映画・テレビ

【映画日記】『金子文子』『オールド・オーク』『急に具合が悪くなる』

本当に久しぶりの映画日記です。こうして記録を観ると、1ヵ月に1本しか観られなくなっていますが、この3ヵ月はかなり濃い作品を観ていることが分かります。

2026年4月20日(月)

渋谷ユーロスペース 『金子文子 何が私をこうさせたか』
1903年に生まれ、1926年に獄中で自死した女性。朝鮮人朴烈と一緒に虚無主義/無政府主義運動に身を投じる、というところまで、そして朴の膝に座った写真を知ってはいた。個人的に無政府主義=アナキストには関心があったので、金子文子についても知りたいとは思っていたが、浜野佐和監督の手により映画化されるという情報が、確かTwitterで流れてきて、製作費をクラウドファンディングで募っているということで、だいぶ前に少額だが出資していた。当時はクラウドファンディングのサイトから頻繁にニュースが流れてきたが、完成・上映開始の情報は何度もは来なかったので、観られるかどうか半ば諦めていたが、何とか観ることができた。以前にも獄中死した日本共産党員、伊藤千代子を描いた映画『わが青春つきるとも』があったが、どうしても似たような雰囲気にはなってしまう。
ただ、本作は金子文子を演じるのが葉菜葉だったというところが大きかった(伊藤千代子を演じた井上百合子さんもとても良かった)。まあ、これだけの人物なので、本作は見どころも多く、十分楽しめた。個人的には洞口依子の出演が嬉しかった。若かりし頃は独特の雰囲気を醸し出す俳優さんだったが、こうして加齢して落ち着いた雰囲気の演技をされている姿を見られたのはよかった。
https://kanekofumiko-movie.com/

 

2026年5月5日(火、祝)

新宿武蔵野館 『オールド・オーク』
ケン・ローチ監督作品。本作は、『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』に続く三部作ということで、私はこれら2作も観ていて、自分ではケン・ローチのファンだと思っていたが、改めてWikipediaを確認すると、鑑賞した作品は決して多くないことが分かった。1969年の『ケス』をシネ・ヴィヴァン六本木かどこかの再上映で観た時の衝撃が強く、すごい監督がいるもんだと思った。その後、岩波ホールで1995年の作品『大地と自由』を観ているが、当時の私には難しく、『ケス』の監督の作品だと認識していたかどうかは分からない。その後、1998年の『マイ・ネーム・イズ・ジョー』、2002年の『SWEET SIXTEEN』、2004年『やさしくキスをして』、2006年『麦の穂をゆらす風』(キリアン・マーフィー主演)と観てきたが、その後の作品は観たかどうかさだかでない。
まあ、いずれにせよ、観るたびにうなってしまう、作品を世に出し続けている監督であり、私のイギリス像を形成する最も重要な情報源かもしれない。本作は、かつては炭鉱で栄えたが、閉山後すっかりさびれてしまい、空き家になった住宅に支援団体が次々とシリア難民を送り込んでくる。すっかり高齢になった元鉱夫(の息子?)たちは主人公が経営しているパブ「オールド・オーク」に入り浸り、難民たちへのヘイトを繰り返す日々。日本映画でも同じような演出の映画が作れそうだが、多分それをみると、やりすぎだと思うだろうが、英国の観衆にとっては、これがリアルなのだろうか?前二作と比べて、希望の持てるラスト、というのは『しんぶん赤旗』での映画評通りだが、正直な感想としてはちょっと過剰演出な気もする。
https://oldoak-movie.com/

 

2026年6月25日(木)

府中TOHOシネマズ 『急に具合が悪くなる』
濱口竜介監督作品。Wikipediaをみると、1978年生まれで決して最近出てきたわけではない。私が彼の作品を知ったのは2018年の『寝ても覚めても』だが、主演二人の不倫騒動で柴崎友香原作であることすら話題から遠のいてしまった作品だったが、私のなかには何かが残った。ということで、2021年の村上春樹原作の『ドライブ・マイ・カー』を観たわけだが、この作品で一躍有名になり、同じ年の『偶然と想像』も観た。『偶然と想像』の映画日記にも書いたが、圧倒的な精緻な作品制作が評価されるべきだが、私はその完璧さにどこか不満を感じてしまう。
ということで本作だが、主演のヴィルジニー・エフィラと岡本多緒がカンヌ映画祭で主演女優賞を受賞したということで、また話題となった。とはいえ、3時間を超える作品で観られるかどうか不安もあったが、なんとか観ることができた。しかも、久しぶりに夫婦で観ることとなった。予備知識は、哲学者と人類学者の対談本が原作であるということくらいだったので、長塚京三が一人芝居の俳優を演じるということには心躍った。長塚演じる男の孫で、自閉症の少年を演じる黒崎煌代も注目すべき作品であった。
3時間を超える上映時間を長くさせているのは2人の主人公の対話である。これを抜いて2時間程度の通常上映時間の映画としても一級品だが、原作は読んでいないが、女性二人の哲学対話が本作の真骨頂であり、同時にそれを映画独自の脚色としての2人がそれぞれ高齢者介護と演劇という実社会に見事に結び付けているのが本作の最大の魅力である。そして、2人の対話は多岐にわたるのだが、対話のクライマックスはマルクス主義的解釈による資本主義社会批判であるといえる。だからこそ『しんぶん赤旗』でも大々的に取り上げている。映画では日本人女性がソルボンヌで哲学を学び、フランス人女性が早稲田大学で人類学を学んだという設定だが、人類学にしても哲学にしても、マルクスを読むことは避けられない、そんな発言すらあった。
長塚さんの一人芝居もとても良かった。『ドライブ・マイ・カー』でも劇中演劇があったが、この手法は本当にこの監督の魅力である。長塚さんのフランス語も素晴らしく、また日本語とフランス語の使い分けもこだわりがありつつ自然でよかった。女性二人の日本語とフランス語(二人とも両方を使える)の会話もはじめの頃は日仏まじりあってとても自然だったのだが、後半からマリーはフランス語、真理は日本語になっている。長塚さんのセリフのなかに「感情を込めるときは母国語で」とあったので、二人の会話も遠慮して相手に合わせることを終わりにした時点からお互いに母国語を使う、という暗黙のルールに変わった、と解釈できないことはない。とはいえ、些細な日常会話については日仏入り混じった方がよかったかな、とおせっかいな感想です。
それから、やはり私自身は濱口監督作品にもう少し遊びが欲しいと感じる。美しいものだけでなく汚いものを、整ったものだけでなく乱れたものを、画面に映し込んで、その価値基準をフラットにするような作品になったら、私もより濱口作品を好きになるかな、と思う。
https://www.bitters.co.jp/soudain/

