映画・テレビ

思いがけず舞台挨拶

12月13日(土)

渋谷イメージフォーラム 『うん,何?
予告編を観た時から、観に行きたいとは思っていたが、ようやく都合がついたのは公開が始まって3週間経ってからだった。上映時間ギリギリに映画館に到着すると、なにやらごった返している。客席もかなり埋まっていて、何かなあと思ったら、マスコミの人たちが通路に立っています。どうやら舞台挨拶があるようですね。得した気分で席に着くと、意外にも豪華なゲストたちです。もちろん、監督の錦織良成さんはもちろんのこと、宮崎美子さん、中村麻美さん、黄川田将也さん、そして甲本雅裕さんというメンバーでした。予告編の記憶では高校生の男女のィ語で、しかも、有名俳優は出てこない印象だったのに、すごく得した気分。
主演の男子高校生役を演じるのは橋爪 遼というが、宮崎美子さんが「お父さんにそっくりで」っていっていたので、恐らく橋爪 功が父親だと思う。実年齢はすでに22歳だが、まあ良しとしましょう。相手役の女子高生を演じるのは柳沢ななという女の子で、こちらも実年齢は21歳。でも、彼女は『やさしい旋律』という作品でも主役を演じている。宮崎美子さんは橋爪君の母親役。病院でのシーンしかありません。中村麻美さんはななちゃんのお兄さんのお嫁さん役。妊婦さん役です。黄川田君は高校の先輩役。ななちゃんは水泳部員という設定だが、水泳部のOBで、オリンピック候補という設定。甲本さんはこの日のゲストの中では一番出演時間が長く、主人公2人の担任役だ。
さて、舞台は鳥取県の雲南市。タイトルはこの地名にかけている。この作品には「やまたのおろち伝説」という副題がついていて、この地方で重要な遺跡が発掘されたということで、日本史の教師である甲本さん演じる教師はやまたのおろちはこの地に実在したと信じ、郷土愛にあふれてそれを生徒たちにも伝えようとしている。そんななか、幼なじみの主人公2人、鉄郎と多賀子は好き合っていながらもお互いに想いを伝えられず、鉄郎は何となく卒業後故郷を離れたがっていて、多賀子の方は郷土愛から(自宅は地酒の酒蔵である)地元に残ることを希望してい驕Bまあ、高校生が主役なので、2人以外にもいろいろ面白いエピソードがあり、飽きることのないほのぼのした作品だ。といっても、『ミラクルバナナ』もこの監督の作品であり、やはり同様にエンタテイメント性は豊かである。逆にいうと、島根県の地方色を捉えるにしてはキャストが豪華すぎるかもしれない。もう少し地元の人の出演を多くした方が良かったような気もしないでもない。でも、エンタテイメント性と地方色の強いドキュメンタリー性というのは二律背反的な側面もあるので、まあ難しいといえば難しい。ちなみに、私はこの柳沢ななという女性がけっこう気に入った。外見からすると好みって訳でもないのだが、橋爪君が陸上部の設定の割には走り方がイマイチだったのに対し、ななちゃんは水泳部員という設定のためにかなり肌を焼いていてまさに健康的なイメージ。もちろん、泳ぎもなかなかで、演技もナカナカいい。『やさしい旋律』はまた違った印象ですが、楽しみにしたい。それから、舞台挨拶に登場した中村麻美さんはスクリーンの印象と違って、とてもしっかりとした顔立ちをしていて、大きな手をしていた。『せかいのおわり』という彼女が主演した映画があったが、そこでも彼女はとてもほんわかした印象だったが実際には無理に笑顔を作らない、シャープな印象だった。それに対して甲本さんはスクリーンのままの印象。
そして、この作品は愛媛県在住のシンガー、浜田真理子さんが音楽を担当している。彼女自身が歌っている曲も、一曲挿入歌として、そしてエンディングに流れるテーマ曲も彼女の歌だ。これがまさにとてもいい感じの地方色を醸し出していて、優しい歌声がとてもすてきだ。

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未来を写した子どもたち

12月11日(木)

