映画・テレビ

アップリンク続き

2019113日(日)

吉祥寺アップリンク 『20センチュリー・ウーマン』
2016
年の作品ですね。すでに日本の公式ウェブサイトはなくなっていますが,映画サイトで情報を観ると,『人生はビギナーズ』のマイク・ミルズ監督作品とのこと。1979年のサンタバーバラを舞台に15歳の少年の成長を描く,とありますので,少年は私より少し年上の設定ですが,こういう時代設定,とても好きです。
そして,この少年を演じるルーカス・ジェイド・ズマンという俳優がとても輝いています。相手役のエル・ファニングもちょっと擦れた訳がなかなかいいです。とにかく,個性的な一人一人の登場人物が輝いていて,古き良き時代というノスタルジーとともに輝いている映画。とはいえ,私が否定したくなるような有体のノスタルジーではなく,想像上に創造される芸術的ノスタルジーといったらよいだろうか,忠実な過去の再現でもなく,過去の美化でもなく,フィクションとして描かれる史実と空想に基づく世界。

201923日(日)

吉祥寺アップリンク 『鈴木家の嘘
上映が始まる直前に急に思い出した。そういえばこの映画,私の通う美容室のお姉さんが観たっていってたな。予告編を観ると『グッバイ,レーニン!』と似た設定だと思うんだけど,お姉さん曰く「だいぶ違う」と。彼女の中で『グッバイ,レーニン!』はかなり好きな映画なので,少し残念だったと。確かにその通りで,いきなり加瀬 亮演じる鈴木家の長男が自室で自殺するシーンがかなりリアルに描かれる。確かに,彼がアルゼンチンで頑張っているんだという演技をする家族の一員としての大森南朋の役どころはコメディだが,それ以外の要素はかなりシリアスだ。加瀬 亮も冒頭で死んでしまうが,数少ないシーンはまさに彼ならではの存在感を見せている。そして,なんといっても私の心を鷲摑みしたのが,妹を演じる木竜麻生という女優さん。どうやら2018年はこの作品以外に『菊とギロチン』の主演で,キネマ旬報で新人女優賞を獲得したという。表情によって顔の見え方が違うというのが私の印象だが,それがいかにも映画向きだと思う。テレビドラマは出た瞬間に誰だか分からないといけないが,やはり映画は俳優は誰でもいいのだ。その登場人物に見えることが重要だと私は思っている。そういう意味で,非常に期待したい女優さんだ。

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年末年始で観た映画3本

20181228日(金)

立川シネマシティ 『こんな夜更けにバナナかよ
公開初日の初回で鑑賞。大泉 洋は個人的にそんなに好きな俳優ではない。しかし,予告編が非常に面白く,また高畑充希ちゃんが非常に魅力的に映っていて,さらに『パコダテ人』の前田 哲監督ということで,2018年最後の作品として観ることにした。タイトルには実話とあるが,1959年生まれの主人公が34歳の時点ということで,1993年の頃の札幌を描いている。私は大学を卒業する年だが,三浦春馬演じるのは北海道大学医学生ということで,ボランティアの皆さんはほぼ私と同棲代ということになる。主要3役の演技もさることながら,ともかく配役が素晴らしい。ボランティアのまとめ役で出演している萩原聖人,仕事をしながらボランティアをしている宇野祥平,看護師の韓 英恵などいちいち登場するたびに嬉しくなってしまう。ともかく,ロケやセットなども含め,完璧な作品世界が造られていて,鑑賞者はすっぽりとそこにはまって感情移入できる作品。

 

201912日(水)

吉祥寺アップリンク 『ハード・コア
原作があるとはいえ,久しぶりにぶっ飛んだ山下敦弘ワールド全開。エロあり,貧しさあり,暴力多少あり。荒川良々は昔はこんな役どころばかりだった。久しぶりに彼のこういう姿を見たが,まさに20年間風貌が全く変わっていない。こちらも予告編で期待が膨らみ,期待に十二分に応えてくれる作品だった。こじんまりとまとまりよく仕上がっておらず,無駄に上映時間が長いのも山下作品らしい。

 

201919日(水)

