映画・テレビ

【映画日記】『マンティコア 怪物』『ペナルティループ』『マリウポリの20日間』

2024年430日(日)

今年のゴールデンウィークは会社の休みがかなり長い。とはいえ,水曜日と木曜日は祝日に当たらないので,大学は休みではない。私のパートナーが転勤して,基本土日がお休みになったので,とりあえず,ゴールデンウィーク前半に一本映画を観させてもらうことになった。

立川キノシネマ 『マンティコア 怪物』
選んだのはスペイン映画。ゲーム会社のキャラクターデザインを担当している3Dコンピュータ・グラフィック・デザイナーの男性が主人公。自宅で作業をしていることが多いが,マンションの隣室でボヤがあり,一人で閉じ込められてしまっていた子どもを救出するところから物語は進展する。これまで一人として恋人はいなかったという主人公だが,ふとした気まぐれで救出した男児に惹かれ,普段はモンスター・キャラクターを作成している会社のソフトを使ってVRで男児の複製を作ってしまう。一方,急速に仲を深めた女性がいて,もうすでにデータも削除したそのVR男児のことは忘れてしまうが,会社に呼び出されて,という展開。
副題に「怪物」とある割には,衝撃的な内容は少なかったように感じた。むしろ,終盤で八方ふさがりになってしまった主人公の行動が唐突に思え,あまり理解できなかったし,また男性に対する女性の反応も少し分からなかった。人間の不可思議という理解でよいのか。
https://www.bitters.co.jp/manticore/

 

2024年51日(水)

新宿武蔵野館 『ペナルティループ』
前作である長編デビュー作『人数の町』で度肝を抜かれた荒木伸二監督作品第二段。予告編を観る限りでは面白い設定だが,それで2時間持つのかという素朴な疑問もあり,なかなか観る機会を作れないでいたが,パートナーが主演の若葉竜也が好きだということで,観る機会を作ってもらった。ちなみに私は山下リオさんが好きだが,予告編を観た限りでは冒頭で殺されてしまい,あまり出番がなさそうという感じもしていた。この日は高田馬場で14:50に授業が終り,その後新宿の献血ルームで全血400ml献血を予約していたものの,19:05からの映画までにはかなり時間があった。新宿で一人で時間をつぶすということがこんなに苦痛になるとは思わず,かなり疲れての鑑賞になったが,疲れも吹き飛ばす内容で,大満足だった。
ネタバレになってしまいますが,公開が322日からだったので,もういいですかね。設定としては,犯罪被害者遺族に対して,民間団体が提供する立ち直りのプログラム。それはVRで何度も加害者に復讐をするというもの。復讐を何度も強制させられることで馬鹿らしくなってしまうというのが一点。二点目は加害者との間に何らかのシンパシーが生まれ,加害の動機についても一定の理解にたどり着くということ。ちなみに,本作での加害者役は伊勢谷友介。今回はとてもいい役どころです。その経験を通じて被害者に対する理解がさらに深まるという仕組みになっている。もちろん,本作で描かれるのは一つの事例であり,全ての場合にこのプログラムがうまくいくかどうかは分からないのだが,VRの製作者が,VR上での出来事の展開をある程度操作するのかもしれない。ただいずれにせよ,多くの経験を積まないとより優れたプログラムにはならないような気もする。荒木監督の作品は前作も今作も,観終わった感じがいいんですよね。始まりは社会や人間に対する否定的な感情からなのですが,最後にはすがすがしい気持ちになります。
https://penalty-loop.jp/

 

2024年57日(火)

立川キノシネマ 『マリウポリの20日間』
立川キノシネマは3スクリーンあるが,そのうち一つは贅沢シート。全部で6列くらいしかないんだけど,そのうち2列が特別料金。ちょっと座席が少なすぎます。しかも,会員がスマホ登録になってしまって,私が入れるのは半年有効の紙の会員証。当日窓口で受け付けしないと割引されない。当日受付に行くと,特別料金席以外は2席しか空いておらず,しかも最後列しか空いてなかったが,やむを得ず購入(いつもはほとんど最前列)。
このドキュメンタリー映画は,2022224日にロシアがウクライナに侵攻してから,ウクライナ東南部に位置する都市マリウポリで20日間取材を続けた一人の記者(単独ではないようだが)による記録映像。現在,ウクライナ戦争の戦況は日本にあまり伝わってこなくなってしまったが,この戦争で日本に住む私にも知られるようになったこのマリウポリという都市は,この20日間だけで2万人以上の死者を出したというのは今更ながら驚くべきことである。そして,ガザの惨状にはそれなりに注意を払っている私でも,現在のマリウポリがどうなっているかは知らない。その後,この戦争は2年以上続いていて,ウクライナの抗戦がそれなりにロシア軍を押しとどめていて,どちらの軍も疲弊しながら諸外国の支援を受けながら続いているということは知っていたが,マリウポリはどうなったのだろうか。
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年前のマリウポリで起こっていたこともまさしくジェノサイドだ。少なくともこの街では,ロシア軍とウクライナ軍は全くの不均衡である。ウクライナ兵士はごくわずかな民間人を守ることくらいしかできておらず,ロシア軍はミサイルと戦闘機からの空爆で無差別的に,あるいは意図的に病院や大学を狙うこともある,という具合に街を破壊し,その後戦車で侵攻し,近距離の地上からも砲撃をする。この街で何が起こっているのか,街の外に知らせないためにネットを遮断する。この映画の監督は密かに映像を撮りため,街に一ヵ所しかない(徐々に少なくなっていった)ネットがつながるスポットへ行き,映像を断片化して送付していたという。それらはAP通信社から全世界へと流されたが,ある時からはそれがフェイクニュースだというロシア側からのある種のサイバー攻撃をかけられる。そのようにして出来上がった映画。戦争なんて意味がないとは以前から思ってはいたが,本当に無意味さを感じるどころか人類が築き上げてきたものを無化し後退させるものでしかないと強く感じさせる映画鑑賞だった。
https://synca.jp/20daysmariupol/

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【映画日記】『彼方のうた』『ひとつの歌』『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』

2024年413日(日)