銀座シネスイッチ 『未来を写した子どもたち
インドの売春街に住む子どもたちを救おうと、一人の女性写真家が子どもたちのための写真教室を始める。そのことを追ったドキュメンタリー映画。数年前のアカデミー賞ドキュメンタリー部門で受賞したそうです。この写真家はそもそも、子どもたちの救済のためにインドに来た訳ではなく、売春街に住む人々を撮影するために住み着いたようだ。この社会では、売春婦たちの夫やひもといった男たちは大抵、酒やドラックにおぼれた体たらくだ。そんな社会に生れ落ちた子どもたちは男だろうが、女だろうが厳しい環境に立たされる。学校もろくに行けず、周囲からは差別の目、家庭内暴力、重労働も当たり前。そんななかでも健気に生きる子どもたちの将来のことを考えたくなるのもよく分かる。
実際、彼女は自分にできることとして、まずは厳しい日常のなかに楽しみを見出す術として、子どもたちにカメラを与え、写真術を教える。それだけでも十分だ。しかし、かれらの活動範囲のなかで撮影された写真たちはそれだけでもドキュメンタリー的価値を持っている。その写真を使って、世界の人たちにかれらの立たされた状況を訴えるのだ。なかには、世界的に幼い写真家を育てようとする団体の主催者の目に、一人の少年の作品が留まり、オランダで開催される集会に招待される。貧民窟の子どもということではなく、インド代表としてだ。それと平行して、この女性写真家は、これらの子どもたちを寄宿制の学校に入学させようと骨を折る。しかし、オランダに行くためのパスポートや、入学に必要な書類や、なにもかもが取得するまでに多大な努力を必要とする。
そうした努力のほとんどがなんとかうまくいくのだが、結局は子ども自身や親の都合で、彼女の思い通りの未来を手に入れようとする子どもは数人にとどまり、多くの子どもは挫折してしまい、もとの生活に戻っている。まあ、それが現実なのだろうか。

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今年192本目の映画

12月2日(火)

新宿シネマスクエアとうきゅう 『秋深き
八嶋智人主演のラヴストーリー。昭和の文豪、織田作之助原作ってのを売りにしていて、チラシの写真が古風な和服での結婚写真のため、時代設定が古いかと思いきや、舞台は現代に変更しています。お相手は佐藤江梨子。『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』で主演した彼女ですが、本作ではその時よりも数倍いい演技を見せています。しかも、舞台が大阪で2人は関西弁でしゃべっている。まあ、私は標準語しか知らないけど、2人の関西弁はさほど違和感はない。八嶋演じる男は仏壇屋の息子でしがない高校理科教師をしている。きっかけは分からないが、キャバレーで佐藤江梨子演じるホステスに惚れてしまい、毎晩通う。そのうち、彼女の仕事上がりをストーキングするようになってしまい、いきなりお揃いの位牌を持ってプロポーズする。いろんなことに嫌になっていた彼女はこの風変わりな男性に一生を捧げることにする。
なんと、この奥手の主人公は、これが初恋。そのお相手が男関係ではいろいろあるホステスだとくれば、大変です。もちろん、2人でいる時は仲良くしているのだが、何かあるとすぐにその愛を疑ってしまう主人公。まあ、仕方がありませんが、その嫉妬心の矛先がとても正しいとは思えず、イライラします。でも、だからこそフィクションとしてオリジナリティのある物語になっているんですけどね。2人にとっては男が女の愛を信じて、いつもそばに居てあげることが重要なんだけど、あえてそうしないことで、鑑賞者にはそうしてほしいという願いが伝わるのかもしれません。主人公はある理由で競馬場に行くシーンがあるのですが、そこで出会う男性を演じるのが佐藤浩市。彼はJRAのCMにも出演しているので、適役すぎて笑っちゃうほどです。でも、さすが存在感ありますね。

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あなたはPちゃんを食べますか?

11月11日(火)

