文化・芸術

【エンタメ日記】『山女』,田沼武能写真展,高麗博物館,『劇場版Re: STARS』

2023年715日(土)

この日は午前中の支部会議が長引き,観る予定だった映画に間に合うかどうかやきもきしながら電車に乗る。新宿の武蔵野館で上映している『クロース』は完全に間に合わないので,明大前で井の頭線に乗り換えて次の候補であった渋谷に急ぐ。駅に着いてから上映開始まで10分ほどしかないが,急いでみる。

渋谷ユーロスペース 『山女』
元々の予定で恵比寿の東京都写真美術館に行くつもりだったので,都心でなくては観られない作品を選んで,時間と場所でちょうどよかったのがこの作品。なんとか予告編前に間に合った。「18世紀後半の東北の寒村」という設定で,数年日照が足らずに不作が続く時代の苦難を描く。小さな村の中では,わずかな食糧をめぐって足の引っ張り合いがあり,そんななか,山田杏奈演じる女性が,自ら村の人数を減らすために村人でもなかなか入り込まない山の奥へと入り込んでいく。そこで,森山未來演じる山男と出会い,村とは異なった生き方を見出していく。暗~い陰湿な社会の話が,この山男,そして彼に信頼をおいて新しい人生を歩もうとする「山女」の姿になんとなくコメディ的な雰囲気というか,希望を感じさせる面白い作品。山田杏奈さんの存在感もなかなか良かった。現代劇の演技も見てみたい。
https://www.yamaonna-movie.com/

恵比寿東京都写真武術館 田沼武能写真展「人間賛歌」
私が田沼武能さんの作品の研究をしていることはここでも何度も書いているが,昨年の6月に亡くなり,1年が経ったということで,恵比寿ガーデンホールで偲ぶ会が開催されるという案内を受けた。写真展としての偲ぶ会がこの展示である。戦後の東京を写した作品,世界の人々,そして武蔵野の姿。田沼さんが生涯手掛けてきた主要なテーマに沿っての展示だった。写真集はそれこそ何冊もわが家にはあるが,改めてしっかりとプリントされた作品を観ると,やはりこの写真家の偉大さを感じる。それぞれの時代背景やその場所の特徴を写し込み,また被写体の人物の本質を写すような印象を観る者は受ける。どういうシチュエーションで田沼さんがシャッターを切ったのだろうと想像力を働かせるのだが,それが非常に難しい。どうやってこの場に居合わせたのだろうという意味では,写真家としての存在が透明に感じるし,笑顔を向ける子どもたちの表情を見ると,まさにその視線の先に穏やかにほほ笑む田沼さんの姿があったと感じることもある。本展示はテーマに沿って分類されてはいるものの,世界の人々については時代や国をあえてバラバラに,撮影されたテーマに沿って緩やかにまとめられてはいるが,田沼氏が長年変わらない姿勢でカメラと向き合い,世界と向き合ってきたことが分かる展示になっている。特に,私が集中的に研究してきた作品は20世紀のものだが,21世紀に入っても,高齢になっても変わらない精力さで世界をめぐり,さまざまな境遇にある人たちの姿を取り続けた,やはり唯一無二の写真家であることを実感し,そんな田沼さんの作品に研究者として(私自身は批評家だと思いたいのだが)向き合ってきたことを誇りに思った。
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4532.html

 

2023年719日(水)

この日は前期の最後の授業。Twitterで流れてきた情報だったが,関東大震災100周年ということで,その時に起こった朝鮮人虐殺に関する展示があるということで,行きたいと思っていた。水曜日は一時限に国分寺で授業をし,午後の三時限に高田馬場で授業がある。いつも一時間くらいの余裕があるので,その前に新大久保に立ち寄って展示を観ることにした。