下高井戸シネマ 『彼方のうた』
私の研究者仲間の知人が映画監督だということで,ある時雑談的にその監督の作品の話をしてくれた。タイトルには何となく聞き覚えがあったものの,ウェブで見るのと声でタイトルを聞くのと印象が違い,私の知らない映画作品の話をしているのだと思っていた。しかし,その監督が一貫して『○○のうた』という作品を撮っているという話を聞いて,「ひょっとして『春原さんのうた』の監督ですか?」と聞いたら,そうだった。『春原さんのうた』も結局観なかったのだが,私がたまに行く分倍河原のマルジナリア書店で大々的に宣伝していたので作品の存在は知っていた。そんな杉田協士監督の作品が下北沢で一週間特集上映されるというので,観に行った。
その研究者仲間は一般受けのしない作風といっていたが,この日続けて2本の作品を観て,杉田監督の作品が一般受けはしない理由は二つあると感じた。この2作品(もう一作は『ひとつの歌』)に共通するのは主人公がストーカー的行為をするということ。もう一つは作品自体が作中で起きている出来事を語りすぎないこと。ここでは,陳腐な批評だが,この作品のストーリーを私なりに解釈して再現したい。小川あん演じる主人公は中学生の頃鉄道で痴漢にあった。その犯人とはホーム上で顔を合わせていて覚えていた。大人になった現時点で,眞島秀和演じるその犯人を見つけ,尾行して自宅まで突き止めている。その先の経緯は分からないが,その男が今度は主人公が勤める書店(撮影場所がマルジナリア書店で,店主の小林えみさんも本人役で登場する)を訪れる。その後,改めて場所を移動して,今度は聖蹟桜ヶ丘のキノコヤというお店で二人でビールを飲みながら話をする。このキノコヤを主人公が初めて訪れた時は,駅前で中村優子演じる女性にお店の場所が分からないといって連れて行ってもらう。残念ながらその時にキノコヤはお休みで,ランチを食べそこなった主人公はその女性の自宅にお邪魔してオムレツをごちそうになる。なお,このキノコヤの存在も私は知っていて,入ったことはないが,その隣のおにぎりカフェ「くさびや」には何度か食べに行ったことがある。なお,キノコヤも映画の上映会をするようなお店で,『春原さんのうた』のチラシは貼ってあったような記憶がある。
なお,主人公とオムレツの女性はそれからもたびたびこの女性の自宅でランチをする仲となる。また,眞島演じる男性の自宅も訪れ,その娘の脚本を主人公が読み,映画を撮影することとなる。
杉田監督の作品はストーカー的な執念さで関係性をもった二人が良い関係になるという意味において現実離れしている。また,作中の出来事を詳しくは説明しないことによって,その不自然なことを曖昧にすることができる。それはある意味で映像表現である映画特有の表現を優先しているものともいえる。また,杉田作品に特有なものの一つに長回しのシーンの多さもあるかもしれない。その不自然な形で親密になった二人の人物が言葉も交わさずに一緒にいる時間をそのまま映像として記録するのだ。そして,恐らく彼の作品にはスマートフォンの登場が極端に少ないように思う。かつては頻繁にあった二人の人間が同じ空間を共有する時の沈黙という間の悪さというか,それをそのまま表現している。携帯電話でウェブ閲覧などができるようになったばかりの時代は,近しい人と一緒にいる時間に片方の人が携帯電話を開いて見るという行為には一種のためらいがあったと思うが,今日はほとんどないといえる。すでに失われてしまった二人の人間観のかつてあった関係性を杉田氏の映画は記録に留めようとしているといえるかもしれない。
なお,上映後に監督と主演の小川あんさんの舞台挨拶があった。続いて上映された『ひとつの歌』の30分ほどの舞台挨拶に比べて,この時は5分程度のもので,2人ともほとんど話はできなかったが,会場からはなかなか鋭いディープな質問があり,続いて鑑賞することになった作品の理解をより良いものにしたと思う。個人的な印象ではあるが,主役の小川あんさんは顔が整いすぎていて,そこも現実離れした印象を受ける作品ではあった。
https://kanatanouta.com/

 

下高井戸シネマ 『ひとつの歌』
引き続き,2011年に制作された杉田監督の長編第一作を観た。こちらもある意味でのストーカー映画。主人公は聖蹟桜ヶ丘からバイクで東村山駅まで通い,駅のホームでポラロイドカメラを使って気になる乗客の写真を勝手にとっている。ある日,ホーム上で読書をする女性を撮影した後,駅から出ようとした時にホーム上での事故(電車による人身事故)のようなものを目撃する。すると,ホーム上でやはり写真を撮っていた,少し不審な行動をしていた男性が駅から急いで離れていく様子をみかけ,主人公はその男を尾行する。最終的には住宅地でその男と目があうシーンで一旦は終わる。その後,同じように主人公が東村山駅で撮影する人を物色していると黒ずくめの憔悴した女性がいて,気になって電車で追いかけると吉祥寺で降りて自宅に帰っていった。主人公はその女性の自宅をつきとめて引き返す。それから何度か吉祥寺に足を運び,どうやらその女性の職場(小さな写真館)を見つけ,自らのポラロイドで使用するフイルムの在庫はないかと話しかける。そこから,この写真感が開催する撮影会に参加することを通じて,その女性と仲良くなる。ついに彼女の自宅を訪れる機会があったのだが,彼女が意気消沈していたのは,母親を亡くしたのが原因で,その母親とは主人公がホームで撮影した女性であり,恐らくホームでの人身事故で亡くなったのだ。そして,その事故には主人公がその後尾行した男性が関わっていて,その男は逮捕されたのかもしれない。別の日に主人公がその男を尾行してたどり着いた住宅を再び訪れ,母娘が暮らす住宅に入り込むのだ。この家の主がその男で今は逮捕されて不在なのかもしれない。
こんな具合に,説明の少ない作品ではあるが,鑑賞者が想像力で補うことによってつじつまの合うストーリーを想定することもできる。しかし,やはりこの作品でもストーカー的行為によって出会った人物同士が仲良くなり,またそのことは悪意を持ったストーカーではなく,善意のもの,すなわちこの人と仲良くなりたいという誰でも抱く素朴な欲望,そしてほとんどの人がそれを現実世界では実現しようとはしない欲望がフィクショナルな物語世界のなかで実現される,そういうところに魅力を感じないでもない。
この回の終了後には,杉田作品を支えている撮影監督の飯岡幸子さんとのトークショーがあった。私はこの人のことを知らなかったが,自身もドキュメンタリー作品の監督を務めるなど,この日の話を聞いただけでも優れた映像作家であることが分かった。フロアからも同業者からの発言などもあり,非常に充実したトークショーだった。この日記の冒頭で,杉田監督作品は一般受けしないといったが(多くの作品がポレポレ東中野で上映されている),それはあくまでも一般的な観衆であり,この日下高井戸シネマに集まった多くの映画ファンを含めて,かなりディープに映画を愛する人には評価される作品を撮る監督だと思う。
http://www.boid-newcinema.com/hitotsunouta/staffcast.html

2024年414日(日)

立川シネマシティ 『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』
今年も娘と名探偵コナン映画を観に行きました。予約を取ろうと思ってTOHOシネマズのサイトを見ると,1日に複数のスクリーンで20回ほど上映していて驚く。といいつつ,息子も同じ映画館の別のスクリーンで別の映画を観てもらうことにして立川まで行った。今回の映画は函館が舞台。子ども向け作品でありながら,もちろん大人の鑑賞者もいて,上映時間も2時間近くあるが,飽きさせずに十分楽しめる。次回作も楽しみにしたい。
https://www.conan-movie.jp/2024/

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【映画日記】『14歳の栞』『オッペンハイマー』

2024年317日(日)