新宿武蔵野館 『ブタがいた教室
最近、恋人と2人揃って映画を観られる機会が少なくて、その割りに一緒に観たい映画が多く、平日に観ることにした。けっこう宣伝もしているようだし、インパクトもあるので知っている人も多いだろう。この作品は『パコダテ人』の前田 哲監督。『パコダテ人』とは私の好きな今井雅子さんの脚本による劇場公開長編映画第一弾。かつ宮﨑あおいちゃん初主演映画だったのだ。まあ、そんなことはよい。
本作は実話に基づくもので、妻夫木 聡が新任教師役。いきなり6年生の担任となり、初めての授業で子豚を連れてくる。これを1年間かって大きくして、最後には皆で食べよう、という。それは命の大切さ、そして人間はその命を食糧に換えて生きているということの実感を得てもらおうというものだ。事実に基づくとはいえ、かなり脚色されていると思う。そして、脚色どころか、26人の学童がこの豚を卒業後どうするかの話し合いのシーンではあらかじめ与えられた台詞はなく、演じる子どもたち自身の言葉に委ねられたという。よくある学園者と同様に、この企画を教頭先生は反対し、校長先生が擁護する。そして、子豚を育てるのに積極的な学童に対して無理解な母親たちを校長がなだめ、最終的な決定権を持つという構図。
確かに、子どもたちは実際に撮影をしながら何頭もの豚たち(おそらく撮影には大小何頭かが使われている)を飼育し、接していたと思うので、かれらの言葉にはリアリティがある。しかし、逆にそれがフィクションとしてのこの作品にとっては深みを犠牲にしているようにも思った。おそらく、選択肢はもっとたくさんあったと思うし、単なる子どもだけの力ではなく、もっとそれぞれの家族の協力があってもよかったように思う。まあ、この作品に関してはネタバレは禁物だと思うのでこれ以上書かないが、ちょっと不満の残る作品。
でも、この映画のテーマはひとつの答えを出すことではなく、観客もその答えについて考えることだから、あえて突っ込みどころを残しておく、本作の作りはそれはそれで意義があると思う。

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久し振り映画ハシゴ

11月8日(土)

講義を終えて下北沢へ。ここ最近は金曜日のライヴが多く、土曜日に早起きするのは辛い。ということで、中央線、井の頭線とともに座れたので熟睡。下北沢で恋人と待ち合わせて映画。久し振りに映画のハシゴ。

下北沢トリウッド 『梅田優子の告白
この映画は恋人が通う専門学校の映画専攻の女子学生が監督したもの。ということで、若干20歳です。トリウッドがそんなプロジェクトをやっているらしい。監督と同世代の女性を主人公にした、ある意味で自叙伝的な作品か。といっても、監督個人のではなく、複数の友人知人の体験談を元に、こんなことあるよねえ、こんな人いるよねえ、そんな感じ。もちろん、主人公は梅田優子。19歳の彼女は昼間は牛丼屋で、夜はセクシーキャバクラで働く毎日。ラヴホテルで男とエッチしてはその男の特徴を手帳に記録するというのが趣味(以前にもこんなのあったな)。だから、基本的に特定の人との恋愛というのをきちんと経験していない彼女が牛丼屋の常連のおじさんに心ときめく。たまたま、セクキャバの仲間とよく行くバーにそのおじさんが常連で通っているという偶然から、恋心は加速する、そんな展開。
私の恋人と同じ専攻の友達が冒頭のラヴホテルのシーンで全裸で出演しているところでまず笑い、けっこうこまかな笑いどころがあり、50分という短い上映時間ですが、それなりに楽しませてくれます。まあ、逆にこれ以上長いと辛いですが。以前にも、ここトリウッドで十代の監督作品を1,2本観たことがあるが、それに比べると確かに専門学校で映画について学んだだけはあって、よくまとまっている。でも、逆にいえばこちらが予想もつかないような展開がなかったような気もする。やはりその辺の斬新さというか、ものを知らない人の強みというか、そういうのがでればもっと良かったかなあと思う。もちろん、20歳にしてはできすぎですよ。

下北沢でmona records近くのベトナム料理店に初めて入る。2人でフォーを食べるが、まあまあ美味しいです。食後、渋谷に移動。といっても、前売り券を既に買っていたので、神泉駅で下車して円山町の映画館へ。