2日に初めて行った吉祥寺アップリンクだが,また来てしまった。吉祥寺は25年前くらいから遊びに来ている街だが,世代によってその使い方は違ってきた。10年前くらいはスターパインズカフェやストリングスといったライヴ施設の利用が主だったが,子どもが生まれてからは,下北沢などに比べて乳幼児を連れてきても便利な街として,家を建てたころは家具屋が多いということで利用してきたが,2014年にバウスシアターが閉館してからは,よみた屋や100年という古書店を訪れるくらいしか来なくなっていた。そんな吉祥寺のパルコの地下にアップリンクが開館した。なにやらクラウドファンディングで資金集めをしたらしい。『ハード・コア』のように,新作だが他の劇場ではすでに上映終了しているものや,数年前の作品などの上映をしているようだ。そういう旧作は1300円とのこと。なかなか新作をチェックして観ることのできない現在の状況では,とてもありがたい映画館ができた。

吉祥寺アップリンク 『心と体と
2017
年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したというハンガリー映画。全く知らない作品でしたが,素晴らしい映画。非の打ちどころがありません。舞台は食肉工場。その工場主が主人公の一人ですが,片手が不自由な一人暮らしの初老の男性。そこに新しい品質検査官が赴任します。この若い女性は冷静で完璧に仕事をこなしながらも周りに溶け込もうとしない。こういうわけあり女性が映画の主人公になることは多いですが,社会的に訳ありなわけではないことが分かってきます。大人になっても子どもの頃から通っていたカウンセリングの先生に相談に行きます。記憶力が抜群に良い,おそらく発達障害と思われるこの女性は,他人とうまくコミュニケーションがとれない。特にスキンシップは極端に難しい。工場主はそんな謎めいた女性に興味を持ち,他の従業員は彼女を避けがちなのに対し,積極的にアプローチする。そんな時,工場内のある事件をきっかけに,この2人が同じ夢を見ていることがわかり,急速に近づきます。その恋愛のさまは青春時代の初恋のよう。
社会的には低層ともいえる食肉工場を丁寧に描写し,身体障がいや精神障がいというある種負のテーマを扱いながら,それを恋愛というテーマでコメディタッチで正に変えていく映画。
『こんな夜更けにバナナかよ』は日本映画としてそれを達成しましたが,本作はヨーロッパらしいやり方で達成しています。

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邦画2本

20181121日(水)

テアトル新宿 『
水曜日はサービスデーにしている映画館がいくつかある。その中でも広瀬アリスが出演しているということで選んだ作品。芥川賞作家による原作があるんですね。シチュエーション的に村上虹郎が主演というのは納得し,モノクロ映画というのもいいと思う。あまり前情報を入れずに観ました。
またリリー・フランキーさんが出ています。カツラに見えるヘアスタイルが刑事という役どころと微妙にマッチしています。シリアルになりすぎず,かといってコメディタッチの場面が多いかというとそうでもない。その微妙なバランスがいいのか悪いのか,なんとも評価のしづらい作品です。広瀬アリスちゃんは魅力的でしたが,もうひとひねり欲しかった気もします。最後の最後で村上 淳が登場し,親子共演してしまうところが最大のコメディだった。

 

2018124日(火)

有楽町スバル座 『えちてつ物語:わたし,故郷に帰ってきました。
お笑いタレント横澤夏子が,東京でお笑いを目指すがうまくいかずに故郷の福井に戻ってくるという役どころを演じる。残念ながらテレビのないわが家なので,お笑いタレントには疎いが,まあ地方プロモーション映画といったところ。緒形直人が血のつながらない兄役を演じるが,実年齢差は23歳ということでちょっと無理はある。とはいえ,もうベテラン俳優の域に達した彼の存在でしまっていますね。
実は福井には少し思い入れがあります。以前ライヴ通いをしていたころに知り合った福井在住の女性がいて,以前福井に遊びに行ったこともあったのです。さすがに「えちてつ」までは乗りませんでしたが。その女性は滋賀県に嫁ぎ,その結婚式にも出席しました。しかも,私がその頃聴いていたシンガーソングライターの「なおりゅう」さんはその女性の知り合いでもあり,結婚式でお会いしました。それはそれとして,なおりゅうさんのお兄さんは「片山 享」という俳優さんなんです。なんと,本作品のクレジットにも名前が出てきました。まあ,福井県出身ですのでこの類の映画には出ていてもおかしくありません。ただ,容姿も覚えていたのに,どの場面で出ていたかは思い出せない