立川キノシネマ 『14歳の栞』
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歳の息子と一緒に観に行ったドキュメンタリー映画。14歳はおよそ中学二年生に当たるが,とある公立中学校のあるクラスに密着し,全生徒35人の姿を追ったもの。この映画では,35人全員を一人ひとり実名を出して主人公にしている。そこまでするのはなかなか珍しいこともあって,息子は今まで観た映画のうちで指三本に入ると気に入った様子。このクラスには車椅子の生徒が一人いて,不登校の生徒も一人いる。外国にルーツのある生徒はいなかったし,LGBTを公言している生徒もいなかった。取り上げる生徒の順番にはそこそこ制作者側の意図を感じた。はじめの方に登場する生徒は活発な子で,こんなに楽しいクラスはないと主張する。しかし,徐々にクラス全員がそうは思っていないことが,一人ひとりの発言によって明かになり,場合によってはその盛り上げようとする人たちの存在を疎ましく感じてさえいる。そして,車椅子の生徒や不登校(実際にはそこそこ学校に来ているが,いわゆる保健室登校のように,通常のクラスには来ない)の生徒にとっての困難も控えめにだが明らかにされる。一人ひとりがそれぞれの思いで学校生活を送っていて,部活動や放課後などの場面も描かれる。カメラの前で子どもたちがかなり自然に振る舞えるほど制作者は密着してきたとはいえるが,それでも子どもたちはかれらに踏み込ませない領域を保ってもいたし,そうした距離感が面白い。とはいえ,第三者として聞き取った子どもたちの声が,この映画を当事者が観た時に,自分たちも聞いてしまうわけだから,この映画が本人たちの今後の関係にも関わってしまうという点では罪深いものでもあると思ったりもしてしまう。
https://14-shiori.com/

 

2024年47日(日)

府中TOHOシネマズ 『オッペンハイマー』
毎年8月上旬に,原爆が投下された広島と長崎を持ち回り会場として,原水爆禁止世界会議が開催されている。党支部の市議会議員から是非行ってみてくださいと昨年打診をされたが,旅費など支部からのカンパを募るが,子ども連れで行くとそこそこの自己負担もあるので,お断りした。ただ,今年もお願いされていて,私一人でも行くことになりそうだ。ということで,原爆関連映画として,アカデミー賞受賞という話題性もあるので,観ておくことにした。この作品についてはすでにポリタスTVでも関連動画を観ていたので,しっかり学びたいと思った。
とはいえ,私はオッペンハイマーの名前すら知らなかった。映画を観ると,太平洋戦争を早期に終結させ,多くの米兵の命を守ったある種の英雄として語られ,それと同時にさまざまな形で非難され攻撃もされた。つまり,米国の現代史に一つの名前を刻んだ人物であるが,どれだけの日本人が原爆の父としての彼の存在をしているのだろうか。まあ,そんなこともあるが,上述したように事前に関連動画も見ていたのだが,実際に映画を観て知ることも多かった。私にとって非常に興味深いのはオッペンハイマーが一時期米国の共産党の集会に足しげく通い,元党員の妻と愛人を持っていたことだ。なぜ彼が共産主義に傾倒したのかは詳しく描かれないが,大学内でも組合活動に精を出している。学者としては欧州に留学し,米国ではアインシュタインの影響か,量子力学が軽んじられていたようだが,オッペンハイマーは欧州で量子力学を学び,それを米国に持ち込むことによって原子力研究を推進する主体となる。そして彼はアインシュタインと同様,ユダヤ人でもあった。
米国にとっての原爆のような大量破壊兵器の開発は,実際に使用するかどうかは別にして,当然第二次世界大戦の終結の切り札として, その存在意義(今日でいうところの抑止力)を有するものだった。念頭に置いていたのはドイツであり,ドイツに大量破壊兵器を先に開発されてはならない,ということと同じ同盟軍ではありながらソ連に先に開発されてしまっては,戦後の国際政治の主導権が握れない。そういうことで開発を急がされたものだった。ユダヤ人であるオッペンハイマーは当然対ドイツについてはうってつけだが,共産主義者であるという点では,戦後ソ連のスパイという容疑をかけられる存在でもあった。ともかく,ようやく米国での原爆が完成するというところでドイツは降伏した。本来であれば,その大きな目的を失ったわけだが,日本はまだ降伏していない。しかも,米国との戦闘において圧倒的に不利に追い込まれてもなお,降伏する兆しすらないということで,原爆使用のターゲットとなっていく。この時点で,日本は対等な交渉相手としては見なされていない,理解不能な民族という印象を受ける。だからこそ,原爆の実験台としては日本はちょうどよかったのだろう。この映画では,なぜ二発目が長崎に落とされることになったのかは描かれない(そもそも,実際の投下の決定はオッペンハイマーなどの開発者の手からは離れている)。トリニティという名で有名な米国での核実験では,マンハッタン計画のメンバーなどが数キロの地点から爆発する様子を目撃しており,爆風も受けている。かれらに被曝の被害があったかどうかは不明だが,この頃は放射能の人体への影響についてはそれほど議論されていなかったように思う。実際に広島に投下され,時が経つにつれて被害者が増えていくことが知られ,放射能の存在が分かってきたのかもしれない。いずれにせよ,そうした実際の人間居住地への原爆の投下による被害の大きさにオッペンハイマーはかなり心を痛めたようで,戦後は軍縮の意見を持つようになったようだ。ともかく,映画としては情報が多すぎて理解が追い付いていないが,今年の原水爆禁止世界会議ではいろんなことを学んできたい。
https://www.oppenheimermovie.jp/

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【映画日記】『カラフルな魔女』『落下の解剖学』『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』

2024年229日(木)

恵比寿ガーデンシネマ 『カラフルな魔女』
『魔女の宅急便』の作者,角野栄子さん。名前は知っていたが,作品自体をちゃんと読んだことはない。ただ,この映画を知って,予告編など観たら,なんと私の母親の一歳年上。うちの母も元気な方だが,さすがに最近はかなり衰えてきて,畑仕事は続けているようだが,それ以外は特にやることがないというか体が思うように動かない,そういう生活だと聞く。それに対して,角野さんはバリバリの現役であり,毎日のように朝から夕方までパソコンに向かって執筆活動をしている。前半はそういう今でも精力的な制作活動を見るだけで楽しかったが,後半はやはり盛り上げる展開が待っていた。角野さんは結婚間もなく,ブラジルに移住したのだ。1950年代後半の話である。
結局移民生活は数年だったということだが,そこで出会った少年のことを描いた『ルイジンニョ少年』という作品が彼女のデビュー作となる。そして,何十年もその少年とは音信不通だったのだが,最近連絡が取れ,そして彼が来日して再開するという形で,本作は展開する。まあ,その辺りはドキュメンタリーらしいクライマックスだが,やはり本作の魅力は鎌倉での彼女の生活を追う,そのほのぼのとした日常風景だろう。ともかく,なかなか彼女の作品に触れる機会はこの先も多くはないと思うが,非常に魅力的な作品をこれまで260点も制作しており,特に近年はそのブラジルに渡航した頃の自分をモデルに『イコ トラベリング』という作品を描いているそうで,こちらはトラベル・ライティング研究の題材として興味を持った。
https://movies.kadokawa.co.jp/majo_kadono/