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【映画日記】『映画ひみつのアイプリ まんかいバズリウムライブ!』『パリに咲くエトワール』『劇場版名探偵コナン ハイウェイの堕天使』

2026年3月14日(土)

立川シネマシティ 『映画ひみつのアイプリ まんかいバズリウムライブ!』
娘の希望で観に行った映画。娘もちょっと期待外れっぽかったが、アニメのミュージカルといったらいいのか、ストーリーはほとんどなく、一か月たってから思い出そうとしてもほとんど思い出せない。一般的なミュージカルはセリフにリズムを載せるというものだが、この映画はほとんどが歌を歌うシーン。歌と歌のつなぎを物語風にしているにすぎない。ただ、私の隣りに座った少女は楽しそうに一緒に歌っていた。まあ、こういう映画があってもいいかな。
https://aipri.jp/anime/aiprimovie/

 

2026年3月29日(日)

立川シネマシティ 『パリに咲くエトワール』
こちらも娘の希望で観に行ったが、私も期待していた作品。こういう史実を組み込んだエンタテイメントを娘には数多く見せていきたい。この作品は1912年から始まる物語だが、娘が驚いていたのは、この時代の女性の扱いだった。この映画は希望のある話ですが、女性ってだけであれもこれもダメってのはひどい!というのが娘の感想でした。もちろんそこも重要ですが、この映画から学ぶことはとても多く、それでいながらちゃんとエンターテインメントとして仕上がっていて、不穏な時代を描いていながらもある意味でのハッピーエンドとなっていて、見終わった後の爽快感がありました。そして、緑黄色社会の楽曲がとてもいいエンディングでした。ただ、上映冒頭で、緑黄色社会のテーマ曲の、この作品の映像を用いたPVが流れたのは少し残念でした。このPV自体はとてもいいのですが、少しネタバレというか、全編の映像がパッチワーク的に用いられているので、本編上映前に観るべきものではないと思いました。
https://sh-anime.shochiku.co.jp/parieto-movie/theater/

 

2026年4月12日(日)

府中TOHOシネマズ 『劇場版名探偵コナン ハイウェイの堕天使』
こちらも娘が楽しみにしていた作品で、金曜日の上映開始から2日後の日曜日に観ることになりました。近くのTOHOシネマズでも上映回数がとても多いので、ありがたい。とはいえ、私たち父娘が中央に座っている左右背後に、男子中学生(?)高校生(?)十数人の集団が取り囲んでしまった。まあ、上映開始後は静かになりましたが、あれだけの上映回数にもかかわらず、これだけの集客とはさすがだ。
コナンの劇場版は5年ほど見続けていると思うが、今回のはとても良かった。とかく映画版はテーマが大きくなり、設定に無理があったり、演出が派手になったりするが、本作ももちろん無理もあるし派手なシーンもあったが、ストーリーがしっかり組まれていて、よかった。来年もなかなか楽しみな内容になりそうだ。
https://www.conan-movie.jp/2026/

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【映画日記】『超かぐや姫』『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』『劇場版転生したらスライムだった件 蒼海の涙編』

2026年2月21日(土)

新宿バルト9 『超かぐや姫』
娘がどこからか見つけてきて、Netflixで観たアニメ映画。彼女史上最高の映画だといっていたが、それが期間限定で劇場公開することとなり、観に行った。身近な立川ではすでに全回満席で、これから予約が始まる新宿の劇場にかけた。三日前の午前0時から予約開始ということで、母親に予約を取ってもらうことになったが、これがなかなか大変で、何とか取れたのが、朝8時台の回。早起きして観に行った。
子どもの客はほとんどおらず、男性が中心。上映時間も2時間前後あり、よく作り込まれたアニメ映画。確かに娘が好きになるのもよく分かる。しかし、近年のアニメ映画に少なくないが、私のような年齢の人間にはついていけない情報量の多さがあり、それぞれの要素が有機的には結び付いていないような印象もあるが、まあそれでも十分に楽しめる作品。
https://www.cho-kaguyahime.com/

 

2026年2月27日(金)

府中TOHOシネマズ 『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』
公開直後の土日は予定が立たないため、公開初日の夜に息子と娘と3人で観に行った。ここのところ「新」をつけて、旧作映画のリメイクが制作されている。息子に「お父さんは旧作をリアルで観たのかな?」と尋ねられたが即答する記憶の自信はなかった。しかし、新作を観てみると、少しずつ記憶がうっすらとよみがえる。「のび太の恐竜」は旧作をしっかり覚えていたので、新作にはかなりアレンジがきいている(というよりは別作品だ)と思ったが、今回はかなり旧作に忠実な印象。さて、子どもたちはいつまで一緒に観に行ってくれるのだろうか。
https://doraeiga.com/2026/