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追悼,大杉 漣

20181021日(日)

立川シネマシティ 『教誨師』
樹木希林に続いて,先日亡くなった大杉 漣の主演作を観る。監督は,西島秀俊が刑務官を演じた『休暇』(2007年)で脚本を務めていたという左向 大。この作品は観た記憶があるが,本作も死刑囚に寄り添う聖職者を描く。登場するのは6人の死刑囚,舞台は拘置所の一室。冒頭で,死刑囚は刑務所ではなく拘置所でその時を待つという事実を知らされる。まあ,それはともかく,俳優冥利に尽きる舞台設定。私は大杉 漣さんに深い思い入れはないが,こうして彼の姿をじっくり観られる作品を最期に残したというのは幸せな俳優人生だと思うし,ファンにとっても彼を失ったことは残念だが,この作品が残されたことの意味は大きいと思う。大阪のおばちゃんを演じる烏丸せつこの演技はすごい。
http://kyoukaishi-movie.com/

 

20181111日(日)

調布シアタス 『体操しようよ』
わが家の朝はNHKラジオで始まる。大抵,子どもたちを起こした後に流れているのが6:30の「ラジオ体操」。ピアノ演奏の幅しげみさんと体操の多胡肇さんの名前も覚えているくらいだが,この2人の名前,クレジットにしっかりと上がっていました。
さて,主人公は草刈正雄。鉛筆メーカーで定年を迎えた男性。退職の飲み会でのスピーチは誰も聞いておらず,若い人々はただの飲み会を楽しんでいる。38年間無遅刻無欠勤,自分で「唯一の特技は,与えられたルールをきちんと守ること」。十数年前に妻を亡くし,木村文乃演じる娘が彼の世話をしている。定年退職を機に,「専業主婦を卒業します。今日からお父さんが専業主婦です。週休0日,月給0円」という手紙を突き付ける。
予告編から,家族関係をコメディタッチで描く作品であることは分かったが,なんとも出演者が素晴らしいのだ。特に体操会のメンバー。会長はきたろう,模範体操をする徳井優,『川の底からこんにちは』で忘れられない稲川実千代,『ヒメアノ~ル』で印象的だった山田真歩など,地味な俳優がいい味を出しています。
ヒロインは和久井映見。こういう作品世界に入ると魅力的です。父娘の物語ということで,ベタなセリフも多いのですが,涙腺が緩みます。ちなみに,木村文乃は『ポテチ』で好きになったものの,意外に出演作を観ていない作品。最近では,玉木 宏との賃貸住宅のCMで見るくらいだが,この頃の髪型がどうにもしっくりこない。この映画を観ている間に多少は見慣れたが,やはり彼女は長い方が似合うのか,いやそうではないと思うが,ちょっと違った髪形を見てみたい。
http://taiso-movie.com/

 

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追悼,樹木希林

201894日(火)

調布シアタス 『寝ても覚めても
原作の柴崎友香は『きょうのできごと』の原作者でもあるが,大学で地理学を学んでいて,大阪を中心とした地理的想像力にあふれる作品を有する作家。それだけでなく,斬新な視点を持つ作家として注目しているので,その実写版を楽しみにしていた。監督の濱口竜介は,名前も知らず,作品を初めて観るが,かなり注目されているらしい(この作品の公開後,『ユリイカ』で特集されていた)。しかし,私が何よりも心惹かれてしまったのは,主演女優の唐田えりかだ。相手役の東出昌大も含め,けっして演技で魅せるような俳優ではないのだが,スクリーンでのそのたたずまいになんともキュンとしてしまった。それが演技なのかどうなのかわからないが,その不器用そうで恥じらいのある演技が,真面目だが移ろ気で,普段は煮え切らないが時に強い決断力を持つ,そんな人間像に見事にマッチしていたと思う。相手役が東出さんであることもあって,身長は小さな印象を与えたが,大きく両手を何度も振るシーンでは,体の割にその長い腕に驚かされた。
映画としてはどうなのだろう。すっきりとスタイリッシュとはとても呼べない。淡々としているというのはいい評価の時に使うが,ダラダラしているともいえなくはない。原作に基づくストーリーも,現実離れしたラブストーリーともいえなくはなく,そういう意味では私の期待する柴崎作品(原作は読んでいませんが)とは異なっている。しかし,川辺を主人公2人が追いかけて走っていくシーンは,近年の映画のなかでは群を抜いて美しかった(そもそも,私は映画を画面の美しさではあまり評価しない)。久しぶりにスクリーンで観る山下リオちゃんも嬉しかった。もう26歳なんですね。すっかり大人の女性でした。濱口監督と,唐田えりか,これから注目しよう。