 

2024年33日(日)
立川キノシネマ 『落下の解剖学』
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歳の息子を持った夫婦の物語だが,なんと13歳の息子と観に行った。私がこの手の作品を観るようになったのは大学生になってからだが,この方面ではあまりに早熟だ。さて,予告編でも観られるが,その家族は妻が作家,夫は教師をしながら小説を書こうとしている。息子は4歳の時の事故で視覚障害を追ってしまい,彼を慕う犬と一緒に暮らしている。ある朝,犬の散歩から帰ってきた少年は家の前に倒れている父親を発見する。雪深いロッジに住む家族だが,最近屋根裏部屋の改装を父親はやっていた。何らかの事故で落下したのか,自らの意志で飛び降りたのか,あるいは息子が不在のなか家に一緒にいた妻が殺したのか。物証と息子と妻の証言のみをめぐって裁判が行われるという物語。
この作品を観て,内容的には似ているところは多くないが,西川美和監督作品『永い言い訳』を思い出した。『落下の解剖学』で死んでしまった男が,妻と言い争いをするシーンがある。自分は小説を書きたいのだが,家事や育児に追われ,家計のために教師の仕事を続けている。その一方で妻は作家として成功していて次々と作品を出している。ただ,その作品だけで豊かな生活がおくれているわけではないようで,妻も傍らでドイツ語の翻訳の仕事もしている。なお,妻はドイツ人,夫はフランス人で夫婦は英語で会話をしている。この夫の言い分に私は自分の姿を見るようなのだ。私は大学に常勤の教員職を得られずに,研究は家計のための仕事と家事・育児の合間を縫って行っている。自分自身としては納得のいく研究活動ではあるが,この歳になってまだ一冊も自分自身の本を出せていない。論文は断片化された小さな時間の積み重ねで書けるが,一冊の本となるとまとまった時間が欲しいと思っている。とはいえ,本当に一冊の本が断片化された小さな時間の積み重ねでできるかどうかをやったこともないのだ。そう,『永い言い訳』の主人公もそうだが,自分がやりたいことをできない言い訳はいくらでも言えるのだが,じゃあ,本当にそのやりたいことというのに命がけで取り組んでいるのかといわれるとそうではない。むしろ日々の生活の雑事を言い訳にして,やりたいことを先延ばしにしているにすぎないのだ。まあ,そんなことを考えさせられた作品でした。
フランス映画にしては,非常に理路整然としていて,分かりやすく,息子も楽しんでくれたようです。
https://gaga.ne.jp/anatomy/

 

2024年310日(日)

府中TOHOシネマズ 『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』
毎年恒例となっている子どもたちとのドラえもん映画鑑賞。中学一年生になった息子もまだ付き合ってくれました。とはいえ,BUMP OF CHICKENを中心に日本の男性ロックバンドをよく聴いている息子にとっては,誰が主題歌を歌うのか,劇中の音楽,またエンディング・テーマの流れ方,そういうところにも映画を観る楽しみがあるようです。今回はVaundyというアーティストが主題歌を担当。劇中にも少し登場したり,エンディングもなかなかいい曲だった。さて,映画の内容ですが,「ストーリーはいいけど,いちいち陳腐なセリフがイマイチだった。」という息子の感想だけで十分。劇中で音楽が使われているというのも反則というか,いちいち涙腺にきますね。
https://doraeiga.com/2024/

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【映画日記】『ゴールデン・カムイ』『大室家dear sisters』『ダム・マネー』『名探偵コナン vs 怪盗キッド』

年末にもう一本映画を観た気がするが,何の作品をどこの映画館で観たのかが思い出せないので,悔しいが省略する。そもそも,この映画日記は手元にある映画の半券が大体3枚たまったらまとめて書くようにしているのだが,最近は映画の半券がなく,QRコードで入場という方式が定着してしまっていることが原因だ。
今年は年始早々足の指の付け根の骨を折ってしまい,その後娘が新型コロナウイルスに感染するなど,外出ができない・しにくい状況が続き,映画をなかなか観られなかった。娘が登校できるようになり,私も松葉杖が外れて,ようやく伸び放題だった髪の毛を切りに行くついでに息子に映画に付き合ってもらった。

2024年128日(日)

府中TOHOシネマズ 『ゴールデン・カムイ』
最近完結し,いろいろ賛否両論があるのは知っていたが,マンガの原作はあまり読んでいない。だけど,この作品がアイヌをどう描いているのか,少し知りたいと思い,息子も観たいといっていたので,観に行くことにした。『キングダム』に続いて山崎賢人君が主演だが,相手役のアイヌ少女を演じるのが山田杏奈さんてのがいいかもしれない。私は映画『山女』くらいしか観ていないが,少し似た感じの役どころ。まあ,エンタメ映画なので多くは望まないが,冒頭が旅順における日露戦争の戦闘シーンということで,関心が高まった。最近,太平洋戦争をはじめとして,戦争の知識を持ちたいと思うようになったが,日清戦争,日露戦争については,どこが戦場になったのかもあまり理解していなかったことを痛感した。
そして,日露戦争と北海道の関りについて,そして日本と蝦夷,和人とアイヌとの関係についてもこの作品で考えさせられることが多いかもしれない。とはいえ,原作は全31巻ということで,本作も登場しなかった別のキャストも登場する次回作が予告されていたように,何部作かを予定しているようだ。息子も楽しんだようなので,継続的に観るようにしよう。立川まんがぱーくなどに行った時に,原作も少しずつ読み進めよう。
https://kamuy-movie.com/

 

2024年24日(日)
府中TOHOシネマズ 『大室家dear sisters
短いアニメ作品なので,鑑賞料金2,000円が1,600円の特別料金になっているのはありがたいが,通常料金が1,000円の中学生以下も一律1,600円というのはやめてほしい。ともかく,小学生の娘と,通常2人で3,000円のところが,3,200円かかってしまった。
それはともかく作品だが,私のツボにはまるほのぼの系アニメ。年の離れた,小学2年生,中学生,高校生の3姉妹の日常を描く。次回作も予定されていて,今度は「dear friends」だという。本作でも各人の同級生も数人登場したが,そうした友達メインになるのか。6月公開なので,こちらも楽しみにしたい。
https://ohmuroke.com/

 

2024年210日(土)