渋谷シアターTSUTAYA 『恋愛上手になるために
グウィネス・パルトロウにペネロペ・クルス出演作品。一昔前だったらもっと宣伝に力を入れて全国ロードショーするような面子ですが、なぜか東京ではここのみの単館上映。エンドロールでもうひとつ驚いたのは、なんとこの作品、2005年のものです。そして、観終わった後に、この邦題がいかにも不相応で軽薄だと感じる。これは私の勝手な想像ですが、日本の配給会社の人がこの作品にほれ込んで日本での上映を企画したものの「The Good Night」といういかにもありふれた原題、しかも内容はけっこう複雑で、またキャストだけで売るにはちょっと時期遅れで、なかなか公開してくれる映画館が見つからなかったのではないでしょうか。結局、もっと軽い恋愛ものを予想させるような邦題に落ち着いたものの、ようやく上映してくれる映画館は一つ(といっても、一応日本全国で上映されます)。しかし、この作品あなどれません。私もセクシーなペネロペちゃんが観られるというけっこう気軽な気持ちで観に来たものの、観た後にどっと疲れる、内容の濃い作品でした。近年のアメリカ映画ではかなり映画らしい作品だといえるでしょう。私的にはとても好きな作品の一つとなりました。なんと、監督はグウィネスの弟ジェイク・パルトロウ。
ネタバレありでいきますよ。予告編では、同棲生活の長い男女が倦怠期を迎えており、そんな時にペネロペ扮するセクシー女性が男の下に現れ、どちらを選択するか迷いながら男が成長していくという物語を予想させる。しかし、ペネロペ扮する女性が登場するのはマーティン・フリーマン扮する主人公の夢の中。ちなみに、マーティン・フリーマンは『レンブラントの夜警』でレンブラントを演じた人物。主人公が実際に浮気をするわけではなく、あくまでも夢の中なのだ。しかし、彼はどんどんその夢に溺れていく。夢をコントロールできるという本を読んだり、セミナーに通ったりする。このセミナーの先生を演じるダニー・デビートがまた渋いのだ。しかも、主人公が困り果てて、この先生の自宅を訪れるシーンがまた衝撃的。夢の中で浮気といっても、ここまでエスカレートすると、本当の浮気ではないとは言い逃れできない。そして、その夢で見た女性が実際に現れるのだ。その夢と現実のギャップの描き方もなんともたまりません。こうして思い出すと大して斬新な脚本ではないのですが、一つ一つのエピソードが形式ばった展開にすればエンタテイメント性に富んだ作品になりそうなのに、あえてそうではなくリアルな現実に引き戻す辺りがこの作品の魅力。
とにかく、一度観ただけではうまく説明できませんが、巷に溢れているありきたりの映画ではイマイチ消化不良だという映画好きには勧めたい作品。

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七夜待

11月6日(木)

渋谷シネマライズ 『七夜待
河瀬直美監督最新作。国際映画祭で2度栄冠に輝いた彼女。知っている人も多いと思うが、ドキュメンタリーフィルムから始まって、彼女の作品は彼女の生まれ故郷、奈良県にずーっと関わってきたけど、本作は初めてそこから離れて、それどころか日本から離れて帯を舞台にした作品。しかも、主演が長谷川京子。これまでは出演者に奈良県で生まれ育った素人を出演することも多く、もちろん奈良県とは縁のない俳優さんも出演してきましたが、著名度よりは演技というか、その場に溶け込むかどうか、そんな渋い俳優さんの出演が多かったように思う。しかし、今回はバリバリの人気女優。しかも、演技的にどうかは不明。
ということもあって、これまでの短館上映とも違って、観る前にいろいろ情報が入ってきた。基本的に日本人俳優は長谷川京子のみなのだが、毎日の撮影は台詞は決められず、大体の行動を示した指示書を渡されるだけ、というもの。まあ、彼女の作品はストーリーがあってないようなものですが、基本的なストーリーは、タイ語も大してできない30歳女性が一人でタイ旅行に来て、予定していたホテルに行けず、たまたまたどり着いた場所で毎日マッサージされつつ癒される7日間、というもの。もうひとつ、事前に仕入れてしまった嫌な情報があった。それは公開前の試写会での監督と長谷川京子とのトークがネットニュースとして流されたものだ。いわく、長谷川京子は終始タンクトップ姿だが、この撮影はノーブラだったというものだ。この情報はよくなかった。上映が始まるや否や、男性観客の目はそこにばかりいってしまう。確かにノーブラだが、明らかにニプレスをつけています。それに幻滅しながらも、形のよい乳房は常に気にかかってしまう。
そんなところに目がいっていると、腰につけたマイクの機材。そして時にはタンクトップの下に隠れた小型マイクまで気になってしまう。後半に薄い白いズボンで沼地を歩くシーンではTバックの下着が気になるし、なんだか大したストーリーがあるわけでもないので、そんなところに気をとられる映画でした。しかも、結局長谷川京子はタイ語もできない、英語すら大してできない。7日間を過ごす家にはゲイのフランス人男性がいて、男の子のいる女主人となぜかずーっと居座っているタクシー運転手の男性はもちろんタイ人。そんななかで、言葉が通じずもどかしい長谷川京子。もちろん、観客である私たちも長谷川京子が思わず叫んでしまうように「タイ語もフランス語も分かんないの!」だが、私たちには日本語字幕がある。そんな感じで、一人いじめられている長谷川京子の姿を監督と共犯になって楽しむ観客たち。果たして、作品のなかの彩子がこの旅で学んだことと、長谷川京子がこの撮影で学んだことの区別はつくのだろうか。このフランス人もゲイなのに妙に女性に対していやらしい感じでいやですねえ。女主人も、はじめは優しい人でしたが、徐々に本性を現します。唯一の救いはその子ども。
まあ、そんな感じで、観る人によって捉え方が違うし、そもそもがネガティヴなところは河瀬さんらしい作品だが、まあどうにもこうにもってのが正直な感想です。とにかく、毎回制作費の工面に苦労している監督ですから、今回のもので多少なりとも次回作の資金になればと願うのみ。しかし、木曜日の昼間の回ということもありますが、お客さんは10人足らずでした。
ところで、このタイトル。彼女は何を待っていたのだろうか...

