究報告45)は前半のレビューで近年のアートへの公的支援を「生活空間の植民地化」と批判的に論じている。本編のメキシコの事例では,アートによる政治的抵抗運動を考察している。人類学に比して日本の地理学におけるアート研究は盛り上がりを欠くが,地理写真という独自の分野には進展がみられた。青砥和希「写真による福島県西郷村川谷地区の地域表象研究」(理論地理学ノート22)は「ヴァナキュラー写真」に着目した地理写真研究である。表象分析に民族誌的調査を加え,福島県の戦後開拓以降の推移を辿っている。
文学地理学にも新たな進展があった。水野 勲「プリンス・エドワード島の「可能世界」」(お茶の水地理59)はモンゴメリ『赤毛のアン』(1908年)を地理学内外のさまざまな学説を駆使し,その空想地誌を考察している。荒木優太『有島武郎』(岩波書店)は有島の札幌農学校から米国留学時代の経歴を重視し,その頃に身につけた環境論的考え方から後の作品群を考察している。迫田博子「葉石濤作品のなかの「日本」」(人間文化創成科学論叢22)は日本に関わるポストコロニアル文学研究ともいえよう。1966年に台湾で発表された「獄中記」に描かれる日本を,1925年生まれの作家の経歴から考察している。金 雪梅「詩人尹東柱における故郷」(クァドランテ22)も同様に,1917年生まれで日本への大学留学中に27歳で客死した朝鮮の詩人の作品を故郷の観点から解釈している。彼の故郷である北間島は朝鮮半島の付け根に位置し,中国と朝鮮,そして日本に翻弄された地であった。文学ではなく映画を対象としたものだが,小栗宏太「ホラー映画と想像の地理」(言語・地域文化研究26)は返還前の香港映画に描かれた東南アジアを考察している。正確な情報が容易に入手できる現代にあっても,特定のジャンルでは現実離れした想像の地理が作品制作に動員される。地理学的主題を有する文学研究としては,エコクリティシズムという分野が進展しており,小谷一明『環境から生まれ出る言葉』(水声社)はその名を冠した叢書の一冊である。
食をめぐる地理学研究は日本でも行われているが,食文化に関するものは「文化地理」で取り上げるべきであろう。『地理』は特集「飲食文化の地理学」を組み,中村周作らが日本の多様な事例を報告している。初学者に対するこの分野への案内となろう。金田章裕『和食の地理学』(平凡社)は書名から期待する内容ではなかったが,「文化的景観」を用いて日本全国の和食食材の解説をしている。人類学を中心とした他分野を含む食の地理学的テーマについては,河合洋尚「フードスケープ」(国立民族学博物館研究報告 45-1)から学ぶことが多い。小林直樹「長野県伊那市における昆虫食の実態と多様性」(E-Journal GEO15-2)はこれまで地理学でも行われてきた昆虫食に関する事例研究だが,食資源としての昆虫に向けられた近年の期待を基礎としており,昆虫食の今後の動向とともに研究の進展も期待したい。堀川 泉「調理方法と食育の取り組みからみる小学校給食と地域との関り」(人文地理72-4)は学校給食における食育が地域との関りを生みだすという観点からの基礎研究となっており,今後の展開に期待したい。
近年,池田真利子を中心に夜間経済の研究が進められているが,『地理』は音楽に特化した特集を組んだ。池田真利子「コロナ時代の「夜」の地理学」(地理65-10)はその学問的意義を簡潔に主張している。青嶋 絢「サイトスペシフィックな音楽/音の表現」(arts/ 36)は京丹後市で開催された電車の車内を用いた音楽イベントを紹介し,音楽のサイトスペシフィックアートを論じている。地域の祭りを扱ったものとしては,木村由梨「地域アイデンティティの再興」(お茶の水地理59)が川口市の初午太鼓を考察した。伝統的な地域文化の現代的変容の典型だといえよう。池田彩乃・淡野寧彦「愛媛県鬼北町における座敷雛の発祥と地域的特色」(地理空間13-2)は地方の特色のある雛人形飾りを調査したものだが,ローカルな人的ネットワークの説明に終始していて,他地域との結びつきや座敷雛そのものの分析が欲しいところ。坂本優紀・渡辺隼矢・山下亜紀郎「長野県上伊那地域における奉納煙火の現代的変容」(地理空間13-1)は地域の祭りを,旧来の文化地理学のテーマである文化伝播という観点から考察している。古いテーマを現代の事例で更新できる工夫があると今後の進展が期待できる。