立川キノシネマ 『ダム・マネー ウォール街を狙え!』
観たい映画はけっこうあるはずなんだけど,自由になる時間が限られているので,上映場所と上映時間も重要な要素。そんななかで,選んだ作品。事実に基づく金融系作品ということで,あまり私の好みではないが,ポール・ダノ主演ということで観ることにした。思った通り冒頭の展開はなかなかついていけなかったが,ようは米国では,富裕層の投資家が,中小企業を弄ぶように株価を操作し資金を蓄積している状況にある。まあ,それはコロナ禍にあっても大企業は業績好調という日本の場合も例外ではなく,株によってまさにグローバルな経済格差が拡大しているのは間違いない。そこで,この作品では一人の個人投資家が,実店舗でゲームを販売するという時代遅れな企業の株を大量に買い,またその下部の魅力をYouTubeで訴えるうちに徐々に賛同者が増え,株が買われ,株価が上昇していき,最終的には富裕投資家が大きな損失を生むというストーリー。なかなか面白かった。小口の投資家たちの姿はほとんどフィクションだと思うが,その詳細な描き方がまた良い。
https://dumbmoney.jp/

 

2024年211日(日)

立川シネマシティ 『名探偵コナン vs 怪盗キッド』
名探偵コナンの映画はここ数年,娘と欠かさず観に行っている。もともとテレビシリーズもろくに見ていないし,コミックは娘が購入した数冊あるだけなのだが,毎回長編映画の前に,こうしてその映画の主たる人物を取り上げたテレビ総集編を映画館で上映しているのでありがたい。今回も,上映時間的には娘と観るには少し無理があったが,翌日が休日だったので,観に行った。怪盗キッドについては,これまでの作品でも登場していたのでそれなりに知っていたが,この総集編は基礎的な情報が詰まっていて,勉強になった。4月から始まる映画版も楽しみにしたい。
https://www.conan-movie.jp/2024/tvspecial/index.html

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【映画日記】『アダミアニ 祈りの谷』『ヤジと民主主義』『PERFECT DAYS』

2023年124日(月)

立川キノシネマ 『アダミアニ 祈りの谷』
ジョージアのドキュメンタリー映画。少し日が経ってしまい,正確なところは覚えていないが,主人公が住む町,表題にある谷であるパンキシ渓谷は,チェチェン紛争から逃れてきたキストと呼ばれる人たちが住み着いた過去がある。単なる戦争避難民だけでなく,戦闘員も多く身を潜めていたという。イスラーム教徒であるかれらたちは,シリアにあるイスラーム過激派組織との関りを持ち,この渓谷はチェチェンを抑圧していたロシアから「テロリストの巣窟」と名指して非難されたことから,国際的にも負のイメージが付きまとい,現在この地に住むキストの人たちの暮らしにも影響が大きい。そんななか,女性たちが立ち上がり,この地を目的地とした観光産業を活性化しようと祭りを企画・運営する。また,個人としてもポーランド人女性が,かつて戦士であったこの地の男性と組んでヨーロッパからの団体客を呼び寄せる。この地の女性たちはそうした客をホームステイで迎え入れる。
なんとこの作品,監督は1984年生まれの日本人で,竹岡寛俊という。オーストリアやフランス,オランダのスタッフとの共同で作り上げた作品だという。若い人たちによるこうした映画制作に大きな希望を感じる。
https://inorinotani.com/

 

2023年1217日(日)

東中野ポレポレ 『ヤジと民主主義』
またまた息子とともに訪れたポレポレ東中野。この問題は大きな話題にもなったが,20197月の選挙の際,札幌に応援演説に来た安倍元首相に対して,ヤジを飛ばした男性と女性が瞬間的に北海道警察によって排除された。本作はそのことを追ったドキュメンタリーで,テレビ番組から今回劇場版へと発展した。この二人は無関係ではなく,はじめに「安倍やめろ」と声を上げた大杉さんの姿を録画していた女性の知人は,それに続いて「増税反対」と訴えた桃井さんと知り合いだったという。また,桃井さんも大杉さんの行動を踏まえての行動であった(連帯を示すという意味)という。また,大杉さんも,過去の秋葉原での安倍政権反対を訴えていた人たちに連帯するつもりで,この場に向かったが,ことのほか誰も声を上げないので,自分が第一声になっただけという。しかし,多くの記録映像を見ても札幌という土地では,自民党政権への反対の意思を持ってかれらに連帯する人の姿は周囲に見受けられない。しかし,実はそうではなかった。実際には密かにプラカードを掲げようとしていた年配の女性たちがいて,彼女たちのことを本作の取材チームはしっかりと捉えている。なかにはかつて市議会議員をしていたような女性もいた。
この件は裁判で争われていて,映画のなかでは高裁までしかいっていない。観る者に今後のゆくえも中止してほしいと訴えている。
https://yajimin.jp/

 

2023年1224日(日)

府中TOHOシネマズ 『PERFECT DAYS
ヴィム・ヴェンダース監督による日本を舞台にした映画ということで,観に行った。クリスマス・イヴではあったが,年配のお客さんを中心にほぼ満席だった。皆さん役所広司がお好きなのだろうか。私個人としては嫌いではないが,出すぎだと思ってしまう。同じ年代の俳優はもっといるので,本作は外国の監督なので,外国でもよく知られている役所さんを使うというのは理解できるが(なお,役所さんは本作の共同プロデューサーでもあるようだ)。東京都渋谷区の公衆トイレの清掃を請け負う会社の社員として,慎ましいが規則正しい生活を送る一人の高齢男性を捉えた作品。朝,近所の掃除をする箒の音で目覚め,朝食は取らずに缶コーヒーを飲みながら車でトイレに直行する。お昼は決まった神社でコンビニのサンドイッチにパック牛乳。決まって木々の写真をフィルムで撮り,時折苗木を見つけては自宅に持ち帰り育てる。仕事が終わると開いたばかりの銭湯に入り,浅草駅地下の飲み屋で一杯。就寝前に読書を限界までして寝る。その繰り返し。休日の過ごし方もルーティーンがあるが,そこまで書くとネタバレっぽいのでやめておく(ここまででも十分ネタバレか)。
この映画には冒頭から驚かされる。主人公が住むかなり古いアパートはスカイツリーが見え,主人公が乗る車のナンバーに「足立」にあり,頻繁に浅草駅が登場するように,いわゆる下町である。しかし,主人公が車で向かう職場である公衆トイレは渋谷区のトイレなのだ。その奇抜というかデザイン性のあるトイレに驚くのだ。柄本時生演じる仕事仲間が「朝一のシフトは必ずゲロ吐かれているのでやなんっすよね」というセリフを吐くがそうした汚れたトイレは登場しない。外観のキレイさだけでなく,トイレそのものがキレイなのだ。あらかじめ掃除されたトイレを撮影用に掃除している,そんな感じ。確かに映画ということであれば,あらかじめきれいにしたトイレをわざと汚して撮影用にキレイにする,という手法も考えられるが,せっかく掃除するのであれば,実際に使われて汚いトイレを,渋谷区以外のよくある,多くの人が使いたがらない公衆トイレにしてほしい。ヴィム・ヴェンダース作品ということで外国の鑑賞者も多いと思うが,東京のトイレはこんなにきれいなんですよという渋谷区宣伝用映画になってしまってはたまらない。特に,近年の渋谷区は公立公園のジェントリフィケーションを進めていて,野宿者を排除して「儲かる公園」にしようとしている。この映画に登場するデザイン化されたトイレはその一環だと思う。世界の大監督が描くべきはここではない。
https://www.perfectdays-movie.jp/