 

2026年3月7日(土)

立川シネマシティ 『劇場版転生したらスライムだった件 蒼海の涙編』
最近子ども2人と3人で映画を観に行く機会は減ってしまったが、珍しく2週続けて3人で観に行った。いわゆる「転スラ」はだいぶ初期の頃から息子が好きになって、娘もそこそこ好きになった。劇場版は今回2作目。一作目は息子が友達と観に行ったが、今回は3人で観に行った。
息子に言わせれば、本作は原作にはないオリジナルストーリー。今回の準主役はゴブリンのゴブタ。ドラえもんに続いて、海底の国が舞台。転スラの全体的な世界観はよく理解していないが、全世界にお互い独立したさまざまな社会が存在しているという設定は、18世紀前半に書かれた『ガリヴァー旅行記』の系譜にあるように思う。さらにいえば、シラノ・ド・ベルジュラックの『日月諸国諸帝国』は17世紀中葉。大航海時代にヨーロッパが自らの知らなかったさまざまな社会を知ることとなり、さらにはそれらを植民地化して、全世界が一つの近代世界システムへと飲み込まれて各社会の独立性と独自性とが徐々に失われていく時代にそうした多様な社会の並存が描かれたのかもしれない。そして、グローバル化の最終段階において、せめて想像の世界でそうしたあり方が夢想されている、と理解すべきか。
https://movie02.ten-sura.com/

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【映画日記】『ジ・エンド』『白い花実』『在日ミャンマー人』

昨年末から映画日記が滞っていました。数は少ないものの、なかなか刺激的な映画ばかりです。

2025年12月22日(月)

この日は別件で午後から新宿で用事があった。しかも、午前中は特に用事がなかったので、都心でしか観られない映画が観たいということで、閉館のニュースを聞いていたシネマカリテで鑑賞することにした。

新宿シネマカリテ 『ジ・エンド』
ティルダ・スウィントン主演の奇妙な映画。核戦争か感染症の蔓延か、人類の滅亡危機のなかで、地下生活を営む家族の物語。地下の人工洞窟を生活空間としているとはいえ、入念に準備され、文明的な生活を維持している。そこに黒人の若い女性が突如現れ、表面的に秩序を保っていたこの家族に亀裂が生じ始める。ミュージカル仕立てになっており、深刻なテーマ(ディストピア)ながら美学的に完成された美しい作品に仕上がっている。そして、ある種のユートピア的結末。
https://cinema.starcat.co.jp/theend/

 

2026年1月3日(土)

立川キノシネマ 『白い花実』
年始にも一人で自由にできる時間があり、立川に日本映画を観に行った。こちらも非常に美しい作品。そして、複雑な人間関係や、大人の社会や組織の問題などが描かれている。人間の本質に切り込む作品だといいたいところなのだが、どうしてもキャストの外見の美しさや演出も含めて説得的でないと感じてしまう。そういう感覚自体が私自身に宿っているルッキズムなのかもしれないと思いつつも、なんとなくもやもや感が残る鑑賞でした。
https://www.bitters.co.jp/kajitsu/

 

2026年2月7日(土)

私は翌日告示される日野市議会議員選挙への立候補が決まっていて、さらには翌日投票日を迎える総選挙でも一日本共産党員として選挙活動をしていた。連日の活動では疲弊してしまうので、週一日は休むことになっており、この日は吉祥寺に出かけて映画を観ることにした。吉祥寺の街は騒然としていた。この選挙区の自民党候補者の応援に、小泉進次郎が来るというのだ。総選挙の結果は自民党の圧勝。武蔵野市でもこの盛り上がりなのだから仕方がないと思いつつ、有権者の心理は理解できていない。

吉祥寺アップリンク 『在日ミャンマー人』
ミャンマーの軍事クーデターのことは知っていたし、フォローしているInstagramのアカウントでも日本でのミャンマー支援活動については頻繁に情報が流れてきていたが、事実関係や、そうした活動をどのような人が、どのような思いでやっているかについては全然知らなかったので、非常に勉強になった作品。
日本政府がクーデターを起こしたミャンマー国軍側に立っているという話は報道で目にしていたが、日本ミャンマー協会など日本とミャンマーの深い関係を知ることができる。また、ミャンマーのために活動している日本人、両国の関係改善のために活動しているミャンマー人、技能実習生として日本で生活している多くのミャンマー人、それぞれのより具体的な姿が見えるのがドキュメンタリー映画の存在意義だと感じる作品だった。
なんと、上映後は急遽監督による舞台挨拶があった。土井敏邦監督の過去作品もチェックしておきたい。
http://doi-toshikuni.net/j/myanmar/

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【映画日記】『映画キミとアイドルプリキュア♪』『杜人』『ズートピア2』

2025年9月23日(土)

府中TOHOシネマズ 『映画キミとアイドルプリキュア♪』
すっかり映画を観られなくなってしまった。この映画日記はだいたい3本の映画を観たら、まとめて書いて、アップするようにしているが、2本目を観た時点で、1本目が1ヵ月前の作品になってしまった。そうなったら、正直もう前に観た作品は覚えていない。
当然、こちらの作品は娘と一緒に観に行ったもの。今回はとある島を舞台に世界中のアイドル(とそのファンたち)が集結して音楽フェスティバルが開催されるという設定で、アイドルプリキュアたちも招待される。しかし、その島は謎の生物体に侵食されるという危機に瀕していて、プリキュアたちがそれを救うという物語。まあ、有体の展開ではあるが、2本目に観た作品と環境をテーマにしている点では共通している。プリキュアにおける悪は、誰の心にも潜んでいるものが顕在化したもので、最終的にはそれが浄化されて解決するというストーリーになっている。こういうストーリーはプリキュアファンの子どもたちの心に何を残すのだろうか。
https://2025.precure-movie.com/