日本文化論も文化地理に含まれうるが,単なる国民性を論じるものではなく,グローバルな視点から諸外国との関係や日本国内の差異に着目してこそ地理学的な研究といえよう。シラネ, H.(北村結花訳)『四季の創造』(KADOKAWA)は日本文化研究者によるものだが,批判的な観点から日本文化の自然観を論じており,地理学的視点も有している。日本文化論ではないが,同様の日本歴史文学研究として,湯本優希『ことばにうつす風景』(水声社)はベルク, A. (荒又美陽訳) 「北海道のイメージ」(空間・社会・地理思想23)は1980年の著書の一部であり,北海道を植民地という批判的観点から考察している。現在のベルクによる風土学については,国際シンポジウムの成果である法政大学江戸東京研究センター編『風土(Fudo)から江戸東京へ』(法政大学出版局)で様々な議論が展開された。前半は和辻哲郎『風土』(1935年)を読み直し,風土学の観点から東京を考察している。後半は,フランスからの登壇者がイタリアからは風景・景観研究の基礎文献が届けられた。ダンジェロ, P. (鯖江秀樹訳)『風景の哲学』(水声社)は英語圏以外のヨーロッパ風景論の多様性を教えてくれると同時に,環境美学の観点からの風景の考察が新鮮である。河合洋尚『景観人類学入門』(風響社)からも地理学と共通する景観へのアプローチを学ぶことができる。大倉健宏『エンゲージ(Engage)された空間』(学文社)は文化地理分野の新しいテーマとして紹介したい一冊である。本書はペット飼育率の高い米国で,ドッグパーク利用者へのアンケート調査に基づく報告である。主たる目的の一つは飼い主と飼い犬との間の歯周病伝播という地理学との関連も薄いものではあるが,広いテーマとして地域におけるペットと人間社会の共生を論じている。
これまで触れてきたように,2020年は『地理』誌上で「文化地理」にとって興味深い特集が3つ組まれた。個別の論考まで紹介することはできなかったが、いずれもそのテーマに取り組もうとする者にとって基礎的な知識を提供してくれよう。1996年に『地理科学』に私が書いた文化研究に関する小論でも,『地理』に掲載された記事は多いが学会誌に掲載される論文は少ないことを指摘した。また,本稿で取り上げた地理学雑誌に掲載された論文のなかには卒業論文や修士論文を基にしたものが少なくない。いくつかの著者は大学院に進学していて研究の進展が期待されるが,すでに研究を離れた者もいる。この分野の発展についていえば,少し残念なことだ。
文献調査をする際,私は他分野に注意を向けることが多い。本稿の文献調査は地理学文献のなかに「文化」を,他分野の文化研究のなかに「地理」を探す作業だった。地理学外の広大な他分野のなかから「文化」研究を見出すわけだから,ここでいう文化研究の「文化」は所与ではない。一方で,地理学雑誌に掲載された地理学文献における「地理」は所与のものとしがちである。しかし,他分野と比べて地理学文献がより「地理」を論じているかどうかは,自省的に今一度確認する必要があろう。
本稿の選別作業から,民俗学や人類学といった学問分野,スポーツや文学を含アートという事象,風景・景観,言語や知識,人間-自然関係といったテーマを「文化」として規定することとなった。しかし,かつてカルチュラル・スタディーズが主張していたように,文化の研究は経済でないもの,政治でないものを扱うためや,それらを選り分けるために必要なわけではない。文化経済学という分野や文化政治学という表現があるように,文化は至る所にある。時には多くの人々が目に触れるものを文化で覆い,その背後にある政治や経済を隠されている事象・現象もある。
本稿を執筆している時点で,東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催の有無はまだ見通せていない。今回の長きにわたる騒動によって,このイベントがスポーツによる平和の祭典などと信じさせる根拠はほとんど崩れ去っている。あいちトリエンナーレ2019の騒動についても然りであり,スポーツやアートを素朴に文化的なものとしてのみ研究することはできない。また,2020年は観光とともに,文化・芸術の社会(経済)における役割について深く考えさせられた。
文 献
青嶋 絢 (2020). サイトスペシフィックな音楽/音の表現―場と音を接続する―. 民族藝術学会誌 arts/ , 36, 50-54. [Aoshima, A. (2020). Site specificity in music/sound contexts: Connecting sound to site. Journal of Society for Arts and Anthropology, 36, 50-54.]