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【映画日記】『NO選挙,NO LIFE』『ゴースト・ワールド』『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』

2023年1123日(木,祝)

東中野ポレポレ 『NO選挙,NO LIFE
この手のドキュメンタリーは息子と観に行くようになった。YouTubeの「デモクラシータイムス」で池田香代子さんがやっている「選挙男がいく」というコーナーがある。これは選挙男こと,フリージャーナリストの畠山理仁さんと一緒にやっている番組だ。私が真面目に選挙に行くようになったのはここ15年くらいのことだが,ここ数年に至っては最終的に政党に入党するくらいだから,選挙の動向は気になっていた。そうなると必然的に畠山さんの姿を見ることになる(実際にお会いしたことはない)のだが,まさか彼が25年も同じスタイルで選挙の取材をしているとは知らなかった。今回は,こうした政治ものドキュメンタリーの中心的な制作会社であるネツゲンによるもので,前田亜紀さんによる監督作品である。主たる舞台は昨年行われた参議院選挙の東京選挙区。私もこの選挙区の有権者だが,何となくその顔触れは選挙ポスターや選挙公報で見るものの,実際候補者の顔を肉眼で見たのは,近所の高幡不動駅前に街宣にきていた生稲晃子をたまたま見かけたと,立ち寄った立川駅前で街宣をやっていた朝日健太郎,そしてはじめから投票することに決めていた日本共産党の山添 拓さんは,私がまだ入党する前にボランティアとして街宣のお手伝いに行きました。
最近こそ選挙自体に興味を持って,街宣をやっていれば少しは足を止めるようになりましたが,以前はほとんどがポスターと広報,あるいは政党で投票先は決めていた。しかし,畠山さんは選挙というのは候補者本人の姿を見ることができ,肉声を聞くことができる貴重な機会だという。奇しくもこの選挙の際に安倍元首相が演説中に襲撃されなくなるという事件があり,その一報を聞いて,畠山さんはこれからは街宣のなくなるカタログ選挙になり,自分のような全候補者に会いに行くという取材はなくなるのかな,といっていた。
確かに,この映画で出てくる候補者たちは,私も選挙ポスターで知っていた奇異な人たち(なぜこの人たちは立候補するのか,落選して供託金を没収されるのが目に見えている)も個人としてはしっかりとした政治的信念を持った魅力的な人たちだということが分かる。また,今回NHK党が,そうした個人で政党を立ち上げているような候補者と連携し,後援することで,一定の得票数を(2%以上かな)集めると政党助成金が支払われ,それを落選した候補者にある程度分配することで供託金のマイナスを減らすことができるということをやっていたということは,この映画で初めて知った。
畠山さんはこの取材を終えた後,こうしたジャーナリスト人生には終止符を打とうと(毎回やめるといっているらしい)卒業旅行として,一人で沖縄へと出かける。といっても,当然観光旅行ではなく,その後行われた沖縄県知事選挙の取材である。そこでも面白い事実がいろいろあり,その一つが,告示後は候補者名を書いたのぼりなどを立ててはいけないという公職選挙法が沖縄では全く守られていないとのこと。しかし,それには理由があって,詳しいことは忘れてしまいましたが,沖縄県は1972年まで米国の統治下にあったのだが,沖縄県の選挙にはある程度米国方式が引き継がれているのだという。その他,畠山さんのご家族も登場し,非常に寛大な奥様と,男の子二人,家ではできの悪い父親を暖かく包み込む家庭がの姿がありました。
https://nosenkyo.jp/#modal

 

2023年1126日(日)

立川シネマシティ 『ゴースト・ワールド』
2001
年の作品。確か,恵比寿のガーデンシネマで上映していたと思うが,どういうわけか観なかった。当時,ガーデンシネマは作品によってはすごい人気で,事前予約などなかった時代,観客は直接映画館に行って並ばなければならなかった。ガーデンシネマは当時でいえばミニシアターで,立ち見はなかった。そもそも,映画館で立ち見なんてことは今日ではありえないが,当時はあったのだ。ミニシアターというくらいで席数は限られていたので,映画館まで行っても見られないということもあった。そんなことで敬遠したのか,よく分からないが,自分としても観るべき作品と分かっていたのに見逃してしまった。主演のソーラ・バーチは当時アカデミー作品賞を受賞した『アメリカン・ビューティ』で注目を浴びていたし,スカーレット・ヨハンソンは今では誰もが知る大女優。おそらく,日本で公開された映画としては初めて出演したものではないだろうか(調べるとそうでもなさそうだ)。映画館で本作の予告編を観ただけでその美貌にうっとりしたものだが(当時15歳),あれよあれよという間に人気女優になって,本作を観逃したことを後悔したものだ。
その後も,レンタルビデオや配信などでも観ようとはせず,映画館で上映されることを心待ちにしていたのだが,なんと22年の時を経て,それが現実となったのだ。なんとかこの機会を逃したくなかったので,息子をかなり強引に連れて観に行った。少し予想はしたものの中学生に見せるにはちょっときわどいシーンもあったが,息子もそこそこ気に入った様子。こういうとりとめもない映画は初めてで新鮮だった様子。私も観ていないのだから,息子に勧める理由もなかったのだが,まあ期待した通りの展開で大満足。2000年代に入った作品ではあるが,こういう手作り感満載の映画,今でも作ってほしい。ともかく,携帯電話がなく,家の固定電話が大活躍する映画って安心します。
https://senlisfilms.jp/ghostworld/

 

2023年122日(土)

府中TOHOシネマズ 『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』
こちらは娘と観に行ったアニメ作品。このシリーズは何となく知っていましたが,前作の劇場版を娘となんの前情報もなく観に行った。前作の最後に本作の予告もあったが,娘はその時点で見たいといっていた。その後,娘はNetflixでアニメシリーズを観られるだけ観て臨んだ。本シリーズのタイトルの意味を調べたことはないし,前作ではこのシリーズの肝となる「思春期症候群」については言葉しか出てこなかった。本作では,主人公の咲太がその思春期症候群を発祥する設定となっている。おへその辺りに傷跡ができ,そのうち誰からも見えなく,聞こえなくなるという現象。恋人である俳優の麻衣さんになんとか気づいてもらって解決にたどり着くまでが本作。前作では,咲太の妹のかえでの葛藤を描いたが,本作ではなぜかえでがそういう状態に陥ったのか,そして咲太とかえでの両親がなぜ別居しているのか,その辺りがなんとなく明らかにされていく(といっても,シリーズとしては既にその辺りが描かれているのかもしれないが)。ともかく,よく練られた脚本で,まあそういうファンタジックな部分には現実との矛盾を感じる部分もないわけではないが,十分に楽しめる内容。今回も次なる予告が告知されましたが,その【大学生編】は劇場版ではなく,テレビアニメ版だとのこと。
https://ao-buta.com/knapsack/

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【映画日記】『映画すみっコぐらし』『正欲』『ぼくは君たちを憎まないことにした』