 

20181017日(水)

調布シアタス 『日日是好日
黒木 華と多部未華子の共演ということで,予告編で知ってすぐに観たいと思った作品。公開を心待ちにしている時に,樹木希林の訃報が届いた。意外にあっけなく亡くなるものですね。それにしても死の直前まで仕事に全うした姿はさすがとしかいいようがない。そんなこともあり,平日の回で,かなり大きなスクリーンだったが,観客席は年配の方々でかなり埋まっていた。監督は大森立嗣。
主人公は1973年生まれの設定となっていて,そんなには意識をしていないと思うが,懐かしさを感じる。まさになんてことのない物語。主人公は茶道で突出した才能を発揮するわけでもなく,樹木希林演じる茶道の先生も非の打ちどころのない人物なわけでもなければ,主人公とお茶以外の特別な結びつきが演出されるわけでもない。主人公と一緒にお茶に通っている多部未華子演じるいとこも,就職はするが3年で辞め,地元に帰って見合い結婚というありふれた人生。誰もが特別にすごいわけでもなく,特別な偶然が起きるわけでもなく,それでいて「何もない日常が素晴らしい」的な主張を強調するわけでもない。
一つ驚いたのは,華ちゃんと未華子ちゃんが並ぶと,華ちゃんの方が身長が大きいということ。この二人のバランスが面白かった。そういえば,黒木 華は『シャニダールの花』で,多部未華子は『ピース オブ ケイク』でともに綾野 剛と共演している。

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アニメ作品2つ

2018830日(木)

立川シネマシティ 『未来のミライ
時間的になるべく近くでしか観られず,魅力的な作品はこの週末から始まるということで,無難にこちらを選択。細田 守作品は必ず観るというわけではない。この作品もあまり期待はしていなかったが,観ることにした。
観てみると思いの外,今の自分にぴったりだということがわかった。主人公の「くんちゃん」の年齢設定がわからなかったが,いまウェブサイトで確認したら4歳らしい。ちょっと描き方としてはもう少し下に見える。話は達者なので,2歳というわけではないが,等身的には2歳だな。でも,自転車に乗れるようになるので,まあ4歳か。じゃあ,ちょうどわが家と同じ年齢差だ。うちの娘も,息子がちょうど4歳になったところで産まれた。よくある,下の子が産まれて親が相手をしてくれなくなるという子どもの気持ちをファンタジー的に描いた作品だといえる。確かに,3歳児はもっと面白い。この主人公はそういう時期は過ぎたような雰囲気がある。まあ,作り手が大人なので,その辺がうまく描かれていないともいえる。3歳児はまさに大人では発想しないような考えと行動をするものだ。
子どもの年齢差ということではわが家とどうだろうか。この主人公は赤ちゃん返りとまではいわないが,その辺の感情が強調されている。うちの長男はあまりこういう感情は表現しなかった。そういう意味でも,こういう感情に関しては,4歳差という設定よりは23歳差が適切なような気もする。
さて,ちょっとネタバレあります。タイトルでは妹のミライちゃんが未来からやってくるところが強調されていますが,それだけではなく,くんちゃんがタイムスリップするというお話。しかも,家系がテーマになっていて,3世代前までさかのぼり,未来は十数年。さすがに見せ場もいくつもあって,楽しめる内容でした。しかし,くんちゃんのお母さん役が麻生久美子で,意外に彼女の声って特徴がありすぎて,麻生久美子にしか見えなかった。後,福山雅治も出てくるが,すぐに分かる。