 

2025年10月25日(土)

七生公会堂 『杜人』
私は今、日野市にある北川原公園で2年前に始めたおまつりの実行委員として活動している。その委員の一人が紹介してくれた映画上映会。そのおまつりの関連で、先日落川交流センターという日野市の施設にお話をうかがいに行った。今、そこを運営するのはNPO法人の「おちかわの里」。そこで勤務している男性に話を聴いたのだが、その方のことは以前から知っていた。日野市では「プレイパーク」が定期的に2ヵ所で開催されている。プレイパークとは、草木のしげる公園にロープなどを張って綱渡りやブランコなどの手作り遊具を設置して、あとは子どもたちの好きなように遊ばせる。大人たちは子どもの遊びには干渉せずに、時には一緒に遊び、万が一の場合に備える、そんな遊び場の提供。昔だったら子どもたちだけでやっていたようなことではあるが、個人的には現代の日本社会では子どもたちを屋外で遊ばせるにはこれが最善だと思う。私も子どもが小さい頃に何度か遊びに行ったけど、うちの子どもたちには馴染まなかったようだ。ただ、この落川交流センターでは、餅つきや流しそうめんなど、季節ごとの行事があり、それと併せてプレイパークも実施しているので、その後も何度か訪れたことはあった。
その落川交流センターにおけるプレイパークが本作に登場するという話をうかがっていたが、本当に最後の最後、本編というのではなくエピローグに映像だけという扱いだった。それはともかく、非常に興味深い内容だった。主人公の矢野智徳さんが、杜人になる経過を語るシーンで、北九州の生まれだが、大学は東京都立大学に進学して地理学を学んだと語っていた。そう、まさに私の出身大学、出身学科。そして、私も学んだ堀 信行さんが登場する。いやあ、と思いつつ、都立大地理学科を卒業してこんな変わった造園家になる人がいるんだとひどく感心する作品だった。ともかく、彼のような仕事は資本主義の経済システムでは厳しいと思うが、このような仕事がまさにありうべき労働の姿ではないかと思った。あらゆる労働がこうなったとき、社会主義・共産主義の実現ということになるのだろうか。とはいえ、労働賃金や労働時間という概念自体が量的に計測できないような労働の形になるのかもしれない、と考えるときに、その実現がさらに困難なものにも思えてくる。
https://lingkaranfilms.com/

 

2025年11月17日(月)

府中TOHOシネマズ 『サンリオピューロランド Miracle Gift Parade グランドフィナーレ ライブ・ビューイング』
サンリオピューロランドは独身時代に一度、そして結婚して家族4人で一度行ったことがある。その家族といったときにパレードを観て感心したのだが、私自身はその後行こうとは思わなくなった。一方で娘は今年年間パスポートを購入し、母娘で月に1度はでかけている。今回10年間続いたパレードが新しいものに入れ替わるということで、その最終日のようすをTOHOシネマズのライブ・ビューイングで上映するというので観に行くこととなった。最終日は月曜日の平日だったので、当然学校があるのだが、最後の最後は生中継ではなく、録画で夜上映するというので、こちらを観に行った。私はパレードというのは何種類かあって、それを交互に上演していると思っていたが、同じものを毎日やっているとのこと。よくまあ、毎月のように行って、これを観ていて、さらに最後のものは録画でも観たいというのだから驚きだ。しかも、普通の映画より数倍高い値段設定。子ども料金もない。私は好き好んで観ようと思わないものだが、その概要は観ながら思い出した。「闇の女王」なるものが登場し、幸せいっぱいのカラフルでファンシーなサンリオキャラクターたちの世界から色彩を奪い去って、失意の底に陥れる。それを観客のライトの応援も得ながら、色を回復していくというストーリー。よくはできているとは思うが、私にはついて行けません…
https://liveviewing.jp/sanrio-puroland35th/

 

2025年12月21日(日)

府中TOHOシネマズ 『ズートピア2』
本作の主要登場動物に蛇がいる。娘は蛇が苦手だが、1作目が面白かったので、今回は蛇を克服しても観たいというので観に行った。この手のポピュラーなシリーズ映画は前作を観なくても十分に楽しめる内容にはなっているが、けっこう展開が早くてついて行けない個所もあった。しかし、なかなか奥深い設定で、『マイ・エレメント』と同様に、動物の種の違いを人種や民族の違いになぞらえて、多文化共生社会を推進する映画だといえる。最後の最後で、次回作を仄めかすような演出もあった。1作目は基本的に哺乳類、今回は爬虫類や両生類、次回は鳥類なのだろうか。
本作では、ウェザー・ウォールというのが登場し、動物たちがウェザー=気象条件を人工的(人ではないが)につくりだすことによって生まれたのがズートピア=ユートピア的動物園、ということになる。エリアごとに気象条件を作り出し、その気象条件に適した動物種を住み分けさせるという方法だ。人間になぞらえれば、人種ごと、民族ごとに住み分けをして、人種・民族の混合をしないようにすれば、余計な争いごとはなくなるというような発想になる。特に、本作は哺乳類のオオヤマネコがズートピアを作り出し、爬虫類や両生類に適した環境を縮小させ、ついにはなくしてしまうというジェノサイド計画を、主人公のウサギとキツネのコンビが止めるというストーリー。結局は登場人物が動物であるということもあり、多文化共生がこの社会の目標ではなく、あくまでも住み分けを前提としての各地区の面積確保というところが目標になっているようだ。ここから、この作品を観る人間たちはどんな教訓を得るのだろうか。
https://www.disney.co.jp/movie/zootopia2