2023年1112日(日)

府中TOHOシネマズ 『映画すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』
映画版のすみっコぐらしは,子ども二人といつも観に行っている。毎年ではなく,忘れた頃にやってくるところが面白い。主題歌のセンスや,ストーリーが微妙に幼い子どもに寄り添っていないところが大人としての私も面白いと思う。上の男の子はもう中学一年生だが,そういう意味でも彼が観ることを選んだ理由は分かる。前作までは,うちの近所ではイオンシネマ系でしか上映していなかったが,本作はTOHOシネマズの上映となり,最寄りの映画館で観ることになった。今回も思わぬ展開で,途中からほのぼのとした雰囲気が一転した。結局,ハッピーエンドだったのかどうかもよく分からない。映画館にはやはり幼い子どもを連れた家族が多かったが,小学生高学年くらいにも観てほしい作品だ。なお,今回の主題歌はパフュームなり。
https://sumikkogurashi-movie.com/

 

2023年1118日(土)

立川立飛TOHOシネマズ 『正欲』
わが家の書棚にはパートナーが購入した朝井リョウの原作単行本がある。本人に聞いたらまだ読んでいないということだが,映画化されたということで息子と観に行った。個人的には笑わない新垣結衣と共演の磯村勇斗が最近スクリーンで観ることの多い俳優ということで,観たいと思った。朝井リョウ原作の映画も『霧島部活やめるってよ』と『何者』を観ており,原作を読んだことはないが,斬新な作風としては一定の魅力を感じている。とはいえ,本来は原作を読むべきで,映画に対していろいろコメントするが,それは原作に向けられるべきなのか,映画化に際する脚色に向けられるべきものかは判断できない。ということで,今回もネタバレなので,注意してください。
本作で生きづらさを抱える登場人物たちは一言でいえば「水フェチ」で,いわゆる恋愛関係と性的欲望というものへの関心を得られず,水(の躍動的な動き)への執着という他人と共有できない感情を押し殺しながら生きていて,ようやくその感情を共有できる人と出会い,また常識的な人間によって引き離されるという物語。私はそういう意味では常識的な人間の側にいるので,ここでの登場人物の感情に寄り添える自信はないとはじめに断っておく。本作がどの辺りの時代を設定しているのかは分からない。映画では確かスマートフォンは完全に普及した形で登場するので,10年以上前には遡れないが,性的志向に関する日本社会の雰囲気はこの10年でかなり変化しているので,何とも言えない。また,映画で描かれるのは広島を舞台としていて一定の地方的な雰囲気を出していて,性的志向に関しては地域差(特に都会と田舎)もあるので,その時代・舞台設定はうまいこと考えられているようにも思う。この特殊な性的志向の人の生きづらさをこれだけの俳優を使って映画にしたということは喜ばしいことだが,もう少し丁寧に描いてほしいとも思う。社交の部分は描かれているが,もっと物質的なというか,些細な日常での困りごとを重なって,死を考えるまでに至るのではないかと思う。また,宇宙でひとりぼっちと感じると悩む登場人物たちの割には,同じ中学校の同じクラスですでに出会っていたとか,同じ志向を持つ人たちが何らかの形で結びついているとか,ちょっと無理があると思う。まあ,その無理を少ない登場人物で描くのが映画やドラマの世界(メロドラマ的スモール・ワールドと呼びたい)なのかもしれないが。このように,物語設定に文句ばかり言っていると,上映時間の限られている映画ではいろんなところを単純化しがちであり,原作小説ではもっと丁寧に詳細に描かれているのかもしれないと思ったりもするので,やはり原作を読まなくてはと思う次第。
https://www.bitters.co.jp/seiyoku/

 

2023年1122日(水)

立川キノシネマ 『ぼくは君たちを憎まないことにした』
現在,イスラエルによるガザ地区への軍事攻撃が続く中,本作に何かしらの希望を持って期待して観た。しかし,ある意味でその期待は裏切られ,より厳しい現実を突き付けられることになったと思う。本作を私はこの人間性の存在を疑わざるを得ない現代世界において,いくばくかの希望を描くフィクションだと思っていた。しかし,観終わった後,本作は事実の基づくものだとの確信を持った。実際にウェブサイトを読んでみると,実際にパリで起こったテロ事件で妻を亡くしたジャーナリストが自身について書いた原作があるのだという。映画ではジャーナリストかどうかは明確ではなく,売れない小説家という印象も受ける。イスラーム過激派によるライブ会場への無差別攻撃によって妻を失った主人公は,2歳にもならない息子を抱えて,犯人を憎むよりも子どもとともに未来を向いて幸せに生きていきたい,との文章をウェブで発信したところ,大きな反響を呼び,さまざまな公の場に出ることになり,一躍有名人となる。しかし,息子と二人の生活はうまくいかないことも多い。悲しみに打ちひしがれてアルコール摂取が多くなり,息子を放置する場面も多くなる。最終的にはそれでも妻の家族の助けも借りながら,息子と前を向いて生きていくしかない,そんな映画。
その描写は非常にリアルで,そして主人公もテロの犯人に復讐するような行為には出ないという意味では,タイトルは正確である。こういう事件の被害者家族の一つのあり方をリアルに描いているのは間違いないが,どうしたらそういう状況から抜け出し,テロを封じ込めるのではなくテロを起こさないような社会にしてくのか,その方向性のヒントだけでも知りたかったが,残念ながらリアルに徹した本作ではそのような大きな希望は語られなかった。先進国での,また国際社会でのイスラームの扱いがこれでいいのか,何か先進国ができることはないのか,そういう視点も少しは欲しかったと思う。
https://nikumanai.com/

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【映画日記】『ザ・キラー』『こいびとのみつけかた』『火の鳥:エデンの花』

2023年111日(水)

吉祥寺アップリンク 『ザ・キラー』
ついに禁断の予定を決行してしまった。今期,水曜日は10:30に国分寺の大学での授業を終え,14:40からの品川の大学での授業まで,移動と食事の時間を差し引いても2時間以上の空き時間があるため,その途中で映画を観るという予定だ。この日は映画サービスデーだったこともあり決行してみた(実のところは水曜日はサービスデーとしている映画館も多い)。
実際,予定としては十分に可能で,そのキツキツのタイムスケジュールで選択されたのがこの作品。観終わってblogを書こうとした時点で知ったが,本作はデヴィッド・フィンチャー監督作品とのこと。日本でも『スパイ×ファミリー』や『サカモトデイズ』,『幼稚園ウォーズ』など,暗殺・殺戮をモチーフとしたギャグ漫画が多いが,本作もなんとなくコメディテイストを感じた。全編を通してギャグ的表現はほとんどないのだが,冒頭から,主人公がいかに完璧な暗殺者なのかの能書きを立てているのに,初っ端から仕事に失敗するのだ。そして,その後はその失敗によって依頼者から命を狙われ,自宅を襲われて恋人が負傷する。それに対する報復をするわけだが,それもスマートではない。最後にはティルダ・スウェントンまで出てきてしまう。まあ,面白いけどね。とはいえ,こういう殺戮のエンタメ化はどうにも賛同できない。
https://www.netflix.com/jp/title/80234448