201891日(土)

南大沢TOHOシネマズ 『ちいさな英雄―カニと卵と透明人間―
映画サービスデーは家族サービスで映画。初めは『ペンギン・ハイウェイ』を観たらどうだという妻の提案だったが,上映時間が長く,3歳の娘には無理と判断。こちらにした。上映館の関係で久しぶりに南大沢。
本作はスタジオ・ポノックによる短編集。「カニーニとカニーノ」はカニの兄妹の話。「サムライ・エッグ」は卵アレルギーの子どもと母親の話,「透明人間」はそのままです。「カニーニとカニーノ」は3歳児にも楽しめる内容でしたが,後の2本はそうでもありませんでした。上映時間が短かったので大丈夫でしたが,後半は娘も退屈したようす。しかし,私的には後の2本が楽しめました。「サムライ・エッグ」はけっこうシリアスな内容でしたが,母親を演じるのは尾野真千子。関西弁で迫力があります。
「透明人間」はこれまでの透明人間ものとはちょっと違っているところがユーモラスでいいです。まず,見えないだけでなく体重もないという設定で,自宅では鉄アレイで支えながら身支度をし,スクーターに乗って自動車販売店に出勤するのですが,消火器を担いで乗ります。普通に仕事をしているようですが,ことごとく職場の人からも無視されています。彼を周りの人がどう扱っているのかは不明。単に「見えない」ということを「存在感の薄い」人間として揶揄しているように思います。そして,最後の見せ場は,姿が見えないということで成し遂げる偉業。まあ,これが英雄たるゆえんですね。「サムライ・エッグ」の主人公の最後の姿も英雄に見えます。ちなみに,透明人間を演じるのはオダギリジョーでした。

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涼しい朝を迎えるようになりました

201881(水)

新宿武蔵野館 『志乃ちゃんは自分の名前が言えない
前回武蔵野館に行った時に初日を迎えた作品。吃音をテーマとした作品ということで,舞台挨拶にはNHKも取人公に公衆電話から電話をするシーンなどもあり,調べてみると1990年代が舞台とのこと。そういえば,最近私は見たこともない若手俳優による作品でしたが,皆さんそれぞれキャリアのある俳優さんだったようです。主演の南 沙良さんは『幼な子われらに生まれ』に出演していたとのこと。そういわれれば。演技も初々しさが前面に出る感じでしたが,泣きじゃくる2回のシーンで,鼻水が垂れている様はとても良かった。この手の作品にありがちな冗長さはありましたが,結論的にはなかなか良かったと思う。彼女たちが立派な俳優に成長する頃に,本作が貴重な存在になるのでしょう。
ところで,この映画の時代設定に違和感を抱いたのは冒頭のシーン。確かに,私の時代には吃音(いわゆるドモリ)の生徒は身近にいた。大抵はそのことがからかいやいじめの対象になってしまう。だから,現代ではそういう情報は必ず進学の際に伝えられ,学校側で対処することになっていると思っていたからだ。しかし,映画ではそうではない。そういうのはいつ頃からだろう。

2018811日(土)

日比谷シャンテ 『追想
いくつかの作品で悩んだが,シアーシャ・ローナンの作品はなるべく観ているので,観ることにした。上映時間ギリギリになってしまい,少し遠いチケット屋で前売り券を購入して久しぶりのシャンテ・シネに向かう。すぐ近所にTOHOシネマズ日比谷がオープンしたので,当然TOHOシネマズに組み込まれたシャンテ。シネは閉館のはずだったが,なんとか存続するようです。本作も私の指定席,最前列中央が埋まっているなど,なかなかの盛況でした。
舞台は1960年代のイギリス。シアーシャ演じる女性が参加していた核廃絶運動の集会にたまたま潜り込んだ男性。彼は学校の試験にうまくいって,その通知を身近な人に自慢するが相手にされず,バスに乗ってオックスフォードに向かう。そこで,酒を飲みながら町を徘徊してたどり着いたのがその集会。主人公の方は電車を乗り継いでロンドンまでという話をしているので,その辺りが舞台。
相手役の男性が1974年の時点で街を歩くシーンに,背後の建物には「NO EVICTION(立ち退き反対)」という落書きがあったりして,時代を感じさせる。ストーリーはなんてことのない話。でも,逆に最近のヨーロッパ映画は,アクションやファンタジーものでない限り,どこか社会問題を組み込むようなものが主流のような気がするので,こういう素朴な恋愛ものはある意味で新鮮です。しかし,主人公の親の職業など,随所にその場所と時代,社会階層の雰囲気が散りばめられているところがさすがです。