新大久保高麗博物館 「関東大震災100年~隠蔽された朝鮮人虐殺」展
新大久保は日本で有数のコリアンタウンになっていることもあり,韓国との物流業者などが集まるビルの7回に高麗博物館があった。本来の展示時間は12時からだったが,30分前に着いてしまった。しかし,館内ではすでに見学されている方もいたので,入ってみると見学OKということで,400円を支払って見学を開始する。すでに見学していた方々は団体でスタッフの解説付きだった。私も一人で見学していると,「これから質問など意見交換をしますので,よろしければ一緒にご参加ください。」と声をかけられたので参加することにした。この団体がどのようなものかは分からなかったが,40代くらいを中心とする女性ばかりの団体だった。
この朝鮮人虐殺はヘイトクライムでありジェノサイドだが,そうした事柄に詳しい方もいたし,日本の政治問題全般に関心がある人もいた。こうした日本人による加害の歴史を侵略戦争の歴史も含めてその教育における問題に関心を持っている人もいたが,素朴に韓国文化が好きで来たという人もいて,さまざまな参会者に対し,案内人であったスタッフの方が全員に一言コメントをお願いした。そのなかには,この史実をあまり知らずに,でも韓国文化が好きで韓国人の友達もいて,この史実を知り今度その友達にどう接すればいいのかと涙ぐむ人もいた。ひとそれぞれの受け止めがある展示だった。個人的にはネットオークションで落札した絵巻物に虐殺のシーンが描かれていたということで,その展示があったこと,それから過去の関連書籍の現物が読めるように展示されていたこと,こちらがすごかった。基本的な展示内容は,500円で販売されているカタログを購入すれば家でじっくり読めます。

 

2023年722日(土)

立川立飛TOHOシネマズ 『劇場版Re: STARS~未来へ繋ぐ2つのきらぼし』
息子も中学校に上がり,ここのところは娘と2人で過ごす休日が多くなった。一番手っ取り早いのは映画を観に行くことなので,この日も調べていたら,全く知らないアニメ映画があったので,早速娘に予告編をみせると,観たくなったとのことなので観に行った。予告編を観ただけだったが,「劇場版」と銘打っている以上アニメでも放映していたようだが,なんとこのアニメは中国製だった。そして,吹替は音楽系(?)YouTuberユニットによるものとのこと。やはりステージのシーンとかがかなり手抜きでうーんという感じではあったが,そこそこ楽しめた。なお,客席は若い女性が多く,そのYouTuberファンなのか,アニメのファンなのかは分からない。
https://re-stars.com/movie/

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急遽12000円

昨年の11月に観た『ユモレスク~逆さまの蝶』という中編映画。
可愛い女の子2人が部屋でダラダラするだけの作品。主演は一応,太田莉菜ちゃんってことになっていたけど,同等に出演していた美波という女性に釘付け。
テレビのある人は知っていると思いますが(といいながら映画にもけっこう出演しているようです),私はこのとき初めて彼女の存在を知った。その後,蜷川実花監督映画『さくらん』にも出演しているということで楽しみにしていたが,イマイチ彼女の魅力は出ていなかったように思う。

それが,今秋公開作品『逃亡くそたわけ 21才の夏』に美波が主演するのだ。何度観ても飽きない予告編。今,私のなかで一番楽しみにしている映画。それは美波ちゃんが主演しているということを除いてもかなり面白いと思う。といっても,博多弁でさわぐ,精神病院から抜け出してくる役ってところがなんともいえぬ。

もう,公開が待てずにいろいろ調べていたら,蜷川幸雄演出の舞台『エレンディラ』に出演するというじゃないですか!しかも,もう始まっていて,関東では(埼玉です)9月2日が最後ですよ。仕事中に焦って空席状況を調べると,もちろん土日には空席なし。この週はライヴ続きなので平日の夜も駄目。しかし,私は木曜日が会社お休みなので,木曜日の昼を調べる。
うおー,なんと空席あり。しかし,A席はなしで,S席のみ。12000円なり。仕事の時間中考えて,行くことにしました。『逃亡くそたわけ』で美波が叫ぶ台詞「わたしの21才の夏は二度と来んちゃもん!だけん,逃げないかんとって!!」。そう,美波ちゃんは舞台にも何度か立っているので,この先もそのチャンスはあるが,21才の夏に彼女が舞台に,しかも蜷川さんの舞台に立つのは今回きりなのだ!
そう,ベタですが,蜷川さんの舞台も一度は観てみたかったんですよね。しかし,S席ながら2階です。正面のようなので観やすいんだろうけど臨場感はね。ということで,30日に彩の国さいたま芸術劇場まで行ってきます!

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