 

2023年115日(日)

立川キノシネマ 『こいびとのみつけかた』
私の住む日野市の広報に乗っていた作品。日野市はフィルムコミッションに熱心なようで,この手の記事がよく広報に載る。それを意識してこの作品を選んだわけではないのだが,この日は二本立てということで,時間と場所で選んだ。ちぎり絵風のチラシを見て,なんとなくミシェル・ゴンドリー監督作品『恋愛睡眠のススメ』を思い出した。作品の雰囲気はやはり何となくミシェル・ゴンドリーの影響を感じる。主演の倉 悠貴は『OUT』でも主演しているようだが,本作が初主演とのこと。相手役の芋生 悠はこの役どころに外見がフィットしない印象だったが,徐々に作品中の人となりが観る者に明らかにされていくにつれてフィットしてくるという不思議な雰囲気を持つ俳優さんかもしれない。ちょっと不可解な展開と至極まっとうな展開とが入り混じったなんとも言えない魅力を持つ作品。
http://koimitsu.com/

 

調布シアタス 『火の鳥:エデンの花』
午後に調布に移動して息子と合流。この日は娘の誕生日パーティーを友だちを読んで自宅で行っていたので,父息子で映画を観る。選んだのは,言わずと知れた手塚治虫の代表作。今更ながら映画化される。本作は,荒廃した地球を抜け出し,夫婦で誰も住まない星に移り住むという話。一組の夫婦でというのは無理のある話だと思うがまあ,漫画だからいいか。二人には一人の男の子ができるが,いろいろあって長い間この子一人で過ごさなければならなくなる。全くの無人星だったら,そこで命は途絶えてしまうのだが,火の鳥とともに(?)宇宙空間で繁殖する種族によってこの星に文明ができるという展開。手塚治虫ならではの,人間の悪の側面と善の側面,そして悪の側面は多くの場合権力に結びついているということを描いている。こういう宇宙スケールの作品は最近の日本のアニメでは少ないように思うが,現代でも十分に通用する内容のように思う。結局『君たちはどう生きるか』は観ていないが,宮崎 駿よりも多くの人に観てもらいたいと思う。そもそも,手塚治虫は私の世代でも同時代的ではないが,もう名前さえも知らない世代も多いと思うので,もう少し宣伝してこの偉大な漫画作家でありアニメーターの再評価につながればと思うが,私自身もこの映画の上映についての情報を知らなかったので,なかなか難しいのかもしれない。
https://happinet-phantom.com/hinotori-eden/

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【映画日記】『アンダーカレント』『唄う六人の女』『アイドルマスターシャイニーカラーズ第1章』

2023年109日(月)

吉祥寺アップリンク 『アンダーカレント』
この日の予定は不確定要素が大きく,『福田村事件』を観るつもりだったが,事前の予約はしなかった。映画館に到着してみると,すでに完売していて,こちらの作品を観ることにした。
真木よう子の出演映画は久し振りに観る。原作は漫画だということだが,こじんまりとした物語の完結性がなかなかよい。リリー・フランキーや江口のりこの存在感が全編を通してとてもいい雰囲気を醸し出している。ちなみに,井浦 新と永山瑛太は『福田村事件』でも共演している。本作は二人の人間の関わり合いをそこそこ深く考えさせる仕組みになっている。真木演じる女性と夫婦であった時期の永山演じる男性は言葉少なな好青年だが,再開した時に嘘ばかりを重ねて生きてきたと告白する男性を演じる永山の演技が非常に印象的だった。瑛太という俳優をそこそこ知る私にとってはやはり断片的に映る夫としての彼の姿より,無精ひげを生やした嘘を嘘という正直な彼の姿に安堵する。新もやはり自分の素性を偽りながら主人公の女性に近づき,彼女の家に住み込みで働く。最終的に自分の素性を彼女に明かす場面は描かれていないが,何も語らずに去ろうとする彼に,銭湯の常連さんが語り掛けることで,行動を変更し,彼女との生活に戻っていく。銭湯を中心とした作品ということもあるが,良い意味で日本的な映画だと思った。
https://undercurrent-movie.com/

 

2023年1028日(土)

調布シアタス 『唄う六人の女』
予告編では,タイトルでは六人の女がメインなのだが,演技としては竹野内豊と山田孝之という二人が中心になっていて,どういうことかなと思いつつ,そして予告編ではコメディタッチだと思いつつ,この日の行動上時間と場所との関係で観ることにした。
それが,意外に奥が深く,あまり論じるとネタバレになってしまうが,少しネタバレになります。竹野内演じる男性は幼い頃に別れた父親の死の知らせを受け,父親が死ぬまで住んでいた,主人公が幼い頃に過ごした山奥の一軒家を訪ねる。母に連れられて離婚した後は父親に会うこともなかったため,その地所を売却する契約をした後,売却先の会社の社員の車で駅まで送ってもらう道で事故に遭い,不思議な世界に迷い込む。そこには言葉を語らない女性6人がいて,逃げようにも逃げられない毎日を過ごす。その生活を通じて主人公は父親との思い出,そして父親が遺してきたものから,その想いを発見する。これらの女性たちはこの山に住む動物たちで,彼女たちのメッセージを受け取ろうとする竹野内と,あくまでもそれに抗い逃れようとする山田。自然環境の保全と開発・支配という人間の二側面を男たちに割りあてようとする物語。しかし,どちらにしても決定権は男性が握っているという,そのあり方はこの映画のジェンダー表現の問題ではなく,あくまでも現実社会の反映だといえるかもしれない。
https://www.six-singing-women.jp/

 

2023年1029日(日)

府中TOHOシネマズ 『アイドルマスターシャイニーカラーズ第1章』
娘は最近忙しく,10月に映画を観るのは今回が最初で最後かもしれない。そんな娘は,やっぱり一か月に一回くらい映画館で映画を観なきゃ,といっている。私が一か月に一本映画を観るようになったのは大学院に入るくらいになってからかな,と思う。ともかく,観る作品もないという実情もあるが,本作を見つけ,観ることにした。どうやらこの作品はゲームと連動しているようで,今回上映されるのはテレビアニメ的な長さのものが4本くらい連続でつなげられたもの。特別料金で前売り券はないようだし,クーポンなども使えず,子どもでも通常料金。
まあ,タイトル通りアイドル映画だが,アイカツのような学園ものではない。町の一角に小さな事務所があるプロダクションが35人組の女性アイドルグループをこつこつと育てる感じの作品。プロデューサーなる人物も出てくるので,より業界内部の話を盛り込むものかと思いきや,今のところはアイカツとそれほど変わらない(とはいえ,非現実的な描写はあまりない)。今回は第1章ということで,継続的に上映されるようです。料金も料金なので,娘が継続して観たがるかはちょっと気になるところ。
https://shinycolors-anime.idolmaster-official.jp/

 

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