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48歳になりました。

2018714(土)

新宿武蔵野館 『ルームロンダリング
3
連休のうち,2日は妻が出勤で子どもたちの面倒をみなくてはいけないので,1日は一人で行動させてもらった。最近は映画の情報にも疎いので,1本観ていいとなると,何を観るかから情報を集めるのが大変だ。とりあえず,この日はTOHOシネマズデーなので,日比谷シャンテなどを当たってみたが,イマイチだったので,今度はシネマカリテ。こちらは何やら映画祭をやっているとのことで,そのつながりで武蔵野館。オダギリジョーも出ている面白そうな作品がありました。この日初日を迎えていた『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』も魅力的だったが,舞台挨拶付きだったのでパス。
主演の池田エライザは全く知らなかったが,ともかくこの女優の魅力にやられた映画。主人公の女の子がほとんど笑わない,こういうのがいいんですよね。まあ,わきを固めるオダギリジョー,田口トモロヲ,渋川清彦などはいつも通りの配役で物足りないといえば物足りないが,主人公の母親役でつみきみほが出演していたのが嬉しい。西川美和監督の長編処女作『蛇イチゴ』ももう15年前ですから,つみきみほさんも歳を取るはずだ。
脚本もなかなかいいですね。
とはいえ,一つ気になったこと。作品中に登場する2台の携帯電話がいずれも折り畳み式であるところ。撮影がだいぶ前なのか,演出上スマートフォンを避けたのか,いずれにせよ気になる。

2018716(月,祝)

府中TOHOシネマズ 『劇場版ポケットモンスター みんなの物語
今頃だが,7歳の息子がポケモンをよく観ている。テレビのないわが家ではHuluの動画でアニメを魅せているのだが,最新の「サン&ムーン」の過去の動画がすべて観終わってしまった今,初期のアニメを見始めている。長男が観れば,当然3歳の長女も観るわけで,長男が映画を観たいといえば,長女もついてくる。ということで,初めて自分の席で観させることになりました。
ところで,前にも書いた気がしますが,特定のマンガ=アニメ作品の膨張というのはいつからみられる現象なのでしょうか?以前は藤子不二雄の「ドラえもん」と,作者と作品とは切り離せないものでしたが,もちろんこのドラえもんにせよ,作者が死んでからも作品が生き続ける。そして,近年(に限らずかも)作者が存命中から作品が拡張しすぎ,作者名はあまり知らないような状況が多くみられるような気もする。このポケモンに関してもどうなのか?
ともかく,毎シーズンのように公開される映画に関しては,脚本や監督は原作者の手を離れているようだ。本作も「マサラタウンのさとしとピカチュー」という組み合わせだけは絶対的中心だが,他は作品の設定だけのような気もする。しかも,さとしが主人公ですらない。
映画版の声優にはやはりいろいろゲストが参加している。私的に嬉しかったのは野沢雅子さんの声が聴けたこと。まさにわれわれ世代の俳優さんですからね。それから,濱田岳君も重要な役どころで出演していた。物語的には彼が主人公のようなものか。しかし,最後はヒーロー的な扱いになったが,元はといえば彼に落ち度があったわけで,またロケット団の行為も許せるものではないが,それがうやむやにされてしまっているというのは,子どもに対する教育上いいのかということを思ったりもする。まあ,ともかく近年の社会通念的に多様性を賛美するという意味での「みんなの物語」なのだろう。

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是枝・河瀨

2018610(日)