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【映画日記】『おでかけ子ザメ』『大長編タローマン万博大爆発』『不思議の国でアリスと』

2025年8月23日(土)

調布シアタス 『おでかけ子ザメ とかいのおともだち』
なかなか奇妙なアニメ作品。もともとこの作品のことは娘が知っていて、予告編を観た時に、観に行きたいといっていたので、公開2日目に観に行った。子ザメが主人公で、サメ以外にも複数の動物が人間と共存している社会。動物の方は人間の言葉をしゃべらないが、意思疎通はできるし、買い物をしたり公共交通を利用したりしている。時折その存在を驚く者もいるが、多くは当たり前のように受け入れている。ある意味で、多文化共生社会を訴えているのかもしれない。人それぞれ生活には事情があるものの、他人が困っていたら手を貸すという性善説を基本とする人間関係。まあ、善悪を描く作品でも基本的に性善説に立つものが多いとは思うが、この作品のように悪を描かない作品は増えているような気もする。いまだにやっぱり「田舎と都会」という二分法は大衆的な文化作品では使われるんだよな。
https://odekake-kozame.com/

 

2025年8月24日(日)

府中TOHOシネマズ 『大長編タローマン万博大爆発』
ふとツイッターで見かけた作品。いつもは、そういうプロモーション用のツイートは無視するのだが、この作品の存在は無視できなくなり、近くの映画館で上映していて、しかもたまたま空いた自由時間で観ることができる機会があり、観ることにした。
ウェブサイトでいろいろ確認したが、結局よく分からない。監督は藤井 亮ということになっていて、現代の映像作家である。しかし、映像そのものはどう観ても大阪万博が開催された1970年前後に撮影されたものだ。サイトの説明を読むと、この「タローマン」は実際に1970年前後に放映されたものだが、万博のプロモーション用に2分の短編が複数あったとのこと。同じクオリティの映像を現代に再現したのか、あるいは2分の映像を再編集して「大長編」にしたのか、謎である。まあ、私の理解としては後者になるのだが。
それはともかく、素晴らしい映像体験だった。タローマンの「タロー」とは岡本太郎のこと。周知のように1970年万博の太陽の塔は岡本太郎の作品であり、1970年大阪万博には岡本太郎が深く関わっている。その岡本太郎の作品のモチーフを存分に用いてウルトラマン的世界観を作り上げているのが本作品。「芸術は爆発だ」という岡本太郎の思想をごく一部だが再現している奇妙奇天烈な映像体験です。
https://taroman-movie.asmik-ace.co.jp/

 

2025年9月6日(土)

昭島MOVIX 『不思議の国でアリスと』
娘が観たいといっていたものの、油断している間に近所の映画館では早朝と夜しか上映しておらず、昭島まで久しぶりに出かけた。娘もある程度の距離の移動にも慣れてきて(スマホを持ったので暇つぶしもできる)、ありがたい。
ともかく、私も久しぶりの昭島で、少しお店の入れ替えもあったショッピングモールをいろいろ見て回りたかったが、時間はなし。ともかく映画館に急いだ。本作は原作に「ルイス・キャロル『不思議な国のアリス』」とあるが、脚本自体はオリジナルで日本人の女子大学生が主人公。結局、『不思議な国のアリス』自体を読む機会はこれまでなかった。高山 宏訳のものくらい読んでおきたいとは思うが。原作に登場する存在物が出てくることは分かったが、ストーリー展開などどの程度原作のものを利用しているかは分からない。まあ、ドラえもんの映画もいまだに原作が「藤子F不二雄」となっているくらいだから、主要なキャラクターと設定を使っただけで原作表記をしなければならないかもしれないがよく分からない。
さて、本作の内容だが、作品自体はよくできている。アリスや主人公のおばあさんなど魅力的な登場人物も多い。しかし、なんともひっかかってしまうのが、主人公の「りせ」の魅力のなさなのだ。まあ、自分が何者か、どうしたいのかも分からないという主人公が自分探しをするというストーリーは無数にあるわけだが、大抵は自分でも気づかないという設定で何かしらの魅力を持っている。しかし、この「りせ」についてはそれすら見つからないという何とも不思議な感覚。
https://sh-anime.shochiku.co.jp/alice-movie/

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【映画日記】『夏の砂の上』『ウナイ 透明な闇PFAS汚染に立ち向かう』『よみがえる声』

2025年7月26日(土)