青砥和希 (2020). 写真による福島県西郷村川谷地区の地域表象研究―開拓誌の写真と家族写真の比較を中心に―. 理論地理学ノート, 22, 125-146. [Aoto, K. (2020). Photographic representation of region: A case study of the Kawatani district, Nishigo Village, Fukushima Prefecture. Notes on Theoretical Geography, 22, 125-146.]
荒木優太 (2020). 『有島武郎―地人論の最果てへ―』岩波書店. [Araki, Y. (2020). Arishima Takeo: Chijin-ron no saihate e. Iwanami Shoten.]
池田彩乃・淡野寧彦 (2020). 愛媛県鬼北町における座敷雛の発祥と地域的特色. 地理空間, 13(2), 73-85. [Ikeda, A. and Tanno, Y. (2020). Origins and regional characteristics of “Zashikibina” (one of the doll festivals) in Kihoku Town, Ehime Prefecture. Geographical Space, 13(2), 73-85.]
池田真利子 (2020). コロナ時代の「夜」の地理学―音楽と音の紡ぐ未来―. 地理, 65(10), 4-12. [Ikeda, M. (2020). Korona jidai no “yoru” no chirigaku: Ongaku to oto no tsumugu mirai. Chiri, 65(10), 4-12.]
石井久生 (2020). 文化の祝祭にみるエスニック資源と地域活性化―スペイン・バスク州ドゥランゴにおけるブックフェアの事例―. 地理空間, 13(3), 197-214. [Ishii, H. (2020). Ethnic resource and regional revitalization in cultural festival: A case of Durangoko Azoka in Durango, the Basque Country, Spain. Geographical Space, 13(3), 197-214.]
今里悟之 (2020). 田畑一筆の通称地名の変化と継承―長崎県平戸島の事例から―. 日本民俗学, 301, 35-66. [Imazato, S. (2020). Preservation and alteration of folk plot names for farmland: A case study of Hirado Island, Nagasaki Prefecture. Bulletin of the Folklore Society of Japan, 301, 35-66.]
上田假奈代 (2020). 現場のわりきれなさと,(あまり)現場にいない言葉たくみな人―大阪・釜ヶ崎で喫茶店のふりをするアートNPOココルームを研究者はどのように語るか―. 空間・社会・地理思想, 23, 199-205. [Ueda, K. (2020). We who work in the field everyday are not good with words: Researchers who are good with words don't often (need to) come to the field. Space, Society and Geographical Thought, 23, 199-205.]
大倉健宏 (2020). 『エンゲージ(Engage)された空間#ペットフレンドリーなコミュニティの条件』学文社. [Okura, T. (2020). Engage sareta kukan: #Petto hurendori na komyunithi no joken. Gakubunsha]
太田原潤 (2020). ヤマアテによるコヨミ認識の一様相―沖縄県久米島町のウティダ石のもつ意義を中心に―. 非文字資料研究, 20, 105-124. [Otahara, J. (2020). One example of ways for recognizing seasonal changes using the Yamaate technique: A study focusing on the significance of the Utida Ishi in Kumejima Town, Okinawa Prefecture. The Study of Nonwritten Cultural Materials, 20, 105-124.]