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うれしい再映

9月12日(水)

改めて書きますが,私は現在個人契約でとある会社で勤務している。しかし,一方で大学の非常勤講師もやっているので,会社は週4日勤務。木曜日は現在大学が夏季休暇中につき,単なる休日になっています。なので,金曜日に会社を休みにすれば4連休。しかも,17日は祝日なので,5連休になるということで,金曜日を休みにしました。といっても,私は8月中は一度木曜日も半日出勤した上に,休みは取れかなった。社員の皆さんは夏休みだというのに。ということで,5連休の前日にレイトショーを観に行きました。ロードショー公開に時に見逃して非常に公開した作品がちょうどやっていたので,下高井戸まで。

下高井戸シネマ 『サマリア
痛みを描かせたら随一の映画監督キム・ギドク作品。『春夏秋冬そして春』からは,『うつせみ』『弓』『絶対の愛』と続けて観ていますが,『絶対の愛』がイマイチだったので,『サマリア』に期待。私の観る順序が逆だが,『弓』でおじいさんと船上生活をする少女を演じたハン・ヨルムの初出演作。もう過去の作品なのでネタバレでいきます。
ヨルム演じるチェヨンは親友のヨジン(クァク・チミン演じる。一見ではヨルムちゃんの可愛さに眼が奪われますが,実はクァクちゃんのこれまた可愛いこと)とヨーロッパ旅行に行くために,売春をしてお金をためている。ヨジンはいつも見張り役。ふと目を離した隙に警官が2名,ホテルにやってくる。チェヨンはホテルの窓から飛び降りて命を落としてしまう。
親友を失い,自分の責任を感じたヨジンは,その不要になったお金を返す計画を立てる。これまでチェヨンが寝てきた男性を呼び出し,ベッドを共にする。そして,チェヨンが受け取ったお金を当人に返すのだ。このシーンがとても良い。チェヨンが売春している時,ヨジンはそのキレイな身体が欲望に眼がくらんだ男たちに汚されることをとても嫌がっていたのだが(ことを終えた後で2人で銭湯に行くシーンが何度かありますが,ここが美しい),自分がそうした男たちとセックスする時,けっして悪い気分はしていないようにみえる。この辺の心情は本当は複雑で容易には想像できないが,ヴァージンの頃のヨジンには汚れた行為にしか思えなかった見ず知らずの男との性行為が,決してそれだけのものではないということが自分の体験から分かったのだろうか。もちろん,チェヨンの性行為の現場をヨジンが見ていたわけではないので,偏見でしか知ることのできないチェヨンの心情を知ることができたヨジンは幸せだったのかもしれない。ともかく,この男たちの幸せそうな表情がこの作品の最大の見所かもしれない。
しかし,中盤でその雰囲気は一転する。ヨジンの父親は刑事なのだが,たまたま殺人事件で訪れたホテルの向かいのホテルの部屋で男に抱かれるヨジンを見てしまうのだ。ここららは,父親によるその男たちへの復讐物語になってしまいます。かなり観ていて辛いです。最終的に観たくないシーンへと観客を導きながら,最終的にはそれが良い方向に裏切られるという結末。
なかなか素的な作品です。

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レイトショー

9月5日(水)