立川シネマシティ 『夏の砂の上』
この日は私の誕生日。なんだかんだで午後を一人で過ごせることになって立川まで映画を観に行った。予告編を観て、『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』など佐藤泰志原作の函館三部作の映画化されたものに雰囲気が似ていると思って観に行った。主演はオダギリジョーで、離婚した妻役を松たか子が演じ、その恋人役を森山直太朗が演じるというなかなか面白いキャストでもある。しかし、そこで目立った演技を見せていたのが、満島ひかり演じるところのオダギリの妹が預けていった娘を演じる高石あかり。ちょっと調べたら、今度のNHK朝ドラ「ばけばけ」のヒロインに抜擢されたという。まあ、納得の存在感。
さて、本作の舞台は長崎。私も院生の頃、学生の調査演習旅行でティーチングアシスタントとしてついて行った事がある。着くなり風邪をひいてしまい、宿で寝ていて、持参したウォーラーステイン『脱=社会科学』を読んでいた記憶が強いが、ともかく坂の街を歩いた記憶は残っている。こんな街に原爆が落とされたのか、と思いをはせながら、その坂は初めて経験するものだったので、強く印象に残っている。本作もまさに坂に位置する住宅に住む主人公の日々の生活を描く。そして、特に温暖化というのを強調するわけではないが、雨の降らない暑い夏の日々を印象付ける演出。まさに函館三部作と似た雰囲気の面白作品。
https://natsunosunanoue-movie.asmik-ace.co.jp/

 

2025年8月16日(土)

この日は久しぶりに一日中一人で自由に行動できるということで、映画を2本観ようと決めて、作品を検索した。こういう場合、私は立川のシネマシティかキノシネマ、吉祥寺のアップリンク、下高井戸シネマなどを候補に選ぶ。もう、新宿や渋谷、日比谷や銀座、有楽町に足を運ぶのは億劫になってしまっている。
そして、東中野。今回はちょうど観たいドキュメンタリー作品が2本続けて上映していたので、昼食が取れるかの心配はあったが、朝から行くことにした。

ポレポレ東中野 『ウナイ 透明な闇PFAS汚染に立ち向かう』
まずは、PFASをめぐる映画。PFAS問題はTansaの中川記者による取材がYouTubeのデモクラシータイムスで配信されていて、数年前から注目していた。それ以前から米軍の泡消火剤の影響で沖縄や東京でも横田基地周辺では問題となっていたが、Tansaでは米軍基地とは関係ない大阪府の摂津市や岡山の吉備中央町の問題を早くから報じていた。本作の舞台は沖縄。ウナイとは沖縄の言葉で姉妹を意味するという。ネットで調べたら「沖縄うない」なんて地域政党までヒットした。この映画ではとにかく女性が多く登場する。PFAS汚染というのは水の汚染が顕著であり、沖縄では2016年に水道水に基準値以上のPFASが含まれているということを沖縄県が公表している。この頃子育てをしていた平良いずみ監督が少しずつ取材をするようになり、同じような不安の中勉強会を始め、徐々に社会運動へと発展していく母親たちに5年前に出会い、映画制作がスタートしたという。Tansa中川さんの報告にも出てくるが、京都大学の研究者チームがPFASの人体への影響を研究していて、こうした地域住民による社会運動に協力して血液検査などを行い、日本でも本格的にこの問題がクローズアップされていく。しかし、日本政府の反応は悪く、監督はこの問題に対して先んじて市民が運動をし、政府も対策に乗り出したような欧米諸国を訪ねる。本作では後にPFAS問題の解決を公約に沖縄県北谷町議会議員選挙に立候補し当選することになる仲宗根由美さんを中心に展開するが、米国やドイツ、イタリアなどでもPFAS問題に立ち上がった女性たちと出会い、その運動を取材してくる。
なお、東京ではこの日が初日ということで、監督と仲宗根由美さんの舞台挨拶がありました。
https://unai-pfas.jp/

 

ポレポレ東中野 『よみがえる声』
続けて観たのが、朴壽南(パク・スナム)さんの半生をつづった作品。ドキュメンタリー映画作家として、朝鮮人被爆者を追った『もうひとつのヒロシマ』(1986年)、沖縄戦で戦わされた朝鮮人兵、そして朝鮮人慰安婦を追った『アリランのうた−オキナワからの証言』(1991年)、2012年にもその続編ともいえる『ぬちがふぅ(命果報)−玉砕場からの証言』、そして韓国の日本軍慰安婦を追った『沈黙−立ち上がる慰安婦』を2017年に発表している。こんな人の存在を知らなかったということは恥じるしかないが、そうした活動の始まりは、1958年に起きた小松川事件である。この事件は在日朝鮮人二世の男性が日本女性を殺害してしまった事件で、死刑が執行されるまでの間、李珍宇(イ・ジヌ)との交流を持ち、往復書簡を書籍『罪と死と愛と』として1963年に発表している。この交流も非常に興味深く、被害者女性の母親とも接触し、被害者と加害者との関係を日本と韓国の二国間関係も含めて取り持つというものである。
朴壽南さんは目に難病を抱え、失明に近づくこともあり、彼女の娘である朴麻衣(パク・マイ)が残されたフィルムをデジタル化する大仕事に取り組みながら本作を撮影し、朴壽南さんの半生を描いている。その仕事はとてもこんな映画日記で語れないほど(私はせいぜい2時間半のこの作品を通じてしか知ることができていないのだが)濃密で、日韓関係についても重要である。彼女の過去の作品を私自身が観ることから始め、もっとその仕事を日本に広く知られるようにしなければならない。
https://tinmoku2025.jp/

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【映画日記】『小林さんちのメイドラゴン』『アイカツ!~輝きのユニットカップ』『遠井さんは青春したい!』

2025年6月29日(日)