大山エリンコイサム (2020). 『ストリートの美術―トゥオンブリからバンクシーまで―』講談社. [Oyama, E. I. (2020). Sutorito no bijutu: Tuonburi kara Bankusi made. Kodansha.]
小栗宏太 (2020). ホラー映画と想像の地理:香港南洋邪術映画を題材に. 言語・地域文化研究, 26, 493-509. [Oguri, K. (2020). Horror films and imagined geographies: Hong Kong cinema of Southeast Asian black magic. Language, Area and Culture Studies, 26, 493-509.]
小谷一明 (2020). 『環境から生まれ出る言葉―日米環境表象文学の風景探訪―』水声社. [Odani, K. (2020). Kankyo kara umareru kotoba: Nichibei kankyo hyosho bungaku no fukei tanbou. Suiseisha.]
加藤政洋 (2020). 『酒場の京都学』ミネルヴァ書房. [Kato, M. (2020). Sakaba no Kyoto gaku. Mineruva Shobou.]
金田章裕 (2020). 『和食の地理学―あの美味を生むのはどんな土地なのか―』平凡社. [Kinda, A. (2020). Wasyoku no chirigaku: Ano bimi wo umunowa donna tochi nanoka. Heibonsha.]
兼松芽永 (2020). アートプロジェクトの図地転換―田んぼの「棚田化/アート化」から考える―. 国立民族学博物館研究報告, 45(2), 383-422. [Kanematsu, M. (2020). Figure-ground reversal of art projects: Thinking from the process of a rice paddy field becoming a "rice terrace" or "art". Bulletin of the National Museum of Ethnology, 45(2), 383-422.]
河合洋尚 (2020).フードスケープ―「食の景観」をめぐる動向研究―. 国立民族学博物館研究報告, 45(1), 81-114. [Kawai H. (2020). Foodscape: A new trend of "food landscape" in anthropology and its related academic fields. Bulletin of the National Museum of Ethnology, 45(1), 81-114.]
河合洋尚 (2020). 『景観人類学入門』風響社. [Kawai H. (2020). Keikan jinruigaku nyumon. Fukyosha.]
川合泰代 (2020). 『聖地への信仰―地理学からのアプローチ―』古今書院. [Kawai, Y. (2020). Seichi eno shinkou: Chirigaku karano apurochi. Kokon Shoin.]
木戸 泉 (2020). クロアチア紛争後のコメモレーションによるナショナル・アイデンティティの強化と継承. E-Journal GEO, 15(1), 74-100. [Kido, I. (2020). Reinforcement and transmission of national identity through commemoration after the Croatian War. E-Journal GEO, 15(1), 74-100.]
木村由梨 (2020). 地域アイデンティティの再興―川口鋳物,初午太鼓,サードプレイス―. お茶の水地理, 59, 21-30. [Kimura, Y. (2020). Reconstruction of regional identity: Foundry industry, Hatsuuma-taiko drum, and the third place in Kawaguchi City. Annals of Ochanomizu Geographical Society, 59, 21-30.]
漆 麟 (2020). 「藝術空間」としての日中戦争期における中ソ文化協会. 人文学報, 115, 1-25. [Qi, L. (2020). Sino-Soviet Cultural Association: A modern "art space" during the Second Sino-Japanese War in Chongqing. Journal of Humanities, 115, 1-25.]
熊谷貴史 (2020). 立体マンダラ小考―展示に基づく空間表現への視座―. 佛教大学宗教文化ミュージアム研究紀要, 16, 1-18. [Kumagai, T. (2020). Essay on display of three-dimensional mandala. Bukkyo Daigaku Syukyo Bunka Myujiamu Kenkyu Kiyou, 16, 1-18.]
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[*] 独立研究者
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