府中TOHOシネマズ 『万引き家族
カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した是枝作品。たまたま,この前の水曜日に4ヶ月ぶりに美容室に髪を切りに行ったが,そこで是枝監督作品特集を上映していた。最近は毎年のように作品を発表している是枝さんで,すべてを観られているわけではないが,注目はしている。私が映画を観るのはなんと3ヶ月ぶり。映画も観ず,髪も切りに行けず,そんな3ヶ月間でした。
ともかく,妻が事前に購入していたムビチケを渡してくれて,「観に行ってくれば」ということで,身近な府中で観られるのも嬉しい限り。カンヌ効果で府中でも一番大きなスクリーンでの上映で,お客さんも年配層を中心によく入っていました。リリー・フランキーに安藤さくら,樹木希林とこの主題にしてこの役者。ちょっと反則気味なところはありますが,まあ,『誰も知らない』に対比される,是枝作品の汚の部分が強調された作品。彼は決してそれが特徴というわけではない。『ワンダフルライフ』は名作だが,『空気人形』なども彼の持ち味を生かした作品で,美の部分が強調されている。
私的に「おっ」ときたのが,後半部分。この家族の息子が捕まってしまい,病室を訪れる警察官。扮するのは高良健吾と池脇千鶴。『きみはいい子』の共演コンビだ。はじめは警察官ではなく,児童相談所の職員かなんかだともっといいなと思ったが残念。まあ,ともかく見ごたえのある作品でした。

2018617(日)

新宿ピカデリー 『Vision
2
週続けて,重いテーマを扱う監督作品です。今度は河瀨直美。彼女の作品もできるだけ観るようにはしているが,今回はそんなに観たいという感じはしなかった。しかし,美波ちゃんが出演しているということで,観ることにした。その美波ちゃんの登場場面が多い前半はとても良い。物語設定がしっかりしていて,展開していく。美波ちゃんの役どころは,ジュリエット・ビノシュ演じるフランス女性が舞台である,奈良県吉野の山への訪問に通訳として同行している女性。なんともフランス語が流暢だ。映画サイトのプロフィールを読むと,なんと美波ちゃんは今,パリを拠点にして活動をしているとのこと。そりゃすごい。
このフランス人女性はこの地に,ある薬草を追い求めている,その名も「Vision」。ここからどうやら怪しくなってくる。現地の日本語名があって,欧米ではVisionと呼ばれているというのならいいのだが,ともかくその植物は普遍的にその名前というところが怪しげだ。ジュリエットと永瀬正敏が結ばれるあたりから神秘的な雰囲気を帯び始め,河瀨監督の持つ一面であるスピリチャルな世界へと誘われていく。そんな作品。

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3月の映画はあまり収穫なし

201831(木)

立川シネマシティ 『デトロイト
映画の日にお休みをして観に行った。暴動に関する史実というのは文字で読んでもあまりピンとこないので,映画で観てみようと思った次第。全般的に当時の記録映像も交えた展開で,前半はドキュメンタリー感があり,いい感じだった。しかし,徐々にストーリー性が濃くなっていきます。あるモーテルで起こった事件を中心に後半は展開します。それも確かに白人警官による理不尽な黒人いじめにはすぎなく,裁判沙汰にもなり,そこも丁寧にたどってはいるのですが,このデトロイトという都市で起きたという必然性があまり感じられない事件のように思いました。映画では,なぜデトロイトに黒人が集まったのかという歴史的経緯と合衆国におけるこの都市の位置,南部との関係などにも言及があったと思いますが,少し物足りなく感じた作品でした。

2018311(日)

府中TOHOシネマズ 『映画ドラえもん のび太の宝島
今年のドラえもん映画は主題歌を星野 源が担当していること,娘の方も関心を示したということで,家族4人で観に行きました。巨大なポップコーンを持って,席に着いてからは子どもたち2人がそれに夢中。映画自体のストーリー展開は前回同様非常に忙しく,一気にスケールの大きな話まで展開します。この辺り,かなり無理があるように感じます。どの年齢くらいになるとこの物語についてこれるのでしょうか。終盤は星野源の挿入歌とともに,お涙頂戴シーンが登場し,夫婦で涙していました。まあ,観終わった後にすっきりするようにうまくはできていますが,その後に何が残るかというと,やはり映画版第1作の『のび太の恐竜』は偉大だったと思ってしまいます。

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