府中TOHOシネマズ 『小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜』
アニメが先か、原作漫画が先か、覚えていないが子どもたちがずいぶん前から観ていて・読んでいて原作漫画もそこそこ集めている作品。娘と二人で観に行った。かれらによれば、本作は原作漫画の一部を映画化したもの。私もそこそこ観たり・読んだりしていたので、前提は知っているが、この映画は漫画原作の映画化にしては珍しく、前提について説明がない。小林さんというとある一人の女性労働者が、お酒に酔った勢いでドラゴンを助け、自宅で同居し始める。助けられたことのお礼として、身の回りのこと(いわゆる家事)をやってくれる、ということで、このドラゴン(通常は人間の姿をしている)が一人暮らしの小林さん宅でメイドとして同居する、ということでこのタイトル。そのうち、ドラゴン界からこの小林さんちに同居している「トール」というドラゴンに引き寄せられて複数のドラゴンがやってくるようになり、この映画は「カンナ」というドラゴンを中心とするお話し。なお、この原作にはスピンオフも多く、わが家には『カンナの日常』なる本もある。
娘曰く、原作と違う個所も少なくないとはいうが、基本的なストーリーは原作があるため、原作をしっかり読んでいない私のような鑑賞者にとっても十分に楽しめる内容。なお、ずいぶん前からドラゴンものが多いのは、異世界ものと並んでの漫画界の大きな潮流だが、異世界ものはある程度議論があると思うが、ドラゴンものはどうなのだろうか?なお、『ヒックとドラゴン』もあるように、単なる日本的傾向ではないようだ。
https://maidragon.jp/movie/

 

2025年7月5日(土)

立川シネマシティ 『アイカツ!~輝きのユニットカップ』
こちらも娘と観に行った。「アイカツ!」はかなり以前の作品なので、動画配信サイトで観ていたころは娘も小さく、一緒に観ていたし、また元々がバンダイナムコのアーケード・ゲーム(おもちゃ屋などにあるタイプ)であり、娘とけっこうやっていた時期もある。今回の映画はテレビシリーズの総集編ということだが、初代シリーズの二代目主人公の時代の一エピソード。見終わってみると、私も娘も記憶になかった内容なので、十分楽しむことができました。ストーリーには記憶がないという新鮮さと、人物と作品世界には懐かしさを感じるということで、実は上映回数が少なくて、夕方から夜にかけての回を観に来たのですが、わざわざ来た甲斐があったという感じ。
https://www.aikatsu.net/portal/memorial_stage/unitcup/

 

2025年7月19日(土)

調布シアタス 『遠井さんは青春したい!『バカとスマホとロマンスと』』
こちらは完全に娘趣味で、娘に付き合って観に行きました。ストロベリー・プリンスこと「すとぷり」(よく分からんが、Vtuberではないものの、本人たちの顔は出さずにアニメキャラのような形で歌やらなんやらで活動しているYouTuber集団。以前はサマーランドとコラボをしていて、娘とプールに遊びに行きました)がYouTubeでやっていた企画を膨らませてアニメ作品に仕上げたもの。メンバーの「ジェル」が自身を高校生に見立て、架空の女子高生も自身で演じる。二人で立ち上げた「青春ロマンス部」をめぐって展開する学園もの。マインクラフトを用いたYouTuberたちの動画も子どもたちは好んで観ているが、なかなかあなどれない、こういう人たちのストーリーテリング。かれらは実際にゲーム実況をしているだけで、シナリオを描いている人が裏方にいるのかもしれないが、なかなか作り込んであったりする。本作はそのジェルなる人物が共同脚本で仕上げたもののようだが、なかなか面白い。
https://movie.toi-san.com/

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【映画日記】『ノー・アザー・ランド』『秋が来るとき』『今日の空が一番好き,とまだ言えない僕は』

2025年515日(火)

吉祥寺アップリンク 『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』
なんとか映画館で観ることができた。パレスチナ人バーセルとイスラエル人のジャーナリストでバーセルの下でヨルダン川西岸地区の村マサーフェル・ヤッタの状況を告発するユヴァルらが自ら被写体となりつつ監督も務めるドキュメンタリー映画。ちょうど202310月のガザをめぐる状況の直前までが本編の撮影時期。
観てからすっかり時間が経ってしまったので,詳細は語れないが,ともかく考えさせられることばかりの作品。イスラエルによって次々とパレスチナ人の民家が破壊されていくこの村は,乾燥地域で,それでも厳しい自然環境のなかで必死に生きている人々の村。なぜわざわざこんな場所を政治的にも厳しい環境に置いていくのか。イスラエルの言い分からすると,ここはイスラエルの軍事施設が立地するから,あなた方は出ていってくれということ。もし本当にそこに軍事施設ができたとしたら,そこで行われる軍事演習はパレスチナ人を虐殺するための訓練なのだろうか。幾重にも恐ろしい。これは21世紀を生きる人間ができることなのか。
しかし,この作品を観ていて,なぜか私は日本の状態を想起した。日本では最近能登半島で地震が起こった。あまりにも遅い復興で,「棄民政策」とも呼ばれた。この間も日本では行政サービスの縮小が進み,地理的には市町村合併により,また介護医療の報酬引き下げなどに起因して高齢者ばかりの過疎地が蔑ろにされてきた。昨今の米不足も,地方での零細農家が米作を続けられないような状況へと思い込み,生きたいのであれば別の場所にどうしろといっているようだ。まさにパレスチナで起こっていることも地続きで,人々を管理しやすいようにひとところに集め,誰も住まなくなった辺鄙な土地には軍事施設や原子力発電所などを何の気兼ねもなく立地させることができる。コンパクトシティなどとさわりのよい言葉ではあるが,人々が自由に選択できる居住権や移動の権利などは次々とはく奪されていくのだろうか。
https://transformer.co.jp/m/nootherland/

 

2025年61日(日)