渋谷ユーロスペース 『たとえ世界が終わっても
台風が近づいているというのに,仕事を終えて家で軽い夕食を済ませて渋谷に出かける。
こちらはまさにレイトショー的な作品。レイトショーのみ上映の作品には2種類あって,出演者や監督がそれなりに知られていても,内容がいやらしかったり,奇異であったり,ダークであったりするもの。そして,もう一方は,ストリー的には全国ロードショーものと見劣りしないのだが,監督や出演者にまだまだ知名度がないもの。本作は後者。
野口照夫という監督。一応,有名どころ大森南朋が出演しているが,主演は芦名 星(でも,ホリプロ所属のタレントさんです)と安田 顕という2人。ちなみに,安田演じる男性の父親役として平泉 成も出演している,という点では、比較的昼間のロードショーにも近い存在かもしれない。実際に、映画の内容もかなり洗練されていて、でも素朴な面も持っていて、私は個人的に好きな作品だ。
ストーリーは主人公の女性が若くして母親と同じ癌を宣告され、生きる気力を失い、食べるものも食べず、ネットの自殺サークルで自殺を決意する。同じように集まった3人とともに、大森演じるネットの管理人とともに山中へと向かう。しかし、大森演じる男性はずっと見続けてきたテレビドラマの最終回がその日の放映であることを忘れていて、大急ぎで電波の入るところに移動し、鑑賞する。そうすると今度は自殺志願者の1人がお腹を鳴らしたことをきっかけにラーメン屋へ。そして、今度はボーリングへと、結局志願者2人は自殺する決意をなくしてしまう。そんなこんなで、この集団自殺は失敗に終わり、大森と主人公との奇妙な関係が始まる。大森が管理人をしているアパートに住む、主人公と同じく若くして癌に侵されたカメラマンを救って欲しいと大森は主人公にお願いするのだ。このカメラマンを演じるのが安田。
助けるといっても大したことではなく、自殺する前に安田演じる男と結婚し、生命保険の受取人を彼にすることで、彼に手術代が入るようにしたいというのだ。なんだかんだで大森に振り回された2人は、男の実家近くで一夜を過ごすことになる。実家からは勘当された彼を両親に会わせるために、主人公は彼の奥さんとして彼の実家を2人で訪れることを提案し、にわか夫婦は両親とともに1夜を実家で過ごす。そんなことをしているうちに、主人公は徐々にこの男性に引かれていき、自殺することの愚かさに気付いてゆく。
まあ、こうして説明してしまうと陳腐なストーリーだし、肝心なことを書いていませんが、とにかく大森南朋の存在が素的なのだ。私は勝手に、この作品における大森の存在をちょっとした人寄せパンダのようなものだと想像していた。しかし、実際はそうではなくしっかりと中心にいます。良い人と悪い人の両面を持つ、まさに彼にピッタリな役どころ。いい作品でした。

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アイスランドの音楽事情

8月7日(火)

この日は家の近くで「せいせき多摩川花火大会」が行われるので、例年通り会社から鑑賞することとなった。私のお世話になっている会社は多摩川沿いに建っており、6階のオフィスに居ながらにして花火が楽しめるのだ。こんな日は18時過ぎから寿司やピザなどを買ってきて宴会を始める。でも、正直なところはここの花火は規模は小さいので、ちょっと見られれば良いのだ。私は途中で抜けて、一度帰宅して着替えて渋谷までレイトショーを観に行くことにした。ちょうど、多摩川を渡る電車からは花火が見えた。

渋谷シネクイント 『スクリーミング・マスターピース
アイスランドの音楽に関するドキュメンタリー映画。レイトショーだが、音楽好きの若者(あからさまに音楽をやっているような人は少ないが)がけっこう集まっている。夏休みだしね。予告編で出演していたミュージシャンで私が知っているのはビョークだけ。しかも、ビョークがアイスランド出身であるということもきちんとは知らなかった。そんな私でも十分に楽しめる内容。お酒も入っていたし、ドキュメンタリー映画といえば心地良い眠気を誘うものだが、とても刺激的な作品だった。1980年代以降のアイスランドのポピュラー音楽の軌跡がかなり社会学的に探求される。ビョークもsugarcubesというバンドですでに1980年代から活躍していたということも知らなかったし、他にも世界的に活躍しているミュージシャンを輩出しているとのこと。なかでも私が気になったのは、マリンバは木琴だが、木ではなく、薄い岩を並べてそれをマレットで叩く楽器。石琴とでもいおうか。それが何台も並べられて弾くのだが、素晴らしく神秘的な音を奏でる。
その他にも皆が工夫を凝らしてさまざまな音楽が生み出されている様子が描かれているのだが、最後のコンサート風景で、これまで別個に出演してきたグループが一堂に会しての演奏風景は圧巻。ビョークのかなり貴重なインタビュー映像もあり、素敵な映画でした。

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