立川キノシネマ 『秋が来るとき』
フランスの映画監督,フランソワ・オゾンの監督作品。デビュー作の『焼け石に水』から好んで観ているが(途中イマイチの作品もあり,全ては観ていない),本作は観てよかったと思える作品だった。オゾン監督作品のミューズともいえるリュディヴィ−ヌ・サニエも加齢をそのままに出演していて,なかなかの存在感。ネタバレをしてしまってはつまらない作品だが,もう上映はしていないと思うので,ネタバレします。オゾン作品はどちらかというと本質的,あるいは抽象的な社会批判を含む作品を作ってきたように思うが,本作は具体的な社会的問題を扱っている。主人公はリュディヴィーヌ演じる女性の母親役なのだが,売春婦をしていた過去があり,それが故に娘から嫌われている。そのことを知らない孫は祖母になついているのだが,娘にとってはそれも気に入らない。主人公の女性には同じ町に住む親友がいて,彼女も売春婦仲間である。彼女が亡くなった時に,葬儀に集まった大勢のかつての仕事仲間たちのシーンが圧巻である。売春婦が誇れた職業ではないのは承知の上で,主人公は女手一つで娘を育てるためにやむを得ずに職業選択をし,それでもそこで仲間ができ,引退してからは社会のなかでひっそりと暮らし,娘からは疎んじられ,最愛の孫にも頻繁には会えない,そんな一人の高齢女性の生きざまを描いた作品。
https://longride.jp/lineup/akikuru/

 

2025年624日(火)

立川キノシネマ 『今日の空が一番好き,とまだ言えない僕は』
とても評価の高い,河合優実さんだが,24歳でありながら,メイクをしない,笑わない役どころの出演が多いように思う。とはいえ,私が彼女の演技をしっかり見たのは『PLAN75』だけであり,『佐々木,イン,マイマイン』や『線は,僕を描く』に出演していたことは今から思い返しても印象は残っていない。いずれにせよ,メイクをしない,笑わない映画俳優という存在は,かつての宮﨑あおいのようで,どうにも気になってしまう。そして,恐らく言われていることではあると思うが,山口百恵に似た雰囲気を持つ河合優実さんの作品はできるだけ観ておきたいと思うと同時に,本作はメイクもしているし,キレイ目の女子大生を演じているというのも貴重かもしれないと思い,見逃さないようにした次第。
主演の萩原利久さんは『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の印象が強い,なかなか両義的な雰囲気を持った俳優だと思う。しかし,前半で圧倒的に存在感を発揮していたのは,萩原さん演じる主人公のバイト友だちを演じる伊東 蒼さんは素晴らしい演技だった。特に出演最後の長回しのシーンは,本当に素晴らしく,映画としてはそこまで長いセリフにすると冗長すぎてマイナスの効果があるようにも思うが,それが故にリアリティがあるように感じた。そして,ストーリーの展開は単なるラブ・ストーリーではない展開になり,後半はノーメイクの優実さんが登場し,そこからの演技が素晴らしかった。とにかく,今後の活躍が楽しみな二人の俳優の演技がみられた非常に貴重な作品だと思う。
https://kyosora-movie.jp/

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【映画日記】『片思い世界』『劇場版名探偵コナン 隻眼の残像』『マインクラフト/ザ・ムービー』

2025年415日(火)

立川シネマシティ 『片思い世界』
清原果耶,杉咲 花,広瀬すずという夢のような若手女性俳優の共演という作品。なんとか,見逃さずに済みました。もちろん3人の演技は魅力的なのだが,オリジナル脚本を是枝裕和監督作品『怪物』の脚本家,坂元裕二が手掛けており,これが素晴らしかった。ネタバレをしてしまうと面白くないので,これ以上は書かないが,最後の最後まで楽しませてくれる。冒頭に書いた三人の名前は私の好きな順で書いたのだが,実は広瀬すずさんは『ちはやふる』以降ちゃんと演技を観たことがなかったが,若いにも関わらずさまざまな作品の重要な役どころを経験してきただけに,なかなか深みのある演技を見せてくれた。でも,やはり思い切りのよい清原果耶さんの存在感が大きいかな。
https://kataomoisekai.jp/

 

2025年419日(土)

府中TOHOシネマズ 『劇場版名探偵コナン 隻眼の残像』
今年もやってきました名探偵コナン映画。今回は毛利小五郎の過去の人間関係が中心となる物語展開。今回はコナンの推理が中心ではなかったような印象だが,しっかりと考えられたストーリーはさすがだ。ただ,客席には心なしか成人女性の姿が少なかった気もする。まあ,公開間もない日だったので,子連れが多く,往年の女性ファンはそこを避けているのかもしれない。
https://www.conan-movie.jp/2025/

 

2025年427日(日)

府中TOHOシネマズ 『マインクラフト/ザ・ムービー』
私の子どもたちも任天堂スイッチでやっているゲーム,マインクラフト。数年前まで購読していた『コロコロコミック』にも漫画が掲載されていたし,子どもたちはYouTubeのゲーム実況でも好んで観ているので,馴染みのゲーム。とはいえ,私のような世代にはちょっと理解不能なゲームなので,私自身は関心がなかったが,娘が日本語吹き替え版で,子どもたちがよく観るYouTuberが声優として参加しているということで観ることになった。とはいえ,前半の現実世界での展開があまり子ども向けではなかった。まあ,ジャック・ブラックが主演だからある程度予想はできたが,むしろ1980年代のアメリカン・ハードロックや,ゲームでいえば日本では高橋名人が活躍していた頃の世代を喜ばせるような仕掛けがあったりする。ようやく後半になって娘は楽しめるようになったようだ。残念ながら,YouTuberの声の出番はちょっとだけだったが,まあ作品としてはそんなもんかな。
https://wwws.warnerbros.co.jp/minecraft-